テリー伊藤 原宿の店閉店決断「やめても家賃を半年間払ってと」
デイリースポーツ 2020/05/10 11:01
店舗の場合は一般的な住居と違って次のお客さんが決まるまでに期間を要するから、「退去予告は3ヶ月〜6ヶ月前」と約定されることが多く、たぶん、契約で「6ヶ月前までに」ということになっていたんだと思う。店舗や事務所は通常なら(経営が厳しくなっても)急に今月中に店を閉める決断になる、なんてことは少ない。だから、会社の規模が大きくなるほど解約予告期間は長くても大丈夫なもの。今回はコロナの影響で「店を閉めざるを得ない状況が急に来た」ということは考えられるけど。
貸主からすれば「すぐに閉めて出て行ってもいいけど、それなら約定通り6ヶ月先までの賃料は払ってね」ということになる。もちろん、貸主のほうから「こういう世情なので、そこまで厳格でなくてもいいですよ。3ヶ月くらいにしましょうか?」と言ってくれる分にはそれでOK。借主から交渉することは問題ないが、貸主が拒否したら契約書の約定が優先される。そうであっても管理会社や貸主に不備は無い。
経営が苦しくなっているから店を閉めようというのに、「6ヶ月分の賃料を支払って」と言われたら辛いものがあるだろうけど、貸主もそれで商売をしている、食べていっているのだから責められない。にも拘わらず、テリー伊藤のような有名人がテレビ番組で打ち明けたら愚痴が愚痴でなくなったりして。
うちの店にも店子さんから「緊急事態宣言中は店を閉めることにしました」という連絡が入る。その後ろに「店を閉めている間の家賃を免除してもらえないか」という言葉は無いが、本音では「期待している」と判る。ただし管理会社の立場では、こちらから家主さんに「免除してあげましょう」とは言えない。
どうかすると、普通の住居の入居者から「来月の家賃は待ってもらえないか」とか「家賃が下がることはないのか」との問い合わせが入る。店舗の場合は(このコロナ禍で)国や地方自治体が条件付きで補償することもあるが、貸主からすればその分の補填がされないなら「検討します」とは言えない。
以前も書いたけど、企業でいえば「内部留保」、個人でいえば「貯金」が全く無いものかねえ、と不思議に思う。先々が不安だからできれば自分の貯金には手を付けたくないから、公共料金は待たせられないし、「言いやすい相手」に待ってくれるよう頼もう、ということなんだろな。それが不動産屋と家主。まあ、家賃の場合は2〜3ヶ月滞納したところで直ぐに「さあ、出ていけ」とは言われないし。
携帯電話なんかすぐ止められてしまうし、今の若者が「止められたら一番困るもの」が携帯で、電気、ガス、水道より優先順位が高かったりする。それらを全部待ってもらうより、家賃を待ってもらえるなら一発で片が付く。昔は「家賃が一番先」で、給料をもらったら家賃を先に除けていたものだけど。
昨日も、家賃を5ヶ月滞納している高齢者の部屋の「風呂釜が壊れた」との連絡がガス会社から入った。23年も使っていたものだし、家主さんが交換すべきものだけど、私も納得がいかない。生活保護を申請するよう勧めているのだが、「自分が働けるうちは頑張る」と言っていて、一方で「必ず追いつかせるから連帯保証人(息子)には連絡しないでくれ」とも言う。いろいろ事情はあるんだろうけど、このままでは管理会社の仕事にならない。本人の了解を取って社会福祉協議会に相談してみようかな・・・。
そうそう、テリー伊藤のケース、貸主や不動産屋には何ら責任はないのだから、「そういうつもり」でテレビで発言したワケではないだろうけど、約定通り、ちゃんと払ってあげてほしい。払えるだろうしね。