家主、といえば、強欲、ケチ、というイメージが付いてまわりますが、中には驚くほど立派な見識をお持ちの方がいらっしゃいます。あ、8割かた、普通の方々なんですけど(爆)
ある日、家主さん宅を訪問すると、明らかに東南アジア系の顔立ちのお客様がいました。で、理由を尋ねると、そこには感動的なドラマがありました。
そのお客人はラオス人のご家族で、娘さんの「三口(兎唇)」の手術のために来日中でした。ご承知の方もいらっしゃるでしょうが、手術は3回にわたって行われますので、その度に来日する必要があります。技術的には困難な手術ではなく、キレイな顔立ちになりますが、精神的、経済的な負担は大きいものがあります。
家主さんはボランティアで勤めている「外国人のための日本語教室」の講師をしていて、そのご家族と知り合われたとか。で、事情を聞いて、3度の手術費、家族全員の渡航費、滞在費など、すべて出して差し上げることにしたのだということです。その額は、保険もきかないので、およそ300万円にものぼったそうです。幸い家主さんの周囲で募金活動も起こり、大学にも補助して頂けることになったとか。でも、それにしても、「額」の問題ではありませんね。人の為には千円のカネだって出し渋る人は私の周りにも大勢いますから(*^^)v
私が、その家主さんを「立派」だというのは、お金を出したから、そのことではありません。
実は家主さんの奥様は、子供の頃、あるお医者様の養女となり、大人になって今のご主人と結婚する時に反対されて家を出て、その後養父母がお亡くなりになって遺産を相続なさったのですが、「これは本来、家を出た私が受け取るべきものではない。いつか困っている人たちや世の中のために遣おう」と心に決め、それを実行なさっている、ということにあります。
人の心は変わります。お金が必要な理由はいくらでもつけられます。私なら、「自分も困っている」と思おうとしたかも知れません。また、それで普通なんだと思うし、奥様がそのお金を自分のために使ってしまったとしても誰も非難などできません。奥様が、2人の娘さんに「私が養父母から相続した分はあなた達にも遺すことはしません」と宣言したとき、娘さんは2人とも心から賛成してくれたそうです。もちろん、ご主人様も。
不動産の仕事をしていて、「お金がないから家賃が払えない」「あるから払える」というものでないことはよく分かります。お金がなくてもキッチリ払ってくる人はいますし、持ってても払ってこない人もいます。お金の使い方を見ていれば、その人の人格はよく分かります。
崇高で立派なご家族に出会えて、私も幸せに思います。
え??今まで私隠していた事がございまして、滅法鋭い悪徳様の事ゆえ既にお気づきの事かもしれませんが私も随分昔不動産の営業をやっていたことがあります。しかしながらこちらのBLOGを拝見してからはとてもオレも昔やっていたとは恥ずかしすぎて言えませんでした。世間の事を解りもせず(今でもですが更に)タダタダ数字だけを追いかけていたそんな仕事っぷりでした。しかもたいした成績を残したわけではなく、恥の3乗の気分です。
さて今回こちらの記事を読んで思い出したことがありました。
それは、築30年位の一戸建ての賃借人のことですが、伝統工芸と言うのでしょうか江戸時代より続いていた家内工業の小さな会社が倒産しまして夫婦子供ふたり祖父母の6人でそれまで住んでいた豪邸より移ってきました。半年あまりすぎた頃大家さんより連絡ありまして家賃が滞納されてる由、早速に電話連絡入れると祖父が出て、腰が低い人ではあったのですが、「申し訳ない。孫の学用品を買うのに使ってしまって。」とのこと。当方「何で勝手に支払い順序を決めてるんですか?それならそれで事前に連絡戴ければそれなりに一応は大家さんに連絡を出来るのに!」と興奮気味に答えたのですが、今だったらとても言えません。当時悪徳BLOGを読んでいたなら、少なくとも仮に同じ事を言うにしてももう少し柔らかく言えたのにと思うと残念です。
同じことを言うにしても、人それぞれに受け止め方が違うので、キツく言って聞かせるか、優しく言うか、は相手次第ですよね。
それと、私からすれば、「ほんの少しずつ払ってくるヤツ」が一番嫌いです。裁判にでもなったら「誠意」として認められてしまうからです。
たこぼんさんの仰る、「何で勝手に支払い順序を決めてるんですか?それならそれで事前に連絡戴ければそれなりに一応は大家さんに連絡を出来るのに!」、というのは、私も年中言っています。それでも分からない、改めない人は、やはり「アホ」としか言いようがありません。ただ、こっちも商売ですから根気よく話はしますが。
コメント、有り難うございます・・・、と言っておこう(*^^)v