2011年01月31日

不動産屋として良き相談相手でありたい

先日、店番をしていたら、若い男性が来店した。

「家を買いたいので良い物件があれば紹介してください」と言う。

男性は、私と同じ商店街で或る店を開いていて、私もそういう名前の店があるのは知っていたが、利用したことは無かった。

予算を伺うと、総額2千万くらい、頭金は200万くらいで考えているらしい。できればお店に近いほうがいいようだが、この近辺では土地だけでも坪100万前後するから、戸建てが希望であれば、その予算では20坪の土地だけしか手に入らない。どんな中古でも上物付きにはならない。マンションでも考えているが駅からは遠く離れてしまう。将来的に売却するのは難しくなる。

男性に、「自己資金はどれくらいありますか?」と訊くと、「400万です」とのこと。そのうちから200万を頭金にしたなら、200万はまだ手元に・・・残らない。残っても100万だろう。

不動産を購入して、やっとコツコツ貯めた資金も下手するとほとんど使い切ってしまうことにもなりかねない。しかも、男性は子供が生まれたばかりである。私の持論であるが、「今の時代、現金で持っているのが(何にでも直ぐ対応できるので)一番強い」ので、男性には「今は不動産を購入しないほうが良い」とアドバイスした。

男性の店は商店街から入ったところにあって場所が悪く、不動産を買って貯金は無くなったわ、店も傾いたわ、では全てを失くしてしまう可能性だってある。買った家を店舗兼住宅にするプランも持っていたが、それだと今までの顧客が離れてしまい、新しい土地で一から出発することにもなる。潤沢な資金を持っているならいいが危険が多すぎるように思えた。あまりネガティブな考えばかり言うのもどうかと思うが、最悪の事態も想定しての備えや心積もりが出来ていなければ大変な後悔をすることになるだろう。

私は、家を購入するより店の場所を表通りに移動することを勧めた。近くの内科医院が「クリニックが集まるビルの4階から表通りの1階に移っただけで患者数が4割増えた」という実例もあげて、集客アップに努めて利益が向上してから不動産購入を考えても遅くはないのでは、と話すと男性は納得してくれ、こんなことを言う。

「実は、もう何軒かの不動産屋さんに行ってますが、私が条件を言うと、予算に合った物件の資料をいっぱい渡してくれました。こういうふうに(買わないほうが良いという話を)聞かせてもらったのは初めてです」と。私は、自分が賃貸専門だから売買を勧めないワケではない。とても家族思いでもある男性の言葉の端端から「男たるもの、早く家を買いたい。そろそろ買わないとローンの関係などで年齢的に間に合わなくなるかも」との焦りのようなものが感じられたので、それだと判断を誤るもの、と危惧しただけである。それが証拠に、貸店舗の資料もまだ一枚も渡してないし。

最後に「今日の私の話を家に持ち帰って、奥様ともよく相談してみてください。その上で、やはり不動産を先に購入したい、というのであれば、私も商売ですから、なるだけ条件の良い物件を探します。大切なのは、とにかく順番を間違えないこと、ですね。今34歳ですから40歳までを目途に考えれば良いでしょう」と話した。


男性は数日後に挨拶に寄ってくれた。家で奥様とよく相談し(私の)アドバイスのとおりにしよう、ということになったとか。男性はとても誠実な人柄なのでこれからも相談に乗らせて頂こうと思う。
posted by poohpapa at 07:16| Comment(4) | お客さん | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
いかんな。
いかん、いかん。

こういういい話では面白くない。
そんな善良な不動産屋さんは似合わない。

不法にタバコを持ち込もうとして、シンガポールの税関に身柄拘束されたとか、そういうのを期待してるのに……
Posted by ピーちゃんの身元引受人 at 2011年01月31日 09:45
たなぼたさん、おはようございます

<<不法にタバコを持ち込もうとして、シンガポールの税関に身柄拘束されたとか、そういうのを期待してるのに……

そりゃあね、たなぼたさんはいいでしょうよ。でも、捕まるのは私なんだから、獄中手記みたいなものを期待されても・・・。

だいいち、ここはそういうサイトじゃないんだし(爆)

でね、「この人は応援したい」と思わせるような人柄の人は結局得ですね。今すぐでなくても、5〜6年先に手数料が頂ければ(そういう仕事が出来れば)私は凄く嬉しいです。
Posted by poohpapa at 2011年01月31日 10:51
お久しぶりでございます&シンガポールより
無事にお帰りなさいませぇ〜♪

最近、、、
真面目に真摯に対応していても、、
『虚しい。。。』と、思う様な事が多い中
papa様のお仕事ぶりを見ていると

『やはり、ハートが一番!』と思い
新たなパワー復活〜∂∂〜★です。

私も、以前賃貸物件のお手伝いをしたご夫婦が
『将来は持ち家を・・・』と話していたので
(派手な奥様でなく、年収も立派なご主人)

予算より、、安い物件でガマンして頂き
2年後には、売買でお世話をする事が出来ました。

又、今はその奥様のご紹介で妹さんの土地探しのお手伝いをしております。

そんな時には、この仕事のやりがいと人との縁を感じて プチハッピーな気分です。

5〜6年後にきち〜〜(^^)!と手数料頂ける様、元気にお仕事続けてないと!!ですね。


風邪がはやっております。。
ご自愛下さいませ〜

Posted by monmon at 2011年02月01日 22:33
monmonさん、おはようございます

ほほう・・・、monmonさんも「いい仕事」してらっしゃいますね。

営業というものは、直ぐに利益に繋げる営業と、土地を耕し種を撒き何年もかけて実が熟すのを待つ(顧客を育てる)営業と、二つに分けられます。お客さんの状況を見極めて上手く使い分けることが大切なので、monmonさんは営業として相当な技量とハートをお持ちだと判ります。これはお世辞なんかではありませんよ(*^^)v

営業会社は短期と長期と両方での収益を考えなければならないものですが、大手の不動産業者は営業マンが目先の利益だけを追いかける傾向があります。monmonさんのような営業は、小規模な不動産業者でなければ出来ないものですね。

ではありますが、今日アップした記事でも書きましたが、実際にはこちらの思いが相手にちゃんと伝わること、1割もありませんね。見返りを求めているワケではありません。ハート、なんですね。

ただ、相手も単に「ウッカリしていただけ」だと思うのです。なので、通じないからといって落胆するところまではいきません。自分だって、けっこう不義理しながら生きてたりもしてるでしょうから、人のことばかりは非難できないものでしょう^_^;

私がよく言ってること、「こっちが思っているほど相手はこっちのことを思っていない」ということで、それは当然でしょうし、そう自分に言い聞かせてなければ生きてはいけませんね。

お互い、これからも精進してまいりましょう(*^^)v
Posted by poohpapa at 2011年02月02日 07:21
コメントを書く
お名前: [必須入力]

メールアドレス:

ホームページアドレス:

コメント: [必須入力]