一昨日、出先から戻ると、うちの店の郵便受けにちょっとした異変が起きていた。
うちの店の郵便受けは定形の郵便物しか入らず、定形外の郵便物だと折らなければ入らない。折ることができない場合はドアを開けて手渡しになるか、配達員が持ち帰るケースもある。
出先から帰るとドアの鍵を開ける前に先ず郵便受けをチェックするのだが、今まで貰ったことが無い奇妙な食べ物が入っていた・・・。普通はそんなものを頂くことは無い食品である。
何かと言うと・・・、
ゴーヤ、である。ゴーヤが1本、袋に入っていたりラップで包まれていたり、ということもなく、剥き出しで、名刺もメモも無い・・・。留守電に「今さっきゴーヤを届けに行ったのですがお留守だったので、郵便受けに1本入れておきました」などというメッセージも残っていない・・・。
あの、緑色で表面にいっぱい突起が有って、私はよく知らないのだけど(ホント)「大人のおもちゃ」を大きくしたような野菜で、沖縄出身者でなければスーパーに並んでいても「まず買う人はいないかな」と思われる野菜が1本・・・。お菓子ではないし、突然目にしたら気色が悪い。
そのすぐ後に家主さんとうちの店で打ち合わせする約束があったので、少し早めにおみえになった家主さんが郵便受けに入れて向かいのコンビニで時間つぶしをしているのかな、とも思ったが、違っていた。そうなると、モノがモノだけに、誰からか、が判らないと怖くて持ち帰れない。
誰かの嫌がらせかも、と思ってしまうような代物である。自分ちの郵便受けに突然ゴーヤが1本入っていたとしたら、みんな私と同じように考えることだろう。悶々としていたら、翌日ようやく事情が判明した。
先日うちの店で部屋を借りてくれた独身女性から「昨日、お店にゴーヤを届けたのですが、お留守だったので1本だけ郵便受けに入れておきました。本当は5本持って行ったのですが、入りそうも無かったのでとりあえず1本だけ・・・」との電話。欲をかくのでなく、だったら2本か3本入れておいてくれれば良かったのに・・・、である。その場合、2〜3本入っているのと1本だけとでは感じ方が違うから。
2〜3本入っていれば「誰か、お客さんが厚意で届けてくれたんだろな」と思えるが、1本だと「嫌がらせ」になる。何と言っても、あの形状の野菜なんだから。
で、実は、そのお客様は私が大好きなお客様の一人。若くして癌を患っていて、いろいろと大変な苦労をしているが気持ちが前向きで明るいから周りが応援したくなる人。このコロナ禍で失業していたが、引っ越しに伴って新しい就職先も決まり、第二の人生に一歩踏み出したばかり。「落ち着いたらランチでもしませんか?」とお誘いしている。もちろん、まだ最初の給料は手にしていないのだし私の奢り。
それにしても、これでやっと、頂いたゴーヤが安心して食べられる (^◇^)