普段から仲良くしている同業者がいる。通常のお客さんとは条件が違う部屋探しをしていて、先日も当社に問い合わせがあった。たまたま該当する物件が有ったが、ワケあってその物件を勧めたくはなかった。
それで、「そのお客さんの条件なら、(管理物件として)持っている業者はA社かB社だと思う。A社なら、直接Tさんに問い合わせしてみるといいよ」と伝えた。さらに、「私の名前を出してかまわないけど、うちは仲介料の分け前は要らないからね。手数料が減ったら互いにつまらないだろうから」と伝えた。もちろん、どちらの業者さんもそんなことを考えたりはしないけど、困っているお客さんのことを考えたらそうすべきだ。仲介料の分け前にあずかっても不法ではないけど、うちらの業界団体は公益法人、それで当たり前。
数日して、その同業者の営業担当Cさんから「おかげさまでA社のTさんから紹介して頂いた物件で決まりました」と丁寧な報告を頂いた。お客さんはなかなか物件が見つからず急いでいたとかで、良かった。
翌日、A社のTさんからも、やはり丁寧にお礼を言われた。うん、そのほうが、仲介料の分け前として5万くらい頂くよりずっと気持ちがいい。それに、そうしていると、うちが本当に困った時に快く協力してくださることと思う。零細不動産屋の当社が27年前に今の場所で店を開いて、現在も潰れていない所以だろう。
もちろん正当な報酬は頂くべきだが、ちょっと口を利いただけで分け前を求めたなら欲が深いというもの。そういうのは私が自営業だから可能なこと。人に使われていたならそんな綺麗事は言えなくなるだろな。
同様のケースでは全く結果を知らせてくれない業者のほうが多い。電話して結果を訊いたなら「やっばり分け前が欲しかったのかな」と邪推されかねないので訊けないけど、お客さんが喜んでくれたなら満足。だからかなあ、紹介した同業者より、お客さんからお礼と報告の電話や訪問を受けることのほうが多い。
私が死んだら少しでも多くの人に心から「惜しい人を亡くしました」と言ってもらえるよう今日も頑張ろう。