わりと小奇麗なご婦人が部屋探しで来店した。
「風呂は無くてもいいので、なるだけ安い部屋を・・・」とのこと。話を訊くと、子供がいるらしい。
「そのガラス窓に貼ってある3万の部屋はどんな部屋ですか」と訊かれたので内容を説明した。6畳一間の1Kだが家主さんは「子供さんがいても、うちはかまいませんよ」と仰って頂けるのは分かっている。
ところが・・・、である。子供は二人いたのだ。しかも、上は中学生の男の子で下が小学生の女の子。その親子が6畳一間で生活する、なんてことは「どだい無理」である。
もっとも私自身が子供の頃は「8畳一間」の風呂無しの1Kに親子8人で暮らしていたし、元妻の実家で二世帯住宅で暮らしていた時も、6畳の洋間と9畳のリビングの1LDKに中学生(後に高校生)を頭に3人の子供と5人で暮らしていたのだから経験上は「無理ではない」と言えるのだろうが・・・、時代も違う。
仮に申し込んでもらっても親子3人入居では審査は通らない。それでも「訊いてもらえないか」とのことなので家主さんに電話すると、「しばらく空いてたから知り合いに頼まれて建替えの間の荷物置場として短期で貸しているんだよ」とのこと。当社に連絡は無かったからオイオイではあるが、逆にホッとした。
お客さんにどんな事情があるかは解からない。小奇麗な雰囲気も「風呂無し3万」の部屋とは不釣合いであるし、「先に市役所の生活福祉課に相談してみたら如何でしょう。そうすれば2DKが借りられることになるかも知れません。子供さんの為にもそのほうがいいと思いますよ。宜しければ、それからまたお越しになってください」と言うと、諦めて出て行った。その様子からして、たぶん市には相談しないんだろう。
お客さんによっては「自分の事情を話そうとしない」(訊いても話してくれない)人がいる。いくら初対面ではあっても、ある程度はこちらを信用して頂けなければ「良い部屋探し」は出来ない。いくら頑張っても徒労に終わることが多い。いや、ほとんどそうなる。だいいち、不動産屋に失礼、というものだ。こちらは部屋探しに必要な情報だけ教えて頂ければよいのだが、それすら話さない人もいるのだ。
それにしても、見た目と希望条件がアンバランスなお客さん、であった。
2012年03月07日
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