2010年03月04日

大阪高裁の「更新料を巡る裁判」の判決について

賃貸アパートの更新料の支払いを巡って、有効かどうかが争われた裁判で、大阪高裁は「更新料無効」との判決を出した。これで、高裁での判断は貸主側の1勝2敗、ということになる。

今回の裁判では首都圏では馴染みのない「定額補修分担金」なるものの是非も争われ、更新料同様「消費者契約法に違反しており無効」との判決になった。最高裁に上告されるであろうから最終判断とは言えないが、貸主側にとって厳しい状況であることに変わりない。

ただし、いずれの裁判でも感じることであるが、更新料という制度そのものが無効、と言っているのか、今回の内容だと無効、と言っているのかイマイチはっきりしない。裁判所は、そういうことに言及せず、訴えについて「更新料は無効」とのみ言っていて、それだと誤解を生みかねない。

そもそも今回のケース、賃借人は、賃料38000円、更新料1年毎に2ヶ月分、定額補修分担金12万、という内容で契約し更新料を3度支払っている。合計348000円、である。定額補修分担金12万については「賃料の3倍以上になっており、なおさら(違法である)」と言っていることから、程度の問題であったとも受け取れるが。

それにしても、その内容はいくらなんでも酷すぎる。東京に当て嵌めれば2年毎の更新で4ヶ月分の更新料を払うことになる。定額補修分担金、というのもワケが解からない。退去する時に、特別に傷めたものがあれば見合った金額を請求すれば済む話で、予め損害額の予定を決めて(予測して)返還しない前提で金員を徴収することは違法性が高い。その内容なら敗訴して当たり前と思う。

問題は、同じ大阪高裁で「更新料は家賃を低く設定していることによる賃料の一部とみなされる」として貸主側勝訴の判決も出ている点で、公平に見て、更新料が無効であったとしても「全額を返せ」というのはいくらなんでも借主側の主張に偏っているように思う。全額を返せ、という判決なのだから「程度の問題ではない」ことになるし。

これ、首都圏で主流になっている2年毎に更新料1ヶ月分という内容でなら「著しく借主に不利な特約」とは言えないだろうから、首都圏で裁判になったなら、ほとんどが貸主側勝訴になるであろう。

私は元々、礼金や更新料という制度は無いほうがいい、という考え方であるが、それでも、もし大阪高裁の判決に勢いづいた借主が東京で裁判を起こすなら、貸主側は受けて立ったほうがいいと思う。

なぜなら、更新料裁判で借主側の弁護士は「家賃の一部と言うなら最初から家賃に組み込んでおけばいい」と主張しているが、実際に「では、更新料を頂かない代わりに家賃を値上げします」なんてことが出来ようハズがないから、である。すなわち、更新料そのものが無効、という判決になったなら一方的に収入を削られ、新規募集においても今の時代そう簡単には値上げなど出来ない。当然に、家主にとっては死活問題で、「はい、解かりました」と従える話ではないからだ。

更新料については家主だけでなく不動産業者にも大きく影響してくるが、不動産屋の収入がどうなるかは別の問題で、それは不動産屋が自分で考えればいいこと。私が以前から言っているように管理の原点に帰れば良いだけのことである。今現在、私は少しずつ何人かの家主さんと対話をしているし、ご理解も頂けている。もちろん、自分だけが得すればいい、損しなければいい、という話ではない。それにしたって時間がかかるし、業者間の足並みを揃える必要もある。

だが、我々不動産業者は今、「待ったなし」の瀬戸際に立たされている。毎度言っているが、最高裁の判決を待たずに、なるだけ早く消費者に解かりやすい制度の構築をすべきであろう。



posted by poohpapa at 05:00| Comment(2) | ニュース | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
おはようございます。
礼金に関してはつい先日弊社も某大手フランチャイズの
不動産屋と戦ったところです。
弊社が現地看板を出して管理している賃貸物件に
その業者が客付けをし、勝手にお客に礼金を1ヵ月分
請求したのです。
弊社はその物件の他の部屋の契約者からも礼金を
取ってないし、レインズにも礼金無しで登録して
いるにもかかわらずである。
本来であれば、仲介手数料も分れなのですがそれは
そのまま客付け業者にあげる事にしたにもかかわらず、
さらに大家に礼金を取らせて広告料として貰おう
としていたみたいです。
再三礼金をこの物件では取ってないと説明しても
入居希望者が納得しているからいいですと言って
撤回しませんでした。
そこで最終手段として、大家は礼金は受け取らないし
事実の無い広告料も出しません。
確定申告等の収入にもかかわってくるので、当然
貸主側への請求書も契約書も全てに礼金と言う文言を
入れられては困ります。
そっちが勝手にお客から2ヶ月分とって事務停止を
食らおうが注意を受けようがうちは一切関与しません。
とここまで言ったら、ようやく礼金を無くすことを
入居希望者に言ったようで無事に契約できました。
先日、入居者の方にもお会いして、事の次第を
説明したらやはり詳細は知らされていなかったらしく、
「初めて賃貸物件を借りる身だから契約のこととか
よくわからくて言いなりだった。もう二度とその
業者には連絡しない!」と憤慨して言っていました。
こんなことを続けているからこの業界はいつまで経っても
悪いイメージが払拭されないだろうな〜と少々
暗い気分になってしまいました。
Posted by タスク at 2010年03月04日 13:01
タスクさん、おはようございます

いずこも同じなんですね。大手は、そんなことをしていても潰れないからいいですよね。ネットでたくさんの物件広告を並べていればお客さんが絶えることはないですもん。口コミで評判が落ちるより早く次の客が押しかけるワケで・・・。

数年前に◎イブルが業務停止処分を喰らったことも大したニュースにはなりませんでしたし、今も経営が成り立っているのは、たぶん圧倒的な資金力と横取りして積み重ねた物件数の多さによるものでしょう。

ま、向こうは「当社の企業努力」と言うでしょうけど(*^^)v

この、礼金の上乗せに関しては、ほとんどが事後承諾ですね。つまり、先に広告を改ざんしてお客さんに見せて、それから案内して気に入れば「礼金を1ヶ月乗せていいか?」と訊いてくるようです。「ダメ」と言われたら「無くなっていた」とでも言って他の物件に決めさせるんでしょう。

ただ、タスクさんのケースでは、お客さんに「当社に礼金を1ヶ月分支払ってくれ」と言っているので、それは非常に珍しいケースですね。

と言うか、あとでバレるのが分かりきっている不正をどうしてするのでしょうね。何を考えているんでしょう。大手は組合に加入していないケースがほとんどですが、フランチャイズなら加入してる可能性がありますよね。そういうのは組合としても検討とか処分すべきでしょう。

タスクさんが仰るように、そんな業者がいるから、だから業界の信頼性が高まらない、と、私も思います。
Posted by poohpapa at 2010年03月05日 07:35
コメントを書く
お名前: [必須入力]

メールアドレス:

ホームページアドレス:

コメント: [必須入力]