人間、というか、世の中うまく出来ている。人の一生は、良いことも悪いこともあって押しなべてチャラ。何をもって幸せと思うか、の基準や価値観は人それぞれだけど、良いことばかりも続かないし悪いことばかりも続かない、平均寿命くらいまで生きるとしたら誰もが同じくらいの幸せを得ていると思う。
ただし、「どうして私ばっかりこんな目に」などと常に悲観的にネガティブ思考で生きている人は、傍から見れば「あれで何の不足があるんだろう」と思えても不幸だし、逆に「たいへんな苦労をしているな」と周りの人は思っても、前向きに生きられる人は幸せだったりして、要は「幸不幸は本人次第」ということ。
一昨日は「気分が悪い一日」だったが昨日は一転して「気分が良い一日」だった。
朝一番で「二度ほどそちらに伺って部屋探しの相談に乗ってもらったNですけど、今日の午前中はお時間ありますか?」と電話が入った。自分で見つけてきた物件の内見をしたい、ということで、「3時半までは予定が入っているので、それ以降でしたら大丈夫なんですが」と言うと、3時ころやってきた。
3時からは更新のお客様がみえるので早すぎたんだけど、ま、仕方ない。そのNさん、先日、うちの店で過去2番目に長い4時間半も世間話をした相手である。Nさんだけの所為ではないが「あの日、私の帰りが遅いので、うちのがそろそろ警察に捜索願を出そうかと思ってたみたいですよ」と言ってやった。
実は、その物件の管理会社が判らず、それを調べるだけで時間が掛かってしまった。私も過去に客付けしたことがある物件だったが、10年ほど前に売却されていて、今はいろんな業者が入居者を募集しているから管理会社がどこか判らない。レインズにもアットホームにも出てなくて、現地に行ってみたらゴミ置き場に消えそうな小さな文字で管理会社名が書かれていたので問い合わせたら管理会社だった。
現地対応の鍵が合っていなくて開かなくてアタフタしたが、安い賃料に見合わない良い部屋で、私ならもう1万高く設定しそうな部屋。建物は古いが希少な物件。なので、広告は出してなくても直ぐ決まることだろう。Nさんが「これは2〜3日考えてる間に無くなってしまいますよね」と言う。私もそう思う。今日は見るだけで決めないつもりでいたようだが、そのまま私と一緒に管理会社に行って申し込みを済ませた。
そんな話なら年に何回もあること、どうして昨日が「気分が良い一日」だったかと言うと・・・、
Nさんが、「私が2度も部屋探しを頼みに行っているのに、坂口さんは『あなたは一人暮らしをしないほうがいい。家を出ないで娘さん夫婦と一緒に暮らしていたほうがいいと思いますよ』と言って部屋探ししてくれませんでしたよね。それで、部屋を借りるなら坂口さんとこで決めようと思ったんですよ」と仰ったから、である。私は、自分がいくら儲かるかより、お客さんが喜んでくれることを優先する。結果的に利益にならなくても、お客さんが喜んでくれたらそのほうが幸せだし十分な見返りになる。
私のアドバイスの内容、Nさんも納得してはいたんだろうけど、「家を出る」という結論は変わらなかったようだ。最終的に、部屋を借りるかどうか、どの部屋にするかはお客さんご自身が決めることで、私は、なるだけ間違いのない選択をして頂けるようアドバイスするだけだから、それ以上は言わない。
もちろん、そのことを解かってくださるお客さんばかりでなく、(まだ書けないけど)一昨日の客みたいなのもいる。こっちの善意を逆手に取るような奴もいる。だから、Nさんのようなお客さんに出会うと凄く嬉しい。良い出会い一つだけで「良い一日」になる、ということ。なので、ちょっとお返しをした。
広告の下のほうを指さして、「ここに、AD1ヶ月またはフリーレント1ヶ月分も可、と書いてあるでしょ。ADというのはボーナスのことで私が貰えるもの。ですが、フリーレントを選んで家賃発生を4月からにしてもらいましょうね」と提案した。するとNさん、「これっぽっちの手数料にしかならないのに、そんなことしてくれなくていいですよお。ボーナスで取ってください」と辞退しようとするが、「そうですかあ、じゃ遠慮なく」と私が言うワケが無い。先日の、私の半田高校の後輩が決めた物件にもADが付いていたが、それも還元することにしている。自己満足と言われようと私は凄く幸せ。
ところで、管理会社で我々に対応してくださった年配の女性、たいへんな苦労人、だと思った。相手を思いやるお人柄が表情や言葉に現れていて、苦労していなければ、そしてそれが身に付いていなければ、あんなに温和なお人柄にはなれないだろう。そのことも昨日が「気分が良い一日」になった理由。
順番からすると、今日は嫌な一日になるのかなあ・・・、ま、いいや (^◇^)