2019年01月13日

もっと早く伺えば良かったわ・・・

昨日のお昼、うちのと買い物に行っていたら携帯が鳴った。登録していない番号である。

出ると高齢のご婦人の声で「今、店の前に来ているのですが、お留守で・・・、何時頃戻られますか?」とのこと。「30分ほどで戻りますが・・・」と言うと、「難しいかと思いますが・・・、相談に乗って頂けますでしょうか?」と続ける。実に謙虚でいらっしゃって、それだけのやり取りでだいたい相談の内容を察したので、「ご心配には及びませんよ。何でもご遠慮なく仰ってください」と言ったら、もう涙声になっていた。

用事を済ませて急いで店に帰ったら、私が店に戻るまで床屋さんで時間をつぶしている、との話だったが、店の前でお待ちになっていた。中に入ってもらい、用件を伺うと、想像したとおりの内容。「高齢者だし、どこも貸してもらえないんじゃないかと思って・・・」と言うので、「そんなことはありません。必ず見つけますから安心してください」と言うと、涙を拭き始めた。涙もろいご婦人である。

「どこに行っても『うちじゃ貸せる部屋は有りませんね』と言われるものとばかり思っていました」と言う・・・。それで「うちは何軒目の不動産屋ですか?」と訊くと、「実は、ここ数日、この前の通りを何度も歩いていて、何となく、こちらに入ってみようと思ったので、こちらが初めてです」とのこと。数年に一人くらい、そういうお客さんがいる。過去には「吸い寄せられるように入りました」なんてお客さんもいた。

先日も、生活保護のお客さんで、やはり店の前から電話してきて、私がすぐには戻れなかったのに他の店には行かずに待っていてくれたお客さんがいて、「電話で話して、ここで決める、と思ってたから」とのこと。ご縁なんだろうけど、ここんとこ新規のお客さんは生活保護の人ばかり・・・。

で、状況を伺うと、いろいろ苦労なさっていた。ご主人を15年ほど前に亡くし、一人息子も後を追うようにくも膜下出血で失っている。今は天涯孤独の79歳で、驚いたことに、ちょうど一回り違いの兎年で誕生日は私と同じ。長くこの商売をしているが、私と同じ誕生日のお客様は初めて。

生活保護なのだが、引っ越し費用は役所からは出ないらしい。今のアパートは7年も入っているし、同じフロアの住人から嫌がらせを受けているので、交渉次第では契約金も引っ越し代も出るのでは、と思えた。「再度役所の担当者に交渉して、ダメならもう一度来てください。別の方法を考えましょうね」と言うと、また涙。

「ずっと悩んでいました。こんなことなら、もっと早くこちらに伺えば良かった・・・。不動産屋さんにこんなに優しくしてもらえるとは思わなかった」と泣いている・・・。不動産屋冥利に尽きるお言葉であるが・・・、私は現在「自己嫌悪」の真っ最中。そんなふうに褒めて頂けるような人間ではない。

「いえいえ、実は2面性も3面性も持っていて、相手によりけりなんですよ。家賃を滞納して不誠実に逃げ回ってる相手には、『テメエ、ふざけるな!』と怒鳴りつけることもありますから」と、言わなくてもいいことを言ったりして・・・。感激してもらって、泣きたいのは私のほうだった。

それにしても、店のウィンドーに(理由を添えて)「当店は武蔵村山市と立川市の生活保護受給者の方の部屋探しはいたしません」と貼り出しているのに、誰も見てくれていないみたい。ま、ご紹介とか来店されたなら門前払いはしないけど・・・。心中複雑ではあるが、必ず、良い部屋を見つけてあげよう。

posted by poohpapa at 05:30| Comment(4) | お客さん | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする