ようやくネットオークションが世に知られ始めた頃、ヤフーのオークションページを覗いていて、ある時計が目に留まった。
言わずと知れたロレックスである。出品者の「写真の撮り方が上手かった」ということもあるのだろうが、デザインも嫌味が無く、中古品で開始価格が安かったこともあって、思い切って入札してみた。
最後まで競合入札者がいなかったので最安値ともいえる金額で落札できたが、商品到着後しばらくは時計ケースの中に仕舞っておいた。ふだん使っていたダイバーズウォッチは私の腕には重くゴツかったし、事情があって、ふと「そうだ、アレ使ってみよう」、と2年ぶりにケースから出して腕につけてみると、しっくり馴染む。
時計のサイズは「ボーイズ」で、紳士用と婦人用の中間くらいの大きさだから私の腕にはちょうど良い。私は、カメラだけでなく時計も「好きなもの」は買うのが趣味?だから、使用目的でなく収集して眺めて楽しむのが専らで、そのロレックスも、実はゆくゆくは次男に譲るつもりでいた。財産は遺せないし遺すつもりもないが、その代わり質の高い愛用品を何か遺してやろう、と思っていて、長男に譲る時計も既に用意してある。愚息の趣味嗜好はよく解かっているつもりだった。
ところが、私の方は「形見の品」というより直ぐ渡すつもりでいたのだが、長男次男とも「腕時計はふだん使わないから」とのことなので、それなら私が使い込んで文字通り「形見の品」にしてやろう、と考えた次第である。とは言っても、私のことだから磨きながら使うが^_^;
で、使ってみて、「なるほど、皆がロレックスを持ちたがるのはよく解かる」と思った。以前は、芸能人の「ロレックスを(腕に)している」という自慢話を聴くと、「クオーツの時代に自動巻きでもなかろう」と馬鹿にしていたのだが、とんでもない認識不足であった。
先週の水曜日の朝、時報に合わせて秒針をセットし、6日目の今朝、秒針は2秒とは狂っていない。6日で2秒以内だから月なら10秒、ということになる。クオーツ時計の説明書にはたいてい「月差±15秒以内」と書いてあるから、クオーツと同等かそれ以上の精度、ということになる。機械式で、しかも2年も使わずにいて、である。
職人さんたちの技術と拘り、職人気質とか魂、というものが時計から十二分に伝わってくる。ここまでのモノを作り上げ受け継いでいくのには相当な努力と忍耐が必要なものだろうから本当に敬服する。
そうだ、私は、高級品が欲しいのではなく、高度な技術を持つ職人さんによって「丁寧に仕上げられた品」が好きなのである(汗^_^;)