留守のことも多いけど、店番をしているといろんな営業マンの訪問を受ける。これはレアな営業マンの話。
最後のほうで、「私のブログで書いてもいい?」と訊くと、珍しいことに「個人の名前も社名も出していいですよ、上の了解はもらえますから」とのこと。それだと「顔写真を出してもOK」かもね、ま、出さないけど。
店番をしていてPCに向かっていたら、静かにドアが開く音が・・・。見ると、男性の営業マン。入ってきた時から「土地の仕入れの営業だろな」って感じ。いろんな会社から営業マンが来るけど、タイプは似通っている。+不動産投資の会社で、私は営業マンを門前払いしない主義なので椅子を勧めて話を聞くことに。
珍しいことに、軒並み飛び込み訪問しているかと思いきや、訪問先をいろいろ下調べしてから来ている。なので、うちの店のことをいろいろ知っていた。それだと話が早いけど、向こうからうちの店のことを話されて少々照れ臭くはある。だけど、効率いいけどそんな営業マンは初めてかなあ。それ、会社の方針かも。
先に少しの手間を掛ければ仕事はやりやすくなる、商談がスムーズに運んだりする。ん?、何かで聞いたな・・・。「ここで一手間、煮干しのだし汁を入れて頂くと料理が格段に美味しくなります」って、あれね。
会社は「株式会社リッチロード」、なんとなく成金趣味のネーミングだよね・・・。不動産投資がメインかな。
HPには、「行動規範」としてこんなふうに示されている。その12項目は簡単であって難しいことばかり。
1.まず自分から、大きな声で明るく元気に挨拶しよう
2.お客様がいらしたら、全員起立でお迎えしよう
3.誰よりも先に電話を取ろう
4.お客様のメールはその日のうちに返信しよう
5.ありがとうございます、をたくさん言おう
6.社内はいつも清潔に、整理整頓、ゴミ拾い
7.小さなことでも、ホウ(報告)・レン(連絡)・ソウ(相談)
8.同じ失敗を二度と繰り返さない
9.十二分の準備をして、仕事に臨む
10.できません、は言わない
11.お客様が納得のいくまでとことん説明する
12.目標は必ず達成する
それはさておき、立川で土地の仕入れ、マンションの一棟仕入れは難しい。ほとんど物件が出ないし、空き地の看板を見ると、たいていは大手。中堅の不動産屋も、自社で工務店を持っていたり、長く付き合いがある大手住宅メーカーや開発業者と提携していることが多く、飛び込みで成果を上げるのは困難になる。そこで、それぞれの営業マンには「立川では、こことここは行っても無駄。ここは話を聞いてくれると思う」などと教えている。飛び込み営業の辛さは誰より知っているつもり。無駄な努力はさせたくないから。
この営業マン、最初は「ややチャラい印象」で、笑顔も「作り笑顔かな」と思ったけど、話していくと、そうではなく相当に聡明。今の場所に店を構えて30年くらいなるけど、今まで出入りした男性営業の中では間違いなくトップクラス。私が言うのだから間違いない、と言ったら上から目線になるけどね、でもほんと💦
名前は「鈴木 慎(しん)」氏。開発事業部の所属。HPの「スタッフ紹介」には顔写真が無くて残念。部下を持つならこういう部下を持ちたいもの、と本当に思う。何と言っても、理解力に長けている。話していて、改めての説明が要らない。宅建の資格も持っている、ということで話を聞いてみると、「10月から勉強を始めて10月の試験に間に合いました」だと。「ん・・・?、ああ、1年がかりね」と言ったら、違っていた。
勉強を始めたのが昨年10月で、それから2週間ほど勉強しただけで一発合格したんだと。ナニそれ!?
そんな人には初めて出会った。私自身も何度か徹夜で勉強したし。なので、「同じく国家資格の賃貸不動産経営管理士も取るといいよ。宅建より簡単だから鈴木さんなら受かるよ」と勧めた。1週間で受かるな。
ところで、会社で住宅新報を購読しているとかで、「ああ、私がもう15年半、一度も休まずコラムを連載させてもらっていますよ」と言ったら驚いていた。住宅新報紙を見せたら、「あ、ほんとだ・・・」だと。うちの店のことはネットで調べていたくせに、知らなかっただと。「なんだよ、出て行け、2度と来るな!」、である。
それは冗談だけど、優秀な鈴木氏でも、100点満点ではない。一つだけミスを犯している。それは・・・、
店を出る時、出された珈琲の缶を黙って置いていったこと。「これは・・・?」と訊かれれば、「ああ、置いていっていいよ」とか言うが、空缶は持って出ていこうとしなければ印象が悪くなる。画竜点睛を欠く、だね。
それを差し引いてもいい営業マンだと思う。会社が育て方を誤らなければ素晴らしい戦力になるだろう。
まあ、嘘でなければだけど「何でも書いていい」ことになってるから、鈴木氏のプライベートについて、「彼女いるの?」と訊いたら、「はい、います」とのこと。一緒に暮らしているらしいのだが、鈴木氏29歳、彼女27歳とのことで、とくに具体的に「いつ結婚する」とかの話は出ていないみたい。それで、こう話した。
「彼女が27歳なら、女性として一番魅力的な時期、一番大切な時期を鈴木さんが占有していることになるから、もし1年か2年して別れることになったとしたら彼女にとっては大変なマイナス、二人でよく話し合って早く結論を出したほうがいい。このまま入籍しないつもりなら早く別れることが彼女のためでは」、と。
もちろん、大きなお世話、そんなことは本人同士で決めること。でも、女性は出産もあるしね(まだ言うか
とにかく、久しぶりにいい営業マンに出会えて幸せな気分になった。彼が大成した姿、ぜひ見たいもの。