2017年12月24日

at home の機関紙「TIME」より、気になった記事

不動産の広告媒体である at home 社の機関紙「TIME」に、気になった記事があった。

ある判例を紹介していて、それは退去時の敷金清算に関する裁判の判決に関するもの。

「特約があったとしても、それが通常の損耗にとどまる限りは、クリーニング特約に基づく費用を賃借人の負担とすることはできないとされた事例」、という内容。

ほとんどの業者が東京都の賃貸住宅紛争防止条例に従っていて、「敷金は原則お返しするもの」というスタンスだが、退去時に専門のクリーニング業者を入れて、その費用を入居者の敷金から差し引いて残りを返す、ということは認められている。入居者のほうも、荷物を積み込んだトラックが出て行っているのに部屋に残って掃除をするなんてことはしたくないものだし、貸主と借主の利害が一致していて極めて妥当な話だと思う。当社は契約時に「退去時は一切の掃除をしないでください」とお願いしている。

と言うのも、素人が掃除しても、そのまま次の入居者に貸す、なんてことは出来ない相談。どのみちプロにやり直してもらうことになるから不合理。以前は「自分の知り合いの業者に依頼させてくれ」と言われて任せたらヒドイ仕上がりで、結局当方の指定業者で改めてクリーニングすることになった。入居者からしてみれば「少しでも浮かそう」ということだったんだろうけどダブルで支払うことになった。

中には、貸した時よりキレイな引っ越し、というのもあった。ただし、28年間の賃貸不動産管理歴の中で2件のみ。つまり、10年に1件もないということ。いずれのケースも、貸した時よりキレイなくらいだったのだが、家主が「敷金からクリーニング代を引いてくれ。壁紙も畳も襖も入居者に請求してくれ」と言って聞かず、説得しようにも応じなかったので当社は管理を降りている。

冒頭の訴訟、入居者は敷金の全額返還と慰謝料も請求していて、慰謝料に関しては「理由が無い」ということで却下されているが、「クリーニング費用に関しては特約があっても通常の損耗であるなら差し引くべきではない」という判決。入居者は7ヶ月しか入っていなかったようだが、期間が短いからこそ逆に借主負担でいいように思う。それより、入居者がなんでこんな裁判を起こしたのかが解からない。弁護士も付けているだろうから、戻ってくることになる21000円より訴訟費用のほうが大きいだろうし。

東京都の賃貸住宅紛争防止条例では、但し書きで「予め、貸主と借主の合意があれば、その合意内容に従ってもらってかまわない」となっていて、東京地裁の判決は都条例を無視している。まあ、「予めの合意があれば(借主にとって不利な特約でも)それに従って良い」なんてことで良いワケないけど。

東京地裁はたまにおかしな判決を出すようで、我々管理会社は契約時の説明をしっかりしておかないと後々困ることになるだろう。今回のケースでは家主が自分で掃除していたとのことで、もし業者に依頼していたなら判決も違っていたかも、と思う。アパート経営は傍から見るよりたいへんで、「何もしないで黙っていても箱だけ作っておけばカネが入ってくる」というものではない。投資額も半端ではないし、一部屋退去したなら数十万のリフォーム代が掛かるし、定期的に(およそ10年ごとに)外装のリフォームもしなければならない。にも拘らず、裁判所は「家主 = 資産家」「借主 = 弱者」と決めつけている。

我々不動産会社(管理会社)は貸主借主の双方の利益を護るべく公平な判断をしなければならないもので、実はそれがとても難しい。言葉を選んで慎重に話しても伝わらないこと、理解して頂けないこともある。カネが絡めば尚更である。引越しの立ち会いと精算は手数料を頂きたい、と本音では思っている。

posted by poohpapa at 07:09| Comment(7) | 不動産業界(全般) | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする