2019年08月09日

業界に激震が走る判決

この業界が長年「うやむや」にして営業していた問題で、ついに判決が下された。

賃貸住宅の仲介手数料は原則0.5カ月分 手数料の一部返還認める 東京地裁
毎日新聞 2019/08/08 18:03

判決そのものは正しい。法律に照らせば「全く文句の付けようがない判決」だと思う。ただし、現実からはあまりに乖離している。現実・・・、「もうそれが常識になっている」ということでなく、「そんな手数料(折半)で賃貸仲介管理の不動産屋の経営は成り立たない」ということ。

私はADには反対だが、仲介手数料の客付業者100%、元付業者には貸主から広告代名目で賃料の1ヶ月分が支払われるのは仕方ないと思う。営業努力ではどうにもならないくらいの話だから。

以前に当ブログでも書いているが、本来、法律では「賃貸の仲介手数料は貸主と借主が家賃の50%ずつを支払い、それを元付業者と客付業者が折半する」規定になっていて、私がこの業界に入った30年前にはほとんどが折半で、やがて「仲介料客付100%」という広告が出始め、今はそれが常識になっている。数年に一度くらい「手数料折半」との広告を見かけると「へえ、珍しいなあ」と珍獣を見つけたように感動したりして。

「ただし、借主が予め了解した時は客から賃料の1ヶ月分を受け取ってもいいが、その場合は貸主からは受け取ってはならない」、つまり、負担割合が変わることがあっても上限(家賃の1ヶ月分)は定められている、ということ。昔は家主に「大家さんも手数料を払って頂けませんかねえ」と言い辛くて、借主が了解したことにして「借主に全部出させる」ことにしたのが実情ではないか。昔はそういう空気だった。

今でこそ仲介手数料の半分どころか、管理会社には広告代として1ヶ月、そしてAD(客付業者へのボーナス)まで付けていて、貸主の負担は折半なんてもんじゃないが、それは借手市場になったから。

以前も書いているけど、

重要事項説明書の一番下に、「上記の説明を受け、仲介手数料として賃料の1ヶ月分を支払うことに同意します」とあって、説明を受けた証のついでに署名押印をもらうことになっていて、それをもって「借主が1ヶ月分の手数料を払うことに予め同意した」と見做しているが、それは間違い、ごまかし。

それは、「借主が同意した」のではなく「借主が知らなかった」だけのこと。「実は、法律では仲介手数料は貸主と借主が50%ずつ支払うことになっていますが、現実的にそれでは不動産屋の経営は成り立ちません。今はお客様にも家主さんにも100%をご負担頂いているのが実情です。お客様が100%お支払い頂くことは可能ですか?」と訊いて了解を頂けたら、それが「借主が了解した」ということで、仲介手数料の欄に家賃の1ヶ月分の金額が書いてある契約金の明細書を渡して、その額を持参したり振り込んできた、重説に署名押印をもらった、それで「借主が了解した」と主張するのは無理がある。

そのことはずいぶん昔に協会の役員にも「不動産政治連盟などという組織まで作って特定の議員を応援するなら、何かで業界に有利になるような内容に法案を変えてもらう働きかけをするより、我々が安心して営業活動に励めるような法案にしてもらえるよう働きかけるほうが先ではないか」と話したことがあるがスルーされている。他にもいろいろ具体的に提言してきたが全てスルー、というか無視。

私はこの件では、当初はお客様にちゃんと説明して了解を頂いていたが、ある時、半月前に解約を申し出た客がいて、「来月の15日まで賃料が発生します」と説明したら、「アンタ、仲介料は本来は半分、て言ってたよね。そんな話は聞いてなくて1ヶ月分を支払わされた、って都庁に訴えるけど、それでいい?」と言われて、それでちゃんと説明するのをやめた。ただ、ここ数年は再び説明していて、当然に、拒絶されたことはない。

もしも、客のほうから先に「仲介料って、ほんとは半分でいいんですよね?」と言ってきたら、いくら借手市場であっても審査で落とすかな・・・、先々いろんなトラブルが起きそうで。

今回のケース、ある意味、東急リバブルは被害者だと思う。原告は仲介料の規定に関して予め知っていたのではないか、と思われる。だいいち、「おかしい」と思ったなら先ず東急リバブルに訊けばいい。私は、この程度の金額で裁判を起こす人間のほうが信用できない。いろいろ有ったのかも知れないが。

さて、私の提言を無視し続けてきた役員や協会、どう対応することやら。今の役員じゃどうすることもできないと思う。せいぜい会員業者に(表向きだけ)「しっかり説明して了解を頂くように」と指示するくらいしかできないだろう。こういう判決が出て慌てて渋々対応するのが関の山だったりして。役員たるもの業界の10年、20年先を見据えていなければならないものだが、3年先すら見えていないのが情けない。



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posted by poohpapa at 05:47| Comment(6) | 不動産業界(全般) | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする