2020年04月17日

これは逆かも、と思う部分もあるが概ね納得

「高齢者お断り」の賃貸住宅が増えている理由 入居者を守るための法律が逆に足かせに
東洋経済 OMLINE  一井 純
2020/04/12 07:35

東洋経済はここんとこ「路線変更したのか?」と思えるくらい意図的に読者をミスリードする記事が目立っていたが、これはマトモな記事だと思う。不動産業者として内容にはほぼ共感できる。

今は割と高齢者でも「生活保護」を受けている人であれば、毎月の家賃が役所からの代理納付により滞納される心配がないので審査が通るようになった。ただし、それも年齢による。代理納付は本人の了承が要るから、本人が拒否して、役所から家賃と生活費を受け取り、そこから自分で家賃を振り込む、という人は私は審査を下ろさない。他で使ってしまって家賃を後回しにされる可能性があるから、である。

家賃だけで「安心できるかどうか」は決まらない。記事にもあるように、認知症の発症で徘徊するようになったり、孤独死する可能性もある。貸す側にとって最も怖いのは「火の始末」である。それらの不安を解消するためには役所、生活福祉課とか社会福祉協議会の協力は欠かせない。ま、立川市の場合は生活福祉課が「我々の仕事は生活保護受給者に保護費を渡すまでであって、後のことは関係ない」などと言い切っている始末。「家主は家賃をもらってるんだから後はそっちの責任で何とかしろ」ということか。

立川市の生活福祉課からすれば市民である高齢者が孤独死しようが家主が困ろうが知ったこっちゃない、というのが本音のようだ。私も全宅立川支部に「市と話し合って、何かあったら役所も協力する約束を取り付けるべき」と提言したが、当時の支部長の福本は「一切回答いたしません」で終わりだった。ちなみに、町田支部では役所としっかり話し合いをして何かの際の協力の約束を取り付けているらしい。

それでなければ、いくら「生活に困窮している人たちの為のセーフティネットが必要」と訴えたところで家主や不動産業者の協力は得られない。当たり前である。いろいろあって、うちの店のウインドーには「無責任な武蔵村山市と立川市の生活保護受給者の部屋探しはいたしません」と貼ってある。

よく私も高齢の入居者さんから「歳を取ったら貸してもらえる部屋が無くなるんですよね」という相談を受けていて、「そんなことはありません。○○さんは今までだって一度も家賃を滞納したり近隣トラブルも起こしていないのですから信用があります。私がうちの管理物件の家主さんに『何かあったら私が責任を取ります』と言えば、審査を通してくださる家主さんは必ずいます」と言うと安堵している。ただ、役所が責任を放棄しているようじゃ今後はそんなこと言っていられないかも。

業協会も、公益法人というなら家主や高齢の入居者の不安を解消すべく役所に働きかけたり、勉強会を開いていろんな意見を集約して各関係機関に提言するなりすればいい。新支部長は元支部長の福本とどっこいどっこいの人物だから「言うだけ無駄」だとは思う。だから何も言わない。

全国に820万戸もの空家があっても、残念ながら虫食いで空いているアパートにコロナ患者を隔離するワケにもいかないもの。ではあるが、未曽有の国難に対して不動産業協会として何かお役に立てることは無いものか、知恵くらい絞ってみてもいいだろう。支部だけでなく本部の役員の中からもそういう声が上がってこないのはどうしたことか。事務的に寄付金を集めるだけで協力した気になるのでは情けない。

と言っていても、私も今のところ名案が浮かばない。皆で知恵を寄せ合えば希望が見えてくるかも。

この東洋経済の一井 純 さんて記者、よく解かっていらっしゃるから丁寧に取材なさっているんだろな。





posted by poohpapa at 07:10| Comment(6) | プロとしての見解、アドバイス | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする