全く「そのつもり」は無かったのだが裁判を傍聴することになった。
同行者は傍聴マニア(?)である公認会計士で税理士のSさん。
東京地裁に入ると、先ず空港と同じようなボディチェックがある。
なんだか、バチカン市国のサンピエトロ寺院に入る時と似ていた。
検査はさほど厳しくなく、ゲートを潜る時は腕時計もベルトもOK。
ホールの机の上には「本日の裁判」メニューがあって、傍聴希望者が裁判を選ぶことが出来る。どの裁判も、傍聴席に空席があれば途中での出入り自由。映画館で上映途中にトイレに行くより気楽だ。
傍聴席が満席かどうかはドアについている覗き窓で確認できる。
だが何より驚いたのは、法廷の数の多さである。テレビで裁判開始前の映像が少しだけ流されたりするが、その印象で法廷は少数しかないような印象を持ってしまっていたが、各フロア中央の廊下の両サイドが、でなく、中央の廊下にクロスする廊下が何本もあって、その廊下の両サイドに数法廷ずつあって、数えてないが各フロアに20法廷くらいはありそうな感じ。まるで「法廷銀座」だ。梯子も出来る。
で、傍聴した裁判は今年の5月17日に起きた殺人未遂、銃砲刀所持法違反事件、であった。被告人は暴力団関係者だと直ぐ判った。
他の法廷はけっこう満席だったが、既に開始から2時間ほど経っているその法廷の傍聴席は半分以上空席があり、入ることに。私の目の前2mも無いくらいの距離に、ぺティナイフで女性を刺し殺そうとした被告人の元ヤクザが係官に挟まれて座らされている。被害者は金さんという女性らしい。韓国人のスナック経営者と思われる。
その前には被告人から見えないよう衝立があって、証人である女性外科医が検察官の尋問を受けていた。質問の内容は私からすれば「そんなこと、どうでもいいじゃん!」くらいのもので、しきりに「横隔膜に付いた傷は横隔膜より上か下か?」「傷は上から下に向かっていたのか?」「輸血はどのくらいしたのか?」「搬入されてから手術までの時間が2時間というのは、そんなものなのか?」等々。被告人が犯行に及んだことが間違いなくて、被害者が全治○ヶ月、それだけの事実以上に何が要るというのか不思議でならない。そんなのは全くもって時間の無駄である。いや、素人にはそう思える。
そんなだから、検察官も弁護人もヤル気なさそうで、とくに弁護人は酷かった。最初からうすら笑いを浮かべていて、「どうせ頑張ったって有罪は確実だし〜、減刑させても見入りは無いし〜、傍聴席もガラガラだし〜」くらいで、なんとも迫力が無い。もちろん無資格だが、私のほうがよほど上手く弁護できそうな感じ。将来的には取引主任者も裁判で弁護ができるように・・・は、ならないか

次の証人が、被告人の娘。こちらは衝立なし。父親は初犯でないから娘も場慣れしてる感じで、申し訳ないが笑ってしまう。
「あなたは誰と暮らしていますか?」
「父と母は離婚しましたから、私は母と兄と3人で暮らしています」「いつ離婚しましたか?」
「去年です」「あなたのご職業は?」
「無職です」「お兄さんの職業は?」
「運転手です」「どこで被告人が事件を起こしたと知りましたか?」
「テレビのニュースで見ました」「警察からの連絡はいつ入りましたか?」
「18日に新宿の警察から電話がありました」「母親には話しましたか?」
「いいえ、話しませんでした」「それはどうしてですか?」
「母親は病気でしたから」「どんな病気でしたか?」
「肝硬変と糖尿病と精神病です」(オイオイ^_^;)
「事件のことを聞いて、あなたはどう思いましたか?」
「あんなに痛い思いをしたのに、また事件を起こすなんて信じられませんでした」「あんな痛い思い、というのはどういう意味ですか?」
「指を詰めたことです」(あ、やっぱりね・・・)
「被告人はやがて刑期を満了して出てきます。その時あなたはどうしますか?」
「私はまだ独身なので分かりませんが、父親は一緒に暮らさないとダメだから、一緒に暮らしたいと思います」(本気かよ!?)
なるほど、証言するに当たって、ちゃんと心の準備がされてるワ。全く準備不足の感が否めない弁護側の「唯一しっかり準備されてた証人尋問」て感じで、裁判官はきっとお見通しなんだろな、と思った。
ところで、私の横で大学ノートに傍聴の様子を書き留めている傍聴マニアのSさん、いつの間にか被告人の似顔絵を描き上げていて、それがまあソックリなんで驚いた。
知り合いが見たら一発で被告人だと判るくらいの出来で、実によく特徴を捉えていた。会計士やめても警察でモンタージュ絵師として雇ってもらえそうなくらいである。
さて、証人との間に衝立まで立てられていた元ヤクザである被告人、どれくらいの強面だったか、というと・・・、
全くショボくて冴えないタダの年寄りなんだよね、これが(*^^)v
きっとムショから出たらまた犯罪を犯すよ、このオッサン。だって、
表情から「家族愛」に甘えきってるのが見て取れるもんね。カーッときたら刃物振りかざして人を傷つけたり殺そうとするくせに、捕まると
塩をぶっかけられたナメクジみたいに大人しくなってしまう。娘も内心では呆れていながら毎度の「お涙ちょうだい証言」を繰り返す。
本気かどうか知らないけど、「出てきたら、私が一緒に暮らします」なんて言ってるようじゃ、父親は更生なんてしないよ。無理だね

それにしてもSさんには「いい体験」をさせて頂いた。実に手馴れた感じで「いくつもの法廷を梯子させてくれる」サマは、ベテラン添乗員にくっついて海外旅行しているような感じで頼もしかった(*^^)v
次回の審理は27日の予定。テレビドラマなんかと違い本モノの裁判は実にリアルで面白いが、あの弁護人では
ほぼ求刑通りの判決になるのはミエミエだから、興味はあるが続編を傍聴する気は無い。
posted by poohpapa at 05:57|
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