心身ともに障害をお持ちのSさんが久しぶりに来店した。
もう二度と当社には来ないだろうな、と思っていたから意外だった。
「今、一緒に暮らしている人と縁を切ったんで、今の部屋では広すぎるからワンルームに移りたいんだけど・・・」と言う。
Sさんのことは2度記事にしている。
1回目は、彼の生い立ちと、両親に対する思いに感動した話。
生まれつき障害があるSさんは、幼い時に親に捨てられ両親の顔も覚えていない。福祉のお世話になりながら、それでも明るく生きている。私に「私をこの世に生んでくれた親だから、ちっとも恨んでなんかいません」と言い切っていて、涙が出るくらい感動した。
そして2回目は、私が「テメエ、この野郎!」と憤慨した話。
車椅子仕様に改修した部屋を退去する際、家主さんから原状回復を要求されたのだが、福祉では、入る時の改修費用は出してくれるものの、原状回復費用は自己負担となる。Sさんにはそんな余裕など無いので分割で支払ってもらうよう話し、当社でその分は立て替えていたのだが、2回目の支払いの前に店にやってきて、「生活相談センターに訊いたら『そういう原状回復費用は払わなくていい』と言われたんだけど・・・」と言う。先ず市役所の生活福祉課に相談したら「そういうのは生活相談センターに行ってくれ」と言われ、何も事情を知らないセンターの職員からそうアドバイスを受けたようだ。それで、「払いたくない」と言ってきたのだ。
当然に、市の生活福祉課の担当者に厳重に抗議したが、担当者は「Sさんが納得してないから生活相談センターに行くよう勧めただけ」と開き直る。生活相談センターの職員からも詫びはなかった。
私が、「後になってそういうことを言うものではないよ。それだと他の同じように障害を持った人が部屋が借りられなくなったりするものだし、現状回復すると約束したんだから約束は守らないとダメでしょう」と説教して何とか払い終えてもらった経緯がある。
あの時はけっこう厳しく叱ったし、きっちり取り立てたから、もう当社を使ってくれることはないな、と思っていたのだが・・・、
Sさんは、「やっぱり、ここでないとダメだったね」と言う。「よそに行くと最初から(自分の事情を)説明しないといけないし、ここは解かってくれるから・・・」だと。ああ、それだけのことね
実際に借りるのは来年の春、ということで「それなら4月に来なよ。その頃にはワンルームが一通り落ち着いて、たぶん1階の部屋がダブついてて、条件もきっと緩くなるから」とアドバイスした。
ところで、Sさんからはこんな話も出た。Sさんは新興宗教に入って熱心に(というか言われるままに)信仰していたのだが、最近やめたんだとか。その理由というのが、「友だちが離れていくから」ということと「やたらおカネを要求されるから」というもので、それでは続けられない、と思ったんだそうだ。けっこう聡明である。
ま、理由はともかく、「オタクが一番」と言ってくれたんだから、来年の春にはもう一肌脱がせて頂こう(^^ゞ


条件が厳しい賃借人に対して、パパ様がどれだけ真摯に対応してくれたか痛感して戻って来たのなら良いですね♪
脳天気な歌だから好きじゃ無いけど、
必ず、最後に愛は勝つ♪(by Kan)
《カン》と言えば…
愛も実行力も無い某総理を連想しちゃいましたゲロゲロ〜
(/--)/ ⌒○
<<Sさん、多分最初は他の不動産屋さんに行ったでしょう。
はい、間違いなく、行っていると思いますね。
これね、今思えば、叱る時に、私は相手のことも考えて真剣に怒っていたから、それが通じたんだと思います。ただ腹立ち紛れに怒りをぶつけたなら、2度と来なかったかも知れませんね。ちゃんと、「どうしてそういうことをしたらいけないか」を説明しているので、その時はSさんもムッときたとしても、落ち着いたら解かるものだと思います。もっともどうにも解かろうとしない人も中にはいますが。いえ、そのほうが圧倒的に多いですけど。
と言いつつ、私に約定どおり最後まで支払わされたので、もう来ないかな、と思っていましたが。↑ は、あくまで、今思えば、ですね。
Sさんが飛び込みで不動産屋に入ったなら、担当者も対応に悩むのはたしかでしょう。できれば相手したくない、と考えるかも知れません。ですが、Sさんは凄く正直だし、人を疑うということを知りません。Sさんの歩んできた道程を聞けば、たいていは「力になろう」と思うものでしょうけど、つい面倒になって「そこまでするくらいなら他の客を相手しよう」と考えてしまうものでしょうね。
ナンと言いますか、ワケありのお客さんは有り難いものなんですけど。