一組のお客さんの部屋探しをしていた。一軒目の物件を案内していると、女の子が小さな声で「おしっこ・・・」と言う。女の子、ではあるが幼児ではない。間もなく20歳になる「女の娘」(同伴者)なのだ。
「え?我慢できないの?」と部屋探しをしている本人(女性)が訊くと、「もれそう・・・」とのこと。実は、さっきトイレに入ってから1時間と経っていない。高齢者並みにトイレが近い^_^;
近所にはトイレを借りられそうな建物は無い。一番近い施設が300mほど先の焼肉レストランだが、まさかトイレだけ借りるワケにもいかない。コンビニも無い。住宅も疎らで、周りは畑である。
それは分かっていたので仕方なく物件のトイレを借りることにした。空室のトイレには、よく使いかけのトイレットペーパーが残っていたりする。だが、内見していた3階の部屋には残されてなかった。
女の子は「ティッシュなら有りますが・・・」と言うが、ティッシュは流れない。トイレを詰まらせる要因になることも多い。のではあるが、「我慢できない・・・」と顔が歪んでいる。
それも仕方なく「じゃ、使用量を最低限に抑えて」と注意してトイレに入ってもらった。膀胱は臨界点に達しているのだから止むを得ない。だが、ハプニングはコレだけに留まらなかった。用を足した女の子がトイレから顔を出し、「水が流れないんですけど・・・」
さっき室内に入って直ぐ女の子がトイレのドアを開け、試しに水を流している。その時は流れていたが今は流れない。ということは、水道の元栓が閉まっていて、たまたまさっきは溜まっていた水が流れただけのことだったのだ。女の子はソレを使ってしまったことになる。
物件は3階建てのマンションで、全部で27世帯。いくつか空室もあるから、管理会社は他の空室の元栓も閉めていることだろう。だからと言って、流さないまま出てくるワケにもいかない。
私は急いで1階まで下りて水道の元栓を開けることを試みたが、当該の元栓がどれだか判らない。ズラッと並んだ個別のメーターの青い蓋の裏には部屋番号は書いてなかった。後で判ったことだが、元栓は右から3階、2階、1階、というブロックで並んでいて、101号から順に、でもなく、しかも右左逆だったのだ。
で、3階ではパニクってるし、片っ端からひねってみることにした。
いくつかは開いたが、闇雲に全部を開けてしまうワケにもいかない。私が3階の分では、と思っていた元栓を開けて3階に戻り、「ちょっとレバー引いてみて」と試してもらったが、「流れません・・・」
「ええっ!?」と思いながら、また下まで走る。今度は逆から試みて、幾つかの元栓を開け、ようやく流すことを得た。だが、ここでまた問題が・・・。急いで往復しているうちに、どの元栓を開けたのか私も判らなくなっていた。ということは、元通りに閉められない、ということになる。明らかに判っていた元栓だけは閉めたが、空室の元栓を開けておくならまだしも、入居者がいる部屋の元栓を間違って閉めるワケにはいかず、ひょっとすると閉め忘れている部屋もあったかも知れない。だが、管理会社にそんなこと報告など出来ない。事情はどうあれ、後の責任の問題ではなく、そういう状況(例えばティッシュ利用)で使用を許したことが問題なのだから。
こういう場合、私が出来ることはただ一つ・・・・・、
一刻も早く現場を離れることである(無責任;懺悔)
この女の子、物件そのものには「この部屋いいよ」と勧めてくれてもいたし、性格も悪くはない。これで「やめたほうがいいよ、この部屋」などとケチをつけていたなら、「テメエ、この野郎!」、じゃない「この女郎!」と怒鳴りつけていたことだろう(爆)
だが結局この部屋では決まらず、後日、別の部屋で決まった。
とはいえ、こういうのは本当に勘弁してもらいたい。報告も謝罪もできないが、管理会社には申し訳ないことをしてしまった。
2006年02月06日
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