多摩郊外の2DKのアパートに同業者から申し込みが入った。といっても、条件付きである。家賃を千円でもニ千円でも値下げしてくれたら、と言うのと、日割り発生を12月13日にからしてくれ、との2本立ての要求であった。
申込人の内容を見ると、大企業に勤める45歳の男性と、有名企業に派遣で勤める44歳の女性という組み合わせの新婚で、二人の年収を足せば800万は下らない。連帯保証人も、教授か事務職かは不明だが日本で最難関のT大学に勤めている。それでも千円2千円の攻防をしているのである。ケチというかセコイというか・・・
それで、テンションがいっぺんに下がってしまった。
これが、「生活、たいへんだろうな・・・」という内容の申込者が丁重に問い合わせてきたなら、なんとか骨を折ってみようとも思う。事情があって他でお金が入用、ということではなく性格なんだろう。
以前も書いたが、大事なことなのでもう一度書いておきたい。
「交渉」と「駆け引き」は似ているようでまるで違う。「私はここまで譲歩する用意があります。貴方はどう譲歩して頂けますか」というのが交渉というものであって、今回のようなケース「家賃を下げてくれたら借りるよ」というのは、値下げも借りることもどちらも自分の希望でしかないから「自分も譲歩している」ことにはならない。つまり、「急いで身代金を用意させているから、人質のうち、とりあえず婦人子供だけは開放してくれ」というのとは違うのだ。客の言っているのは自分の要求だけだから「足下を見ているだけ」になる。
春闘などで、「5千円の賃上げを認めろ」としか言わないならタダの要求、「5千円の賃上げを認めてくれたら、前年実績を上回るべく我々はこんな努力をします」というのが交渉。「5千円の賃上げを認めないならストライキも辞さない」というのは我侭とか脅しの類。
そして、誰かに間に入ってもらって交渉してもらうなら、必ず「裁量の幅」という権限を与えるのが礼儀である。「この条件で決めてこい。妥協は一切するな」というなら人に交渉事など頼むべきでない。最近はテレビドラマでもやっているが、交渉事は大変に精神を消耗する。この仕事をしていると、家主さんから裁量の幅を与えられずに「これで話をまとめてくれ」と依頼されることが多いものだが、その度に「不動産屋を何だと思っているんだ。この人は苦労をしていないか、していても身についていない人なんだろう」と思っている。
で、物件は今まで68000円の賃料だったのを今回の募集から値下げして65000円にしていたし、他の入居者とのバランスを考えるとあまり下げたくはなかったが、業者の担当者は「千円でも下げてくれたら借りる、と言ってますので」と言う。拒絶するワケにもいかないので家主さんと相談して64000円で受けることにした。
後は日割り発生日である。物件は即入物件なので日割り発生を今から1ヶ月も先にするのは家主さんとしても辛いものがあるし、客も少しは歩み寄るべき、と思っているので、相手の要求をそのまま受け入れずに間を取って「12月7日からの日割り発生」ということで返答をした。通常は11月14日の申し込みなら12月1日からの日割り発生になるもので、双方の事情を考慮して間を取ったものである。最初から全部相手の要求を飲むと、今後ずっとそういう癖がつくし。
最近はフリーレントと称して「今申し込んで入居しても家賃発生は1月から」という物件も見受けられるが、それは邪道である。家主さんは「何ヶ月も空いているよりいい」などと単純に目先の利益に走らないほうがいいと思う。それは自殺行為になりかねないし、アパート経営は立派なビジネス(商売)だから安易に譲歩すべきではない。
だいいち、フリーレントは言葉としては魅力であっても「客の物件決定の決め手」にはならないと思う。同じくらい「いいな」と思う物件が複数あって、どれかがフリーレントなら決め手にはなるが、長く暮らすことになる物件を、そんなことで決めたりはしないものだ。
業者にも「家主さんが千円でも妥協してくれたなら、キャンセル無しでお願いしますね」と伝えてあって担当者も納得してくれていたが、客は納得しなかったようだ。夕方、担当者から電話があって「お客様が千円の値下げでは不満だし、自分たちが入居するのは12月13日なんだから、それじゃあ損するからキャンセルしたいと言ってきたので」とのこと。担当者は含みを持たせていたが、今さら更に千円下げたり日割り発生を12月13日からで受けることもできない。
家主さんに電話して相談すると、思ったとおり「そういうお客さんなら断っちゃってください」と仰る。それは当然であろう。
この客は、家主さんや当社のことはもちろん、案内をしてくれた業者のことも何一つ考えてはいない。たぶん、業者の担当者にも丁寧にお礼やお詫びなど言っていないだろう。
腹立ち紛れに書いているワケでは・・・あるが、充分な収入があるのにチマチマ細かな要求をされると人間性を疑いたくなる。本人は交渉しているつもりだろうし、借手市場なんだからそれくらいの要求は受けて当然くらいに思っているのだろう。何度も言っているが、そこまで行くと交渉ではなく「足下を見ているだけ」になる。いい歳をして自分が得することしか考えない客ならこっちで願い下げである。離婚することがあれば慰謝料も千円単位で交渉してくれ、と言いたい。
こんな人(笑)
私も事前に相談受けますが「1000円にふうふう言う人には貸せません」と断ります
業者さんとこんなやり取りしたことあります
業者「お客様が家賃あと1000円下げたら借りると言ってます」
マロリー「そうですか、では下がらないなら絶対借りないということですね。ファイナルアンサー?」
業者「そうです。ファイナルアンサー」
マロリー「そうですか。断ってください。ガチャン」
と電話切りました
慌てて業者さん電話再度かけてきて「すいません。お客さんの手前言ってみただけで。通常の家賃で大丈夫なんです」
客の手前格好つけたかったんだろうが私は気に入らず貸しませんでした。業者さんも少しは交渉術よくなるでしょう。
矢川の物件の件ではお世話になりました。
つい先日、私の方でも同様のやりとりがありました。
こちらはマイナス5000円と12月12日日割り〜
管理会社が以前の会社の上司だったので
ブツブツ言われながらも、家賃は下げてくれて日割りは善処して12月1日。
それで交渉をしましたが、
それならば、キャンセルするとの事でした。
感じの良い方で、考えもしっかりした方
なので、こちらの言い分も理解いただいたのですが、それでも全く譲歩してはくれませんでした。
13日の申込みだったので
今の家の解約予告が1ヶ月で12日まで。
ダブる家賃は極力無くしたいという気持ちは分かりますが、私も同様に
『足下を見られている』ような感覚を覚えました。
この時期十数万円の手数料を放棄するのは痛いところであり、管理会社社長に今月はかなり厳しいので何とかお願いします
と頼み込めば何とかならない訳でもなかったのですが、何かそれは違うなと思いキャンセルとさせていただきました。
何となくお客さんにも申し訳ないようで
管理会社にも迷惑をかけてしまい
後味の悪さだけが残る取引でした。
「恥かく、義理欠く、人情を欠く」
はは〜ん、たぶんmalloryさんと凄く仲の良い業者さんが相手なんだな・・・、 と思いました(^^ゞ
粋なやりとりですね。でも、後で訂正してきてもダメですよね、もうどんな人かバレちゃってるし、いわゆる「後の祭り」ですね。
それ、客付け業者がちゃんと教えてあげるべきですね。「そこまで要求すると審査で落とされることも考えられるので、ほどほどにしたほうがいいですよ。審査が通らなければ元も子もなくなりますから」、と。
少し多めに要求して「中を取る」こともありますが、仮に家主さんが全部を飲んでくれても、そこから長い付き合いが始まります。心象を良くしておいたほうが月々の千円二千円の値下げより得なんですがね。
目先の利益しか考えないと長い目で見れば損をするものだし、友達もできないのでは・・・、と思いますね。
私も今度、仲良しの業者から値引き交渉が入ったら、「ファイナルアンサー?」って、やってみます(爆)
矢川の物件の件では何もお役に立てなくてすみませんでした。ここんとこ、とにかく来客が極端に少なくなっていて、なんと言いますか、ブログの記事を書いてるどころではありませんですね・・・^_^;
simさんのお話にもありますように、部屋探しをする人が、今借りてる部屋の退去予告が1ヶ月前との約定になっていることから、次に借りる部屋との家賃のダブリを抑えたいとして、「日割り発生日を出来るだけ後ろにしてほしい」と交渉が入ることがよくありますね。
厳密に言いますと、ダブリ「0」は不可能ですよね。出る日と入る日は必ず重なるのですから。不動産業者はお客様から言われなくても、なるだけダブる日数が少なくなるよう配慮するものですが、その日数はお客様や相手業者の言い方で左右されるものです。家主さんの事情にも配慮しなければなりませんし。少なくとも私の場合は、どんなふうに交渉してくるかで1週間くらいは違いがあったりします。
それと、家主さんが細かい人でなければ、「来月の頭からの契約になっていますが、その前の土日なんかに荷物を入れてもいいですよ。家主さんにはお話しておきますから」と言ったりもします。保険の関係もありますので、くれぐれも火の元や水漏れに注意してくれるよう申し添えて、ですね。
冷たいことを言うようですが、「家賃をダブらせたくない」というのは客の勝手な事情でしかありません。それを次に借りようとしている部屋の家主さんに譲歩して頂こうとするなら「言い方」というものがありますよね。たとえ「借手市場」だったとしても、ですね。
僭越ながら、simさんのほうからキャンセルなさった、とのご判断、私もそれで正しかったと思います。
<<金持ちになる3欠く関係。
「恥かく、義理欠く、人情を欠く」
たしかに(^^ゞ
でも、それは同時に「友だちも失う」ことになりますよね。
「カネはあるけど友だちはいない」というのと「カネはないけど良き友人に恵まれている」・・・、どちらが幸せか、は言うまでもないことですよね。ですが・・・、
最近は「カネ」を選択する人のほうが多いのでしょうね^_^;
この手の話は聞くたびに耳が痛いです…(T_T)
嫌な客がやってる事、全部全く気にせずにやってましたよ
入居日がひと月先…最長でふた月近く先なんてのもありました
こちらは最初に入居希望日を提示しての物件探しで、相手からこれはどうですか?って出されますので、こちらとしては入居日はこちらの希望で良いのなら…と…
断られなかったのは、余程運が良かったか
大家さんが、大泣きしたかどちらかですね?
そんな業界のタブーを犯していたなんて全然知りませんでしたよ
引っ越しと退去後の掃除があるので、1週間程度はダブらせていました
家賃も、最初に払える額を提示しますので、それ以上の物件を紹介されても、こちらの希望額で貸してくれるのなら契約しますとはっきり伝えます
払えない物借りられませんから…
予算オーバーの物件をとにかく勧めてくる時には、物件を良く見て個人的な判断でそれだけの価値ありと認めれば、上乗せできる額を再提示して、この金額で貸して頂けるのならお願いしますと伝えます
ものすごく気に入れば…希望額は、本音の額と、この範囲までなら上乗せを飲む額を伝えて後は不動産屋さんにお任せします
これまで、相手の事情を考えて譲歩ってのはしませんでしたね
自分にとってそれだけの魅力があれば(どうしても欲しいと思えば)、じゃ条件は?って話にはなりますが…
色々話を聞くと、賃貸ってオークションの方が良いかもしれませんね
最低額で入札無しなら、それだけのの価値無しってことで評価も正しくできるでしょうし
需要と供給に見合った相場が形成されるのでは?
例え安い物件でも、それを必要とする人はいる訳ですから
ネット通販じゃないけど、訳あり物件とか…あってもいい様な気がします
本当に耳が痛い話です
う〜ん、しんのすけさんのケースは・・・、
ストライクかボールか、ギリギリでしょうね。どっちの判定になっても抗議がきそうなくらい、ですね(^^ゞ
まあ、たしかに最初から条件を言っていて、向こうはそれに合った物件を出していて、合わない部分は貸主側が譲歩したりしていて、しんのすけさんのほうからは「あと何千円値引きしろ」とかは言ってないですもんね。
賃貸で引っ越す際には、どうしても1週間くらいは家賃のダブりが発生するもので、それは、家主さんの都合ではなく借主の都合なので、家主さんに転嫁するのは本来スジ違いですね。たとえ、家主さんが「早く借りてもらいたくてOKした」としても、「それが商売というもの」とは思えません。ま、許容誤差の範疇ですけどね。
冗談と承知してますが賃貸でオークション・・・、馴染みません(^^ゞ
やるなら、逆オークション、でしょうか。その地域で物件を借りたい人を集めておいて、10万から千円単位で下げていくとか。6万8千円あたりまで下がった時に、周りの様子を見て手を上げるかどうか、ギリギリの攻防が展開されますね。もう一声、と様子を見ていたら他の人に申し込まれちゃったりしてね。でも、申込人が決まっても審査がありますし、現実的には賃貸物件のオークションは有り得ません。
う〜ん、需要と供給の関係・・・、と言えば尤もらしく聞こえますが、やってることは足下を見ているのと紙一重だったりします。売買みたいに契約して登記が終わればお仕舞い、というならまだ良いのですが、賃貸はその後も関係が続きますし。
しんのすけさん個人を非難しているのでなく、相手のあることなので、皆が自分以外の人の立場や状況に配慮してくれたら、と思います。
当社に来たなら、あまり相手したくない客、ではありますね(^^ゞ
>当社に来たなら、あまり相手したくない客、ではありますね(^^ゞ
でしょうねぇ 分かります
話を聞けば聞くほど、自分は…
良く考えれば一番卑怯なやり方かもしれません
乗るか? 反るか? 即答を求められるのですから…
>合わない部分は貸主側が譲歩したりしていて、しんのすけさんのほうからは「あと何千円値引きしろ」とかは言ってないですもんね。
家賃を値引くと言う考えは、賃貸を借りた当初から持っていませんでした
条件に合えば借りる。合わなければダメ!って、考えてましたので
しかし・・・露骨に値引きは要求しませんが、10万円の物を「9万でなら、嫌なら断ってくれて結構です」ですもんね!?
値引きより酷いかもしれません
良く考えれば…買叩くのと同じようなものではと思いました
で結局、大家さんが折れて9万でOKですと…
もちろん交渉するのは管理会社です。こちらは駆け引き無し一発提示です(最初から9万しかないんですから…)
でも、無理に交渉させた訳じゃないですよ
「聞いてみてあげますよ」って言ってくれたのは不動産屋さんです
大家さんもその場で即答の条件を出してきたりしますよ
その時は、礼金分を今すぐ現金で入れることを条件にされました
もちろんOKしました
で、家賃9万、入居はひと月後で決まりです
引っ越しの2日くらい前に、契約をして残りのお金を払ってカギをもらいました
ブラックリストに載せて置いてください
まあ、「当社に来たなら、あまり相手したくない客」とは言っても、扱いは楽なお客さんと言えます(今さら遅い!^_^;)
最初から「予算はこれだけ」と言っているのですから、そういう物件を出しさえすればいいワケで、お客さんの限られた予算の中で出来るだけ良い部屋を探すのが不動産屋の仕事、です。
私からすれば、腹の中を探らないで済む分、楽は楽、なんですが、たぶん途中から「いいから他の不動産屋へ行ってくれよ」と思い始めるかも知れません。まあ、そういう客です(爆)
でもって、早速、当社のブラックリストに入れさせて頂きます(^^ゞ
今日、前回の話に進展がありまして
お客さんの方から直接管理会社の方へ
申し込みたい旨のオファーをしたそうです。
日割りも管理会社の言い分を飲むので
契約させて欲しいと泣きついたらしいのですが・・・
さすがに、断られたようです。
残念なお客さんでした。
へ〜、そうなんですか・・・。
<<お客さんの方から直接管理会社の方へ
申し込みたい旨のオファーをしたそうです。
てことは、simさんの会社は通さないで、ということなんでしょうか。だとするとヒドイ話ですね。「何となくお客さんにも申し訳ないようで」ってsimさんが責任を感じなければならないお客さんではなかったかも知れませんね。
結局、自分の損得しか考えないと「虻蜂取らず」になるものなんですね。これに懲りてくれるとよいのですが・・・。
simさんは立派です。私なら、心の中で舌を出すか拍手しちゃいますもん^_^;
「恥かく、義理欠く、人情を欠く」
たしかに(^^ゞ
でも、それは同時に「友だちも失う」ことになりますよね。
これって商売の話でしょ?
金の話になれば商売相手(不動産屋)にはしわくなるのは当然じゃ?
ただでさえ不動産屋はブローカーで、大家と直取引できれば不要な存在なんだから
こんなことまでいちいち言うのはお門違いというか、
勘違いされてません?
私の周りにも職業柄、自営業者が多いですが、
皆商売相手や仕事の話では1円だって物凄い剣幕で下げさせますが、
そういった方はプライベート、嫁さんや友人、部下には大盤振る舞いします
それは「仕事」じゃなく「プライベート」だからです
プライベートでも金にしわいならせこい人間ですが、
おたくは不動産屋なんだから言ってることがおかしいです
資本主義の原則はあくなく利潤の追求、
買い手だって買い叩きますから、
言われたままの値段で買い手も我慢すべきなんて殿様商売は長く続かないでしょう
これが日本でずっと続いている「地主と小作人」の悪習慣です
地主は神様じゃありませんから、
そのおこぼれで生きる不動産屋はなおさらのことです
私は不当にふんぞり返っている大家や悪質不動産屋が大嫌いな性分ですので
敷金返還請求などを指南し、今後も日本の不動産の悪習をどんどん切り崩す活動をしていくつもりです
仕事のグチをこぼす前に私生活と商売でのお金に対しての姿勢、
資本主義の大原則を見直してはいかがでしょうか?
返信は近日中に記事という形でさせて頂きます。一般の消費者の方にありがちな勘違い、思い違い、といった部分がありますので。どうぞご了承ください。