昨日の午後、(2月に)孤独死したTさんの実姉が来店して、今後に関する話し合いをした。
結論から言うと、「遺族は相続放棄するから、滞納家賃の支払いも片付けもしない」とのこと。「相続放棄すればそれらの責任から免れられる」と、知り合いの司法書士から言われたそうだ。だが、相続と連帯保証人の責任とは全く別のもの。だいいち、連帯保証人は遺族でなく、実姉の夫なのだし。
世の中、何かで追い込まれると、「知り合いの不動産屋が言っていた」「知り合いの弁護士が言っていた」と主張する奴がよくいるが、本当にそう言ったのかは判らない。いや、たいていは自分に都合よく脚色しているもの。「だったら、その司法書士や弁護士をここに連れて来いよ」、である。
実姉は、「私は以前の更新契約の際に『(主人が)連帯保証人を下りたい』と伝えたハズ」と言うが、「本人が新たな連帯保証人を立てられない場合、勝手に連帯保証人を下りるなんてことはできません」と伝えている。「更新契約の際、うちはサインも押印もしていない」とも言うが、私がサイン(記入)したワケでなく、連帯保証人の住所氏名はTさんが記入しているし、お姉さんからそういう話があったことと、「代わりの連帯保証人が立てられなければ義兄はそのまま連帯保証人となる」旨を伝えている。お姉さんに「そちらで連帯保証人を下りていると証明できなければ、その主張は通りません」と言ったが、不服そうだった。
私は、家主さんとも相談して、
一、明け渡しが未だ完了していないが、死亡していることが判った5月末までの賃料発生でよい
一、ちゃんと支払ってくれるなら滞納分に延滞利息は課さない
そして、もう一点、これは家主さんには伝えていないが、
滞納家賃および特殊清掃などの明け渡し費用を連帯保証人(遺族)が責任を持って支払ってくれるなら(家主か遺族のいずれかが受け取れる)日本共済からの保険金30万は遺族が受け取ってもらっていい
と、ご遺族の心情に配慮して最大限の譲歩をしていたつもりだが・・・、それは理解されなかったようだ。
昨日、(保険金が30万受け取れる)日本共済の申請書と鍵を返しに来た。「その30万を受け取ってしまってから全部断る」ということをしないだけまだ良心的とは思うけど。お姉さんも、口では「なるだけ家主さんに迷惑を掛けたくない」と言うが、やってることは迷惑でしかない。
家主さんとも相談して、「賃料発生は5月分まででいい」と伝えていたが、まだ明け渡しも済んでおらず、鍵だけ返されても正式に相続放棄がされなければ私も室内に入れない。相続放棄が認められるまで時間も掛かるだろうから、完全に明け渡しが完了するまでの日割り賃料も滞納利息も請求しよう。
そのアパートが事故物件になったことでの家主さんが被る損害もある。私としては、間に入って「妥当な落としどころ」を探って配慮したつもりではあるが、向こうが無責任な態度に転ずるなら私も考え直す。
日本共済への(30万円の)請求書に関して、「これを家主さんに渡してしまって、裁判でそちらが負けたなら、そちらの負担が30万増えるだけですよ」とも言ったが、もう目先の負担から逃れることしか頭にない。年金暮らしだろうから、その気持ちは解からなくはないけど。
後で新たな負債が出てきたら嫌だし、面倒だから相続放棄してしまったほうが良い、と考えたのだろうけど、都民共済の「病死による100万円の保険金」、相続放棄していても支払われる(受け取れる)なら、受け取ってもらって、最後まで責任を全うしてもらいたいもの。後で私も都民共済に確認しよう。日本共済と併せて130万が受け取れれば、それで全てカバーできるだろうけど、もうその意志は無いか。
家主さんはご高齢で施設に入っていらっしゃって、娘さんも病と闘っている。裁判までは出来ないことと思う。だが、裁判費用を私が負担してでも闘いたい、そんな気持ちになっている。
お姉さん、本来はそんな人ではなかったんだけどなあ・・・。私とTさんとお姉さんと3人で、Tさんのアルコール依存症を治すべく保健所やクリニックを訪れたりもしたし。もう忘れているかな。
弱っている時、困っている時に、自分に都合の良い助言をしてくれる人が現れると、人間、そっちの言葉を信じたくなるもの。ま、人間は弱いもの、人は変わる、人は裏切る・・・。
どこで家主さん(の娘さん)に全てを伝えるべきか、悩むところではある。もう遺族に配慮しなくても、昨日そう言ってきた時点で日本共済の請求書は家主さんに送ってもいいのかな。なんか、悲しいね。