2ヶ月ほど前に、うちののメガネを新調したメガネ屋さんから挨拶状(葉書)が届いた。
良い実例なので店名を出して書きたい。
昨年の今ごろ、私が立川市の森山眼科クリニックで両眼とも白内障手術を受け、メガネの処方を出してもらい、提携しているメガネ屋さんのリストを見たら、見覚えのある店名があった。私が高校を卒業して最初に就職した眼鏡光学器の卸会社のお得意様だった「くにたちメガネ」さんである。
今から50年前、私はいつも便利屋さんに「くにたちメガネ」さん宛ての荷物を出していて、50年後の今もそのまま営業している・・・、それは凄いこと。あ、当時の便利屋さんは今の「何でも屋」と違って、各卸会社が午前中に注文を受けたレンズやフレームを昼過ぎに集配に来て、その日のうちに顧客に配達する業者のこと。それが便利だから「便利屋」と呼ばれていた。当時、1個の配達料は100円。それぞれ中央線、横浜、横須賀などと専門の地域(方面)があって、互いの領域は侵さない。
懐かしいし、せっかくならご縁があるお店で作ろうと思い、昨年は私のメガネを、そして今年はうちのの運転免許更新用のメガネを作りに行ってきた。短焦点だけど、私のメガネは9万くらい、うちののメガネは10万。うちののフレームは宝飾ブランドのショパールの製品。本当はもっと高かったけど、私が「50年前に清川商店にいて、くにたちメガネさん宛ての便利屋さんの荷物を出していました」と言うと驚いて、黙って値引きしてくださった。卸値を知っている相手との商売はやりにくいと思う。
立川にも眼鏡屋さんはあるけど、目に付くのは「メガネ市場」とか「メガネスーパー」といった安売り店ばかり。洋服ならそういう店でもいいけど、メガネは安売り店では買いたくない。
とても丁寧に接客して頂いたので、帰り際に、たまたま私のバッグに入っていたお菓子を「一口ずつにしかなりませんけど、これ、美味しいですよ。皆さんでどうぞ」と差し上げたのだが・・・、うちのに届いた挨拶状には、印刷された定文にキレイな手書きの文字で「先日頂いたお菓子、すごく美味しかったです」と添えられていた。へえ・・・、そんなこと覚えていてくださったんだ、と感激。直ぐに電話して、「またお届けしますね」と約束して、一昨日、仕事で近所まで行った際に届けてきた。残念ながら一昨日は担当者のKさんはお休みだったが、昨日、ご丁寧にお礼の電話を頂いた。それもまた嬉しい。
我々の不動産業界でも、そういう葉書の活用を以前から実践している会社もあると思う。もしかすると、この先は大手しか生き残れないことになるかも知れないから、適当な頃合いを測って、手書きで「何かお困りのことがありましたらご遠慮なくどうぞ」などとアナログ的な気遣いを示すことで生き残りが果たせるかも。ただし、メガネ屋さんが「具合が悪いところがありましたら・・・」と送るのと、不動産屋が「具合が悪いことがありましたらご遠慮なく」と言うのとでは物凄い開きがある。
クレームが来ても、メガネ屋さんは少しの手間だけで済むが不動産屋は「ご遠慮なく」と言おうものなら藪蛇になりかねない。それに、生来の悪筆だったりすると気後れする。ただ言えるのは、印刷された定文だけで送るなら送らないほうが良い、ということ。う〜ん、悩むなあ。
さて、Kさんが辞めたりしなければ、うちはこれからも「くにたちメガネ」さんを使わせて頂くと思う。