数日してヤフオクから「おめでとうございます、あなたが落札しました」とのメールが届いた。他に入札していた商品は無く、「え、何で?、何が起こったの?」と思っていたら、どうやら落札者が辞退(音信不通)になっていたようで、それで次点の私が繰り上げ当選ならぬ繰り上げ落札になった模様。
こんなのは初めてだったが、繰り上げ落札を受け入れるかどうかの意思をクリックすることになっていて、まあ折角だから落札させて頂いた。その双眼鏡には申し訳ないが、どうしても欲しかった商品でなく、もし千円で落札できるなら誰かに差し上げてもいいかな、と思っただけ。これじゃ断捨離は遠くなるばかりだが・・・。
イタズラ入札のつもりでなく、元々が「落札価格は2千円台くらいだろうな・・・」と予想していて、まさかに千円で入札して放置していた自分にお鉢が回ってくるとは思ってもみなかった。だから高値更新になった時には「良かった、私が呼び水になって値段が上がっていきそう」と喜んでいたくらい。
もっとも、私が千円で入札していなければ、もっと安い金額の入札者が次点になっていたかも。
で、落札した双眼鏡がこちら、
ケースも肩紐も付属している。一流メーカー品ではないが千円ならお買い得。実は、ニコンの9 × 35Aという高級双眼鏡は持っているし、ビクセンの単眼鏡は2個も持っているが、ニコンの9 × 35Aは嵩張るし、単眼鏡では物足りない。中間があってもいいかな、と思ったが、おそらくは使わないだろう。
旅行に持って行くなら、単眼鏡でもいいし・・・。ならばどうして落札したか、と言うと、その質屋さんと一度取引したかったから。もう10年以上前、私は浦和にあるその質屋さんに行ったことがある。ダンヒルの女性用金無垢時計が2種類出品されているのを見て、ダイヤベゼルのほうをうちのに贈ろうと思ったのだが駒が足りない・・・。もう一方は腕周りが長くて駒が余りそうだったので、「そちらから2コマ外してダイヤベゼルに足してもらうことが可能かどうか」訊いたら「一コマ8千円でいいですよ」との返事。
時計自体は20万だったので、代金を先に振り込んで浦和のお店に行ったのだが、店主の息子さんが「たいへん申し訳ありません。ソックリ同じだと思っていましたが、微妙に違っていまして駒を移動することができません」とのこと。仕方なく諦めて帰ってきて代金は振り込みで返して頂いたのだが、その際、私が振り込んだ金額より千円多く振り込まれいた。おそらくは交通費を考慮してくださったのだろう。
そのことで、その質屋さんが非常に良心的だと判る。以来、その質屋さんの出品はアラートに登録していて毎日欠かさずチェックしていた。そして、その1円出品の双眼鏡に出会ったのだ。
PCで「繰り上げ落札を受け入れるかどうか」を問われて、「はい」をクリックする前に私は質屋さんに電話を入れた。「千円で落札できるのは嬉しいのですが、それだとそちら様は赤字になるのではありませんか?。辞退いたしましょうか?」と伝えると、以前お目に掛かった店主(奥様)は笑ってこう仰る。
「それがオークションというものですので、どうぞ気になさらずご愛用ください」と。
それで、その双眼鏡が私の手元に届いた次第。私が死んで、うちのが遺品整理に困ったら、既に「誰に差し上げるか決まっている物」を除いて、その質屋さんに引き取って頂くのもアリかな、と思う。
これもご縁だから。