先月末、ある入居者さんから「8月末でアパートを退去します」という連絡があった。退去日は確定しておらず、「退去の際は1ヶ月前までに予告すること」という約定があるので、「では賃料は8月末まで発生、ということで宜しいですか?」と訊くと、快く了解。それどころか、「契約書に謳っている2年間お借りしなかったことで違約金とか発生しますか?」と訊き返してきた。
私が「そういうことはありません。定期借家とかだと違約金が発生する場合もありますが、そういう契約ではありませんし、いつ退去なさるかは借主さんの自由ですから。逆に言えば8月末までは入居者さんの権利ですから、それまでに退去して頂ければかまいません」とお伝えすると安堵していた。
実はその入居者さん、4月半ばに入居したばかりで、わずか4ヶ月での退去。コロナ禍で仕事を辞めざるを得なくなり郷里の北海道に帰ることになったようだ。家主さんに伝えると、とても残念がっていた。
先日、入居者さんから電話があり、「引越しが8月13日に決まりました。ただ、時間が2時から6時までの間としか決まってなくて、立会いして頂く時間が決められないのですが・・・」とのこと。近所への引越しなら「後日改めて」ということもできるが、郷里は北海道。当社も盆休みに入っているが、「改めて立会いするのは無理ですから当日は何時でもかまいません。引越し業者が到着したらその時点で連絡ください。おそらくは積み出しは1時間もあれば完了するでしょうし、業者さんに訊けばおよその終了時間は判ると思いますよ」と伝え、家主さんにもそう伝えると・・・、
「お気の毒だし、北海道まで帰るとなると引越し代も高いことでしょうから、日割りは退去日の13日まででいいですよ」とのこと。私が「8月末までの賃料発生でご納得頂いていますし、家主さんも短期で出ていかれて大変なのですから8月末まで家賃発生で大丈夫ですよ」と言ったのだが、家主さんは譲らない。貸主が「それでいい」と言っているのに管理会社が「それはなりません」とは言えないもの。
入居者さんに連絡すると、驚きながらも喜んでくれた。そういうのも、入居者の人柄によるもの。感じの悪い奴だったなら私も8月末までの賃料発生で押し切ったであろう。人柄のいい人は得をするし、逆もある。
家主さんのそういう気遣いは管理会社も嬉しい。砂漠の中でオアシスを見つけたように(?)ホッとする。
ちなみに、引越し業者は「引越しのサカイ」、私が普段から「どの業者に頼んでも構いませんが、引越しのサカイだけは使わないでください」とお願いしている業者である。二度もトラブルを起こされているから私は推奨しない。ではあるが、先日、そのことを知らない営業(女性)がやってきて、「以前にサカイとの間で何が起こったのか」を話したら、後日、支店長を伴って改めてお詫びに来てくれた。
うちみたいな小さな不動産屋が一社くらい紹介拒否したところで何の影響も無いだろうけど、誠実な対応には感動した。なので、支店長と営業さんに、「今までは『引越しのサカイだけは使わないでください』とお願いしていましたが、これからは言わないようにします。ただし紹介もしませんからね」と伝えた。
その甲斐あっての「引越しのサカイ」の利用であろうか。そうだ、支店長に電話してやろう。うちが紹介したワケではないから「紹介料ちょうだい!」ではなく、「約束は守っていますよ」ということで (^◇^)
コロナに翻弄されて人生を狂わされている人も多いと思う。そんな中でも、お互いが相手を思い遣ることで多少なりとも「暮らしにくさ」「生きにくさ」をカバーしたり補うことができる、と私は信じている。
私たちは日本人なのだから。