2010年11月15日

年に何人もいないであろうお客さん

昨日、この2ヶ月ほど連絡が取れなくなっている家主さんのお宅を訪問した。当社からは徒歩で約30分。健康の為に歩いて向かっていると、携帯が鳴る。登録してない番号で、若い男性からだった。

「今、店の前にいるんですが部屋を見せてもらえますか?」と言う。「今、出先でして、戻るのは5時過ぎになりますが、如何いたしましょう?」と訊くと、「ではその頃また出直します」とのこと。

ちょうど5時に店に戻ると、また携帯に電話が入る。「5時とのことでしたが、6時半くらいになってしまいます。それでも大丈夫でしょうか?」とのこと。ちゃんと連絡をくださるお客さんは決まる可能性が高い。それでお待ちしていると、やってきたのは若い男性とそのお父さん。詳細は書かないが、お父さんは明日には北海道に帰ってしまうそうで、なるだけなら今日決めて帰りたいとのこと。

既に陽が落ちてからの案内は管理会社さんに嫌がられたりもするが、そういう事情だと益々決まる確立は高くなる。だいたいが、駅前に何社も大手の不動産業者があるのに、商店街の中ほどにある当社まで来てくださっているだけでもとても有り難いことだ。


電話の印象では何となく暗い感じがしたが、実際に合ってみるとなかなか好青年で、お父さんも頗る感じが良い。私より一回り以上も若いが、話(物ごとの価値観)が私とよく合う。

本人が「見せて欲しい」と言っていた2件のうち、1件はもう無く、1件だけで決めてもらうのは申し訳ないので、予算が若干オーバーするが、当社の募集物件も見て頂くことにした。

実は、他社の物件のほうが「若者受け」する部屋で、当然にそちらを気に入るもの、と思っていると、お父さんは当社の管理物件のほうを息子さんに勧める。一つには、若干の交渉事が必要であるのと、私と面識があることになったので、当社の物件に入らせたほうが離れていても安心、とお考え頂いたようだ。どちらも駅から離れていて寂しい場所にあるが、そういうのは気になさらない。

家主さんが了解してくださるのは解かっていたので、私が「礼金1になってますが、家主さんに相談して0にしてもらいましょうね」と言うと、「でしたら畳の交換はしなくていいですよ」とのこと。

「年に何人もいない」というのは、「不動産屋の立場にも充分な配慮をしてくださる」ということで、私が毎度書いている「何でもかんでも交渉して自分さえ得すれば家主さんに全リスクを負わせても後は知らない」という客とは真逆のお客さん、という意味である。

「今の息子にはこれで充分です」と言い、息子さんも「宜しくお願いします」と頭を下げる。今は自分の夢に向かって努力し、その為に辛抱する時期、と、ちゃんと解かっているのが嬉しい。

その物件、築年数は古いし駅からも遠いし、お世辞にもキレイとは言い難いが、どういうワケか、空くと直ぐ決まる。家主さんは普段から「私みたいな年寄りにはよく解からないので全部お任せしますので、いいようにやってください。こんな古いアパートを引き受けてくださるだけでも有り難く思っています」と仰っている。

そういう家主さんがいる一方で、中には「オタクに管理させてやってるんだから」と露骨には言わないまでも本音が見え隠れする人もいる。事あれば「全て不動産屋の責任」と考える人もいる。心から「お陰さまで」と言える家主さんが結局は得をするものなんだが・・・。


駅まで送る帰りの車中で、いつものように「もし食い詰めて、腹がへったらいつでも訪ねておいで。飯ぐらいだったらいつでも奢るから。その代わり、たった1回しか奢ってなくても、あなたが出世して有名になったら、私は周りに『アイツが若い時、俺はずいぶん面倒を見てやったもんだよ』と言わせてもらうからね」と言うと、お父さんは吹き出していた。自分自身の状況を知り、贅沢を求めず、一生懸命頑張る若者なら、こちらも何かと力になりたいと思う。

珍しく残業(?)をして帰宅したのは8時半。それでも、良いお客さんに出会えて、とても心地よい疲れが残った。商談内容が充実していたからか、不思議と空腹感もおぼえなかった。


ところで、冒頭の音信不通の家主さん、昨日もご不在で、この2ヶ月、朝も夜も平日も休日も、何度も電話しているがお出にならない。呼び出し音はしていて「現在使われておりません」ではないし、昨日玄関前から携帯で電話すると、たしかに家の中では呼び出し音が鳴っている。郵便受けに名刺を入れてきたので、ご覧になれば電話が入るかも知れない。郵便物は溜まってないのだが、外から見た限り生活感がないのが気になる。

進展があれば、またご報告したいと思う。
posted by poohpapa at 08:16| Comment(10) | お客さん | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
今日、年に何人もいる入居者(業者さん経由)から色々連絡ありました。

年に何回もとは?
「何でもかんでも交渉して自分さえ得すれば家主さんに全リスクを負わせても後は知らない」という客とは真逆のお客(業者)さん、という意味である(笑)

あれこれ言われた分を殆ど否定(拒否)してあげたので申込昼には入れるといっていたが夕方になってもありません。
それでいいのだ!
Posted by mallory at 2010年11月15日 17:00
malloryさん、こんばんは

ほんと、この時とばかりに交渉してくる客のナンと多いことか。

客付け業者も、客の要求を何でもかんでも聞かないで、「家主さんにそこまでの譲歩は要求しないほうがいいですよ」とアドバイスしても良さそうなものですが、言いなりになる業者は多いものですね。まるで、中国と日本の外交関係のようなものですね。

<<あれこれ言われた分を殆ど否定(拒否)してあげたので申込昼には入れるといっていたが夕方になってもありません。

すみません、思わず笑ってしまいましたが、ほんと、それで良かったんだと思います。そういう人が入居したなら後が怖いですもんね(^^ゞ

Posted by poohpapa at 2010年11月15日 17:55
いいお客様に出会えて、良かったですね。
たまぁ〜には、、こう言ったハートが温まる出会いがないと。。。
昨今の不動産業辛いですものね。。。

以前、地方から就職でお部屋探しのお嬢さん
を自社物件にご入居頂いた際に
『貴方にお任せできるから安心』と言われ
その後、盆暮れには必ず品物を贈って下さいます。

その方への責任があるので・・・・
ケチ社長(笑)の下を辞められない状況です。

逢う度に『彼氏できたぁ〜?』と、、

情報収集してますが、、、
残念ながら『まだですぅ〜』との事。。

オイオイ頑張ってくれ〜〜(。。;)と
心の中で叫びつつ。。。
ま!お部屋も気に入ってくださっているみたい
だから、、いいか!?

明日も、、頑張ります(^^)V


Posted by monmon at 2010年11月16日 00:31
神様からのエールが、漸く届き始めた様ですね♪
私もお客さんを紹介してあげたいけど、こんな良いお客さんは、そうそう居らんわねぇ…

誰でも良ければ中韓(ry



Ψ(`∀´)Ψコレデイイニダ♪



Posted by 街のクマ at 2010年11月16日 07:13
いいお話ですね。
不動産やさんて、(失礼ながら)とかく世の中では色眼鏡で見られがちな商売ですが、こういう話を読むといい職業なんだな、と思います。

また若者も、この父親もいい。
もしもこの若者が将来ほんとに出世したら、「ピーちゃんの身元引受人も昔から素質を見抜いてた」って言ってね。
Posted by ピーちゃんの身元引受人 at 2010年11月16日 07:49
monmonさん、おはようございます

<<以前、地方から就職でお部屋探しのお嬢さん
を自社物件にご入居頂いた際に
『貴方にお任せできるから安心』と言われ
その後、盆暮れには必ず品物を贈って下さいます。

さすがに、私も、そこまでのお客様はいらっしゃいませんね、その都度の頂き物は多いのですが。私なんか一人でやってる店ですが、頂き物のお菓子が途切れないのです。それは、ある意味、不動産屋の勲章のようなものだと思っています。お客様が満足し感謝してくださらなければ頂けないものですから。

うちのは、「頂き物のお菓子が途切れないから物産展のお菓子が買えない」などと贅沢なことを言っています。頂いたお菓子は、階下の住人さんや別のお客さんにお裾分けしてますが、それでも余ります。

何年か前に、一年間、お客様からどれだけのお菓子を頂くかカウントしたことがありまして、50を超えてました。一週間に1個は菓子折りを頂いている計算になります。そりゃあ食べ切れませんね。

ところで、今日、私は本来の不動産業の仕事でなく、都宅建の会議(座談会)で一日潰れそうです。ボランティアではありますが、うちの支部の広報委員会の仲間は皆ほんとうに人柄が温かで気持ちいいので、とても良い息抜きになります(*^^)v

今日は住宅新報さんが取材にみえます。monmonさんの会社では住宅新報をお取りですか?

そちらにも紙上版ブログを連載させて頂いてますので、宜しければどうぞご覧ください。もち、購読して、でありますが、カネは払いたくない、ということでしたら裏技(?)をご紹介しますよ〜(爆)

では、今日も一日、お互いがんばりましょう。



Posted by poohpapa at 2010年11月16日 08:06
クマさん、おはようございます

<<誰でも良ければ中韓(ry

キッパリ、お断りいたします(爆)

外国人の入居を断るのは「人権問題」とのことですが、不動産屋は単に「外国人だから」というだけの理由で審査を通さない、なんてことはありません。ちゃんと理由があって、特定の国の人に貸したくないだけなんです。「断ってはいけない」と言うなら「貸主側には人権は無い」ことになります。

都庁からも「外国人だからといって差別しないように」との指導がありますが、差別しているのでなく区別しているのです。

尖閣問題で、ますますもって「中国人には貸したくない」と考える家主さんが増えたんじゃないでしょうかね、当然の成り行きですね。「それとこれは別」にはなりませんもん。何かで揉めれば勝手な言い分を主張するであろうことが充分に予測できるのですから、それでも貸す家主さん、いないものでしょう。

韓国人でギリギリ(内容を見て)、中国人は、う〜ん、厳しいですね。
Posted by poohpapa at 2010年11月16日 08:18
たなぼたさん、おはようございます

はい、了解しました。

青年が有名になったら、

私は、

「アイツが若い時、俺はずいぶん面倒を見てやったもんだよ」と言い、

たなぼたさんは、

「俺はアイツの下積み時代から目をかけてたんだよ」、ですね(*^^)v

うちの管理物件に入居していたお客さんが、いつか有名になってくれたら、不動産業者としては望外の喜びです。貸室のドアに「◎◎(有名人名)の間」とでもプレートを貼ったりしてね(爆)

空室対策にもなりそうですね。皆、出世してくれないかなあ・・・。

ま、本音では「偉くなったんだからさあ、ラーメンくらい奢ってくれよ」と言いたいだけでありますが^_^;
Posted by poohpapa at 2010年11月16日 08:30
いつもお疲れ様です。
本日、年に何人?もいるであろう性質の悪いお客が来ました(笑)。
以前弊社管理の月極駐車場を借りていた方なのですが、
新たに車を買うとかでまた借りたいと来社されたのですが
値切ろうとして粘る粘る。
その管理している駐車場は100台近くある駐車場なので
現在借りられているお客様の手前上月額の変更が難しい
状態です。
その説明をしても、消費税分が余計だとか、2台借りるから
下げろとか。

一応オーナーの了承を取っている、契約後半年間の期間限定
値下げでは納得しないみたいで、結局本日はオーナーに
聞いてから回答するという形でお帰り頂きました。
実際以前借りられていたときその方は、入金が遅れがちだったり
姓が変わったから名札を付け替えろ(当然これは弊社持ち)とか
非常にトラブルの多い方でした。

断るのは簡単なのですが、最近少し空きが増えてきているので
オーナーにどう相談したものか。
(どうも相手も長い間空いている場所をチェックしているみたいで)

多分無理して値下げして契約したら、こういう人は
そのことを周辺に自慢して余計なトラブルや問題を
発生させそうな気がするですよね。
(本日説明したときは値下げしても黙ってればわからないから
うちだけすれば良いとか言っていたが・・・)

ホントpoohpapaさんのところにいらっしゃったお客様とは
天と地ほども差がありますね。。。
Posted by タスク at 2010年11月17日 17:27
タスクさん、おはようございます

それ、ほんと、嫌な客ですね。

<<(本日説明したときは値下げしても黙ってればわからないから
うちだけすれば良いとか言っていたが・・・)

ははは、その客、自分が得することしか考えてないから、タスクさんが仰るように、ペラペラ吹聴すると思いますね。

ん??、

<<姓が変わったから名札を付け替えろ

ってことは女性ですかね。男の姓が変わることも有り得ますが・・・。

<<相手も長い間空いている場所をチェックしているみたいで

足元を見る客ってのは本当に不愉快ですね。向こうは交渉してるつもりでしょうけど、足元を見てるだけですもんね。何度も書いてますが、交渉というのは「私はこれとこれを譲歩する用意があります。あなたは何を譲歩してくれますか?」というものであって、「2台借りる」のは自分の都合でしかありません。そこに気付いてないんですね。

そういうのが会社の経営者だったら社員はついていかないでしょうね。夫婦関係も長続きはしないものでしょう。

ま、そう思って、腹の中で舌を出しているのが宜しいかと・・・(*^^)v
Posted by poohpapa at 2010年11月18日 08:07
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