2020年11月07日

私はアナログのほうが好き

河野太郎行政改革相が「押印廃止」を唱えていることに長崎幸太郎山梨県知事や全日本印章業協会が猛反発している。印鑑で飯を食っている人たちからすれば死活問題なんだろうから当然である。

何でも欧米に倣えばいい、というものではない。人権も自由も然り。度を越した人権(権利意識)や責任の裏付けの無い自由が、日本という国をどんどん住みにくくしているのと同じ。手本にすべき欧米の文化もあるが、日本独自のアナログ的なやり方があっていい。

不動産業界にいると、書類に朱色の陰影があれば遠目に見ても「ああ、契約書の原本だな」と判るし、「一つしか陰影が無いから家主さんの署名押印はまだ頂いていないな」と判る。ま、今は2色コピーやカラーコピーもできるけど、署名だけだと原本かどうか即座に判別できなかったりして・・・。

実は、私は他人の筆跡を真似て書くのが得意。筆圧までは真似できないが、癖字であればあるほど真似やすい。あえて本人の署名でなくて良いものは私が代筆することもある。それで何かで引っ掛かったこともトラブルに見舞われたことも無い。印鑑を預けてくれている家主さんもいる。

更新契約の際には連帯保証人の押印を省略している。最初の連帯保証人引受承諾書に「契約が更新される場合は連帯保証人の責任も継続される」と謳ってあるし、連帯保証人欄は契約者本人に代筆してもらっている。同業者の中には、更新契約でも連帯保証人に契約書を郵送して直筆の署名と実印での押印をもらっている業者もいて、そこまでするのが当然なんだろな、とは思う。署名押印をもらっても、連帯保証人が何かの際にちゃんと責任を取ってくれることは1%も無いから、印鑑(押印)の意義を認めてはいないのだが、押印廃止にしたら、今度は「本人の署名かどうか」で争いも増えるだろう。

いっそ印鑑登録に使用できる印鑑を特殊なデザインのものでも認めればいい。名字だけとか三文判でも印鑑登録できてしまうからいけない。うちのは私のブログ仲間さんが特注で作ってくださった「名前と猫の顔」が彫られた印鑑を持っていて、そういうのを実印に登録すれば偽造は困難だと思う。

「押印廃止」なんて、役所や省庁間でのみルールを定めて実行すればいい。それを民間にまで押し付ける必要も意味も無い。違う文化を受け入れて定着させるのには相当な年月が掛かるし、廃止することの不利益のほうが日本では多いのではなかろうか。私は、「アナログは遅れている」とは思わない。


posted by poohpapa at 07:12| ニュース | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする