2018年01月15日

人は見かけによらないもの、過去最大の落差

伊勢丹の地下のワイン売り場に、馴染みのソムリエさんが来ているので行ってきた。

うちのと私とで試飲をして今回のフェアのワインを物色していると、そこに小太りのご婦人がカートに体を預けるようにして押してやってきた。着ているものはジャージと安っぽいカーディガンで、見ていて寒々とした感じ。電車で多摩郊外から来たとかで、ソムリエさんとは顔なじみの様子。下の段にも籠を入れて先に何か購入していたようだが上の籠は空っぽ。「これから何か値引きシールが貼られた食材でも購入するのかな」くらいに思っていると・・・、ソムリエさんと阿吽の呼吸で短く会話をしながらワインを籠に入れてもらっている。

「へえ・・・、このオバサン、ワイン飲むんだ・・・。どう見ても、家で一人で焼酎をあおっているのがお似合いの雰囲気なんだけど・・・」と思っていたのだが・・・、

ソムリエさんは、先に来ていた我々や他の常連さんよりそのオバサンを優先して対応している。もちろん我々がそんなことで怒ったりしないのは承知している。いつも他のお客さんが来ると「先にやってさしあげて」と言って、いちおう我々も客だが、商売の邪魔にならないよう順番や立ち位置を譲っている。

オバサン、初めて見たワインこそ試飲するが、以前も出ていたワインは「知っているから(試飲はしなくて)いい」と試飲を断っている・・・、コスパの良い客である。今回のフェアのワインと過去のフェアで出されたワインの違い、作柄、味の好みなどから、「じゃあ、今日はこれを2本入れときましょうね、こっちはどうします?」 「それも入れといて」などと言いながら、上の籠の中はアッと言う間に6種類のワインが2本ずつ12本。さらに3本追加して、「12本は送ってもらって残りは持って帰るわ」とのこと。そっか・・・、上の籠が空っぽだったのはこれからワインを入れるためだったのか・・・。

15本もまとめて購入するのだから我々なんかよりずっと裕福であるのは間違いなさそう。「このオバサン、タダ者ではないな、何やってる人なんだろ?、万一これで生活保護ならアタシャ怒るよ」と興味が湧いたので、一段落ついたところで「何かご商売でもなさっているのですか?」と訊くと・・・、



「医者です」との答え。一度に大量のワインを購入しているけど、見た目からは「生活保護までいかないにしても一歩手前、将来は孤独死か」という風体だったのだからビックリ。まさに、過去最大の落差、である。私が更に突っ込んで「何科のお医者様ですか?」と訊くと、「眼科です」とのこと。

失礼を承知で「そのワインはお一人で飲まれるんですか?、一晩で1本ずつくらい?」と訊くと、「多い時は一晩で5本くらい空けちゃいますよ」と笑う。ドラマに出てきそうなお医者様である。こういう人は意外と腕が良かったりするものだが、私の白内障の手術はこのオバサンには頼みたくないかも (^◇^)

それにしても見事な買いっぷりで、ソムリエさんとの強い信頼関係が伝わってきて見ていて気持ちいい。個人で一度にあんなに購入する客は珍しいし、試飲もほとんどしないでソムリエさんのお薦め通りに購入しているのが凄い。我々と同じで、そのソムリエさんが伊勢丹立川店に来ている時しかワインを買いに来ないらしい。気持ちはよく解かる。そのソムリエさん、過去のやりとりをしっかり覚えていて客の好みを熟知している。我々だけでなくすべての常連客についてしっかり記憶しているのはさすがプロ。

そのソムリエさんからワインを購入するためにけっこう遠くからやってくる常連客も多く、ソムリエさんは、行けば必ず名前で呼び掛けてくれる。それは大切なことで、難しいけど見習わなければ、と思う。

それにしても、人は見かけによらない、と言うが、過去最大の落差だった。帰りがけに「見事な買いっぷりを見せて頂きました。有り難うございました」と声を掛けると笑って会釈してくれた。怒ってはいないと思いたい。


posted by poohpapa at 06:25| Comment(4) | 私の街 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする