今日は手違いで早くアップしてしまった削除分の再アップ
連休中もいろいろいあったけど、それはまた追い追い(*^^)v
毎日、アットホームのメルマガが届くのだが、なかなか勉強になる。
かなり前の記事の中で、こんな設問があった。プロの不動産屋なら当然に解かる問題。もちろん私は正解した。ホント、嘘じゃないよ(*^^)v
民法の問題で、以下、メルマガからそのまま引用。
平成20年3月24日、Xは、娘の元夫であるAにそそのかされ、自己居住中の不動産をY1に売却する旨の契約(第1売買)を締結しました。
医師によると、Xは、平成19年4月11日に初診を受けて、特定不能の認知症および器質性精神病と診断。以降認知症が徐々に進行し、平成20年5月12日にアルツハイマー型認知症と診断され、自己の財産を管理、処分することができない後見相当の判断能力との判定意見がなされていました。
平成20年3月23日、司法書士が、X方を訪れ、約20分間A立会いのもと、第1売買についての所有権移転登記委任状等への署名押印を求めたり、本件不動産の取得経過等を聴取しました。
同年6月26日、Y1とY2の間で売買契約がなされ(第2売買)、同日、所有権移転登記がなされました。Y2は、Xに明渡しを求めましたが、Xは第1売買による売買代金を受領していないなどとして所有権の移転を否定しました。
同年8月20日、成年後見開始とX法定代理人成年後見人をZとする選任の審判がなされました。
Zは第1売買当時Xには意思能力がなかったので第1売買は無効であり、よって、第2売買も無効であるとして、Y2に対し、登記抹消手続きを求めました。これに対しY2は、Xには判断能力があったとし、またY2は善意の第三者であると主張してこれを拒否したため、X(Z)は裁判所に訴えました。
【解説】
裁判所は次の通り判示し、Xの訴えを認めました。
(1)第1売買の際、Xはアルツハイマー型認知症に罹患しており、すでにその症状が相当程度進行していて、自己の財産の処分や管理を適切に行なうに足りる判断能力を欠くに至っていたと認めるのが相当である。
(2)第1売買は無効と認められるため、Y1は本件不動産の所有権をXから取得できず、また、Y2も無権利者であるY1から、本件不動産の所有権を承継取得することはできないと認めるのが相当である。
(3)Xには何ら責められるべき事情はないため、Y2は、民法第94条2項の善意の第三者として保護されるべきものと認めることはできず、Y2の主張には理由がない。
(平成21年10月29日 東京地裁判決)
これは当事者が判断能力を有していたか、有ったとすればどの時点でか、が根拠になっていて、ま、当たり前と言えば当たり前の判決。何がどうなら妥当で公平公正か、という観点で考えれば良い。
別の観点から、もし脅迫されて不動産などを「意思に反して売却した場合」と、「騙されて売却した場合」では、保護の程度が変わってくる、というのも覚えておいたほうがいいと思う。
AがBに脅されて銀座の一等地100坪をBに1億で売却して、それをBから譲り受けた善意の(脅迫の事実を知らない、の意)CはAに対して所有権を主張できるかどうか。
Cはその事実を知っていたかどうかに関係なく、最初のAB間の取引が不法行為により無効なので、当然に所有権を主張できない。土地の所有権はAに返ることになる。
では、AがBに騙されて格安で売却した場合はどうか。CはAに対し、善意の第三者であるからと所有権を主張することが出来るか。
答えは・・・、出来る。脅迫された場合は法で保護してもらえるが、騙された場合は「アンタも悪いでしょ」になる。迂闊にも騙された人と、普通に契約をして購入した人の、どちらを保護すべきか、という判断になる。落ち度のない方を護るのは当然だ。
よって、ヒューザーに騙されて欠陥マンションを買わされた人、法律で保護されることはなかった。法律はけっこう上手く出来ている。
本題から外れてしまい申し訳ありませんが、
私、不動産にかかわる日本の法律って変だと思うことがあるんです。
ヒューザーの場合は、担保物件がインチキだったということになるわけですが、
騙されたのは購入者だけでなく、担保価値を認めてお金を貸した銀行も同じだと思うんですよ。
耐震偽装なんて誰も気づかなかったでしょう。
それなのに、価値が無いことが発覚した時に、
責任を負うのはローンを組んだ人だけで、銀行は全額貸したお金が戻ってくるというのは納得がいきません。
また、不動産が値下がりした時もそうですよね。
失業か何かでローンが返せなくなって売却した時、
大幅な値下がりをしているとすべて返済が出来ず、
家を失った上にローンも残ってしまいます。
担保の価値が下がったことはローンの借主の責任ではないのに、
責任はすべて借主が負って貸した方は必ず利息と元金が戻ってくるというのは、
どう考えても日本の法律は良く出来ているとは思えないのです。
震災偽装に限らず、震災でも二重ローンの問題は、銀行は一切リスクをとらず、借りた方のみがすべてかぶることになるから問題がより深刻になると思うのですがいかがでしょう。
2005年12月10日付けの「構造計算偽造問題、私が被害者ならこうする」という記事で、実は私もhortensiaさんと同じような思いを記しています。
http://akutoku.seesaa.net/article/10467651.html?1304733042
当時の記事には書いておりませんが、銀行には「与信」という責任も発生いたします。つまり、「銀行が担保に取っているのだから安心できる物件に違いない」と、消費者が当然に思ってしまうもので、言わば、銀行が「お墨付き」を与えたようなものなんですね。そういう観点からも、法律はどうあれ、銀行も一定の責任は免れないものでしょう。
この部分に関しては「法律に不備がある」と思います。もともと法律は試行錯誤を重ねて改善されていくものなので、概ね「よくできてるな」と思っています。あとは、運用する人(裁判長や判事)の判断によるところが大きいものでしょう。