ある同業者から当社の入居者募集物件に問い合わせがあった。
「ご自宅が福島で、今回の地震で被災した方が直ぐ入居できる部屋を探しています。ライフライン(電気、ガス、水道)が復旧するまでの短期なんですが、そちらのサン◎イツBはお借りできますか?」とのこと。家は津波の被害こそ受けていないが家具は倒れ、食器やガラスなどが割れて飛び散っていて、とても手が付けられない。それで、兄が住む多摩郊外の町で物件を探していて、ライフライン復旧までの一時避難を決意なさったようだ。
家主さんに伺うと、思っていたとおり「そんな状況なら当然に協力して差し上げなくちゃならんでしょう」と快諾。だが、お客さんは小さなお子さん2人とご両親、という5人家族で、サン◎イツBは2DK。現在202と101が空室なのだが、その家族構成なら101のほうが良く、ご本人も101を希望しているが、101は空いたばかりでリフォーム業者が壁紙や床を剥がしている。
お客さんは「家具など何も無いし、入居してからの工事になってもかまいません。工事する間は兄の家に行ってますので」と仰るが、そういうワケにもいかない。数ヶ月の入居の間の一週間も他にいてもらうことになるのは大変だし。
202は既にリフォームは完了しているので、家主さんや仲介業者と相談し、とりあえず202に入ってもらい、101のリフォームが完了したら移動して頂くことでお客さんにも了解して頂いた。ややこしくなるので家財保険にも加入してもらわないことにした。
夕方、家主さんの娘さんから私に電話が入った。
「国難とも言える事態なので、うちは家賃だけでかまいませんから、出来る限りのことをして差し上げてください」と・・・。涙が出た。
通常、礼金1、敷金1の物件である。客付業者とは仲が良いが、それでも「オタクも仲介料を放棄しなさいよ」とは言えない。悩んでいたら、担当者から電話が入ったので「どうするか」訊いてみた。
すると、「本社からの指示もあって、現状では何か適当な電気製品を贈ることになると思います」とのこと。それで私も腹が決まった。
契約が完了したら家主さんから当社に家賃の1ヶ月分相当の広告代が頂けるから、当社はそれを辞退することにしよう、と。つまり、礼金0、敷金1で契約すればいいことになる。所属している都宅協にも提案しているが、まだ回答も結論も指示も出ていないから、それぞれの判断で協力することになる。なるだけなら、全国の全宅や全日の会員不動産会社が足並みを揃えて仲介料を放棄し、家主さんにもご協力を要請して礼金0、敷金0で入居して頂けると良いのだが、それぞれに事情もあるものだろうから強請はできない。何度も言うが「それぞれが出来る範囲で出来ることをする」ということに尽きる。
べつに「向こうも放棄するならこっちも」と同業者の出方を窺っていたワケではない。先走って善人ぶることになるのが不本意なのだ。
敷金も一旦1ヶ月分預かるが、全額返金することになるだろう。
正直、こんなに早く当社の管理物件に被災者から問い合わせが入るとは思っていなかったが、よくぞ当社の管理物件に問い合わせてくださったもの、と思う。これも何かのご縁だろう。
それにしても協会の動きは遅い。3日前の金曜日に「寄付金を集める」とのFAXが流れてきたのみだ。もう寄付は(とりあえず)済ませている。もちろん被災地にとって現金が一番有り難いものだろうが、寄付なら誰でも出来る。「業界としてどんな貢献が出来るか」が大切であって、そういう発想が出来ないなら今の執行部は無能である。
現状で被災者の方からそう何件も問い合わせが入るとは思わないが、当面は当社独自の判断で「被災者からの申込みについては手数料放棄、或いは広告代辞退」という方法で対応していこうと思う。
日本て、いい国ですね。
うちのも福島市内の避難所へ、毛布やらタオルやら古着やらをでっかいダンボールに入れて持って行きましたが、そういう個人的なものも受け取ってくれるのかな。
持って帰ってはこなかったけど。
ちなみに着ていないT-シャツやトレーナーには、私がコンサートに行った記念に買った品が多量に…(T_T)
着てないわけじゃないのにぃ。
役に立って欲しいなぁ。
ニュース映像とかで、黒いロック系のロングT-シャツを着たおばあちゃんとか写ると、私の魂は救われます。
皆でね、出来ることからコツコツと、ですね。
今さっき、契約が終わりました。とても喜んで頂きました。この仕事をやってて良かった・・・、と思える数少ない瞬間ですね(^^ゞ
お客さん、凄く喜んでくださいました。お帰りにカレンダーと掛け時計もお持ち頂きました。使ってないものがありましたので。
入居者のご主人は、福島県のJAでガソリンスタンドの担当をしていて、とても引っ越しては来られない、とのことで現地に残っておられます。幼いお子さんお二人を抱えて離れて暮らすことになります。当社でお力になれることがあれば何でもしたい、と思います。
ハリケーンさんが提供したTシャツなども必ずどこかで役立っていることと思いますよ。
話は替わりますが、それにしても、農産物の出荷停止指示、話になりませんね。捨てるしかなくなるワケで、農家からしてみれば丹精こめて育てた野菜が廃棄処分になる・・・、断腸の思いだと思います。補償してもらえるからいい、ということにはならないものでしょう。捨てるなら、活かせる方法があるものでしょうし・・・。