2009年11月26日

それが許されるなら苦労はしない

22日に放映された「行列のできる法律相談所」で、

「もう別れてるんだから、つきまとわないで!」というテーマで解決法を4人の弁護士が回答していたのだが、

そのうち、北村弁護士の見解は、

元彼のパーソナリティをよく考えて、
会社の上司に十分相談して、
そこから影響力を行使して下さい。


というものだった。尤も、ではあるが・・・、そういう結論だと法律相談というより人生相談になる。ま、それはいいとして、

番組の結論としては、

元彼にしつこくつきまとわれた場合には
  1…元彼に影響力のある人に相談する
  2…影響力のある人・元彼・弁護士・依頼者で話し合い
  3…証拠集め もう一度警察に相談する

となっていたのだが・・・、問題がありはしないか?

それなら我々の業務でも、「不誠実な対応を続ける滞納者の勤務先に出向いて、その上司に相談してもよい」ことになるのだが・・・、

今は個人情報保護法という変な法律があるから、相手の勤務先の上司に相談しようものなら「それで会社に居辛くなった」、「アンタのせいで会社をクビになった」などと逆に訴訟を起こされかねない。

例の悪質滞納者に対して家主さんや私が、「それが最も手っ取り早い方法」だと解かっていながらやらないのは、相手に反撃の口実を与えないためである。手間も期間も費用も掛かると承知していながら法的な手続きを踏んでいるワケで、逆に、それが相手に時間稼ぎを許す結果にもなっている。それは相当なジレンマにもなっている。

先日も、「裁判で勝ったら2週間以内に鍵を交換したり荷物を放り出したい」と仰る家主さんに、「勝訴後も法律は守ってください。ここまで辛抱してきたのですから、そこで勇み足をしたら元も子もなくなります」、となだめたばかりである。

相手の勤務先企業がどこまで信用を重んじ、誠実に対応するかは未知数である。ちゃんとした会社なら、本人を呼んで事情を訊き、本人との合意の上で会社が立替えて支払い、給料から天引きする、などの方法を講じるものだろうが、そんな奴だから、おそらく会社は「いつ辞めてもらってもかまわない」と思っていることだろう。だから、こちらのケースでは、会社(上司)に相談しても無駄、ではある。

それより何より、弁護士の誰も「個人情報保護法」との絡みに関して何も述べていなかったのが気になる。人生相談なら、北村弁護士の回答でもいいのだが法律相談の回答としては疑問が残るし。

勝訴確定後に家主さんと勤務先に行くことになっているが、あんな無責任で社会常識の欠落した相手にさえ神経質なくらいにまで気を遣いながら話を進めている者としては納得がいかない話であった。

どんな判決になっても滞納分はたぶん支払われないだろうし、出て行かせただけで幕引きになるなら、世の中、何とも不公正である。

全部片付いたら、最後にそいつに向かって、「アンタ、これからもそんな生き方をしていくなら、夜道にはくれぐれも気をつけるんだね」、くらいは言ってやりたいものだ。

嫌味でもあるが、いつかきっと、「私より気が短い誰かが発作的に行動を起こしてしまうに違いない」、と本当に思っているから。
posted by poohpapa at 05:00| Comment(5) | 弁護士、税理士 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
個人情報保護法ほど中身を知らないやつがしたり顔で語る法律もありませんね。
基本的にDM関係の業界や名簿屋の取引を規制するレベルが対象で、個人情報の数量によって線引きがありますし、例外事項も多いですから、日常の生活に関わるところはほとんどの場合適用外なはずなんですけどね。
個人情報保護への意識の高まりと世間の個人情報への配慮の高まりが、中身も良く知られていない「保護法」の名で進んでいるということなんでしょうね。

Posted by びくやま at 2009年11月26日 10:08
わかりやすい資料がありましたので追記します。
http://www5.cao.go.jp/seikatsu/kojin/about.html
Posted by びくやま at 2009年11月26日 10:18
おやかた、おはようございます

資料の紹介、有り難うございます。とても解かりやすいですね。

個人情報を保護する必要があるのは当然として、必要とは思えないケースで情報の提供を拒まれることがよくあって、滞納家賃や借主が負担すべき現状回復費用を退去後に追跡して督促しようにも、凄く大きな障害になっています。

<<個人情報保護法ほど中身を知らないやつがしたり顔で語る法律もありませんね。

全くそのとおり、であります。と言うか、自分に都合悪いことを「個人情報保護法」を盾にして逃げる奴こそ「したり顔」で語りますね。

<<基本的にDM関係の業界や名簿屋の取引を規制するレベルが対象で、個人情報の数量によって線引きがありますし、例外事項も多いですから、日常の生活に関わるところはほとんどの場合適用外なはずなんですけどね。

そうですよね、本来の趣旨はそうだったハズですが・・・。

今年の夏に悪質滞納者の実姉(当時の連帯保証人)の職場を訪ねた時には物凄く気を遣いました^_^;

こちらも、腰が引けるのでなく、何かあって逆に損害賠償だの請求されないよう慎重に動くことになりますから、それが重い足枷になって解決に相当な年月を要することになります。もっとも、法律以前の問題として、相手の職場に行くのは最後の手段ですし、行ったとしても言動には充分な注意が必要ですが・・・。

北村弁護士の説がOKなら、私ももっと大胆な行動に打って出れるのですが・・・、危ない危ない、やはり慎重に進めます(^^ゞ
Posted by poohpapa at 2009年11月27日 08:42
パパ様コメント返信お疲れ様で御座います
m(_ _)mヘヘー

つい先日、職務中の私の前に現われた一人の男性…
「やぁ♪J*C(日本*報信用*構)って凄いトコですねぇ(^^)v」
と語りかけて来るのでした(汗)


「借金はねぇ、五年で消えるんですよ♪行方不明になって五年…ですけど」

要は、その方には多大な借金があったらしく、住所を転々としても、
役所に転居届けを出したなら、転居先にわんさか督促状が届くので、
届けを出さぬ状態で五年間相当も逃げていたそうで、

「これで晴れて家を借りられる」なんておっしゃるヾ(^_^;

J*Cなる会社は、個人の借金情報を教えてくれるらしく、

暗い目付きの人々が、よく訪ねて来られるので、皆『893関係のもんばっかりや』と…


こう云ふ方々にアパート貸したら、家賃滞納しまくり、ある日忽然と夜逃げして、
オマケニ部屋はボロボロみたいな、踏んだり蹴ったりな結末が待っているのでしょうか?

それとも、あの市橋容疑者みたいに全く目立たない人物となるのでしょうか?


初対面のその男性が、私に『良いコト教えてアゲル♪』的にペラペラ話しかけたのは、
自分と同じ種類の人間に見えたのかしらん…





うーん最近無愛想になってたのかも…
気をつけよぉっと
Posted by 街のクマ at 2009年11月27日 14:08
クマさん、おはようございます

そんなふうに、バレなきゃかまわない、って感覚の人とか、原資が税金、なんてことを考えない輩は多いですね。うちのお客さんの生活保護受給者の中にもけっこう見られます。

時効が完成すれば「キレイな体」になれると思ったら大間違いで、一度失った信用を取り返すのには何年もかかります。

だいいち、そんな奴とは付き合えません。いつかこっちが利用されますもんね。なんてったって、自分のことしか考えないのですから。

私も、そういう感覚で生きているとミエミエで判る客が来店すると、相手をするのが嫌になります。

う〜ん、クマさんが同類項に・・・見えるかも知れませんね(爆)
Posted by poohpapa at 2009年11月28日 08:47
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