同じ大学生でも、こうも違うか、という話。
地方出身の男子大学生がやって来て、「広めのワンルームで、駐車場込みで8万5千円迄でいい部屋ないですか?」と言う。
「学生さんで、車持ってるの?」
「あ、はい」(いけませんか、という表情)
「予算、大丈夫?」
「バイトで予備校の講師やってて、月27万。仕送りが15万あるから平気です」
月42万というのは、5人家族である私の月収より多い額である
「他に兄弟はいるの?」
「高校生の弟が1人」
「ご両親は大変でしょう。これから弟さんにもおカネがかかるし。バイトでそれだけ稼いでるなら、仕送りはしなくていいよ、って言ってあげたら?」と、お節介を承知で訊いてみた。すると・・・、
「そんなこと言いませんよ。それはそれ、これはこれ、ですから」
私はすっかり「お断りモード」に入ってしまった。だいたい、学生の分際で車を持ってるのが気に入らない。どうしても必要な理由があって、というのでなく、女を引っ掛けたり遊ぶ目的で持っているに決まっている。断じて、学生に車など不要である。
「今は良さそうなの無いから」と早々に帰ってもらった。そんな奴に貸す部屋は無い。例え有っても「俺が無いと言えば無い」のだ
もう1人、後ろからチョンと押しただけで倒れそうなくらいひ弱そうな感じの男子学生のケース。
「風呂なしでも良いので、3万以下の部屋をお願いします」
「今はどんな部屋に住んでるの?」
訊けば、こういう事情であった。
「今4年生で卒業を控えていたが、単位が足らず留年してしまった。留年したのは自分の責任だから、この先は家賃と学費は自分で払っていこうと思う。今まではエアコン付きのワンルームに入っていたが、今の自分には贅沢だから安い部屋に移ろうと思う」、とのこと。
私は「偉い」と思った。人は見かけによらないもの、である。ひ弱そうに見えて、一本筋金が入っている。今時の学生のほとんどは、留年しても、今の快適な住環境を手放そうとは考えない。そのまま親のスネをかじり続けるだろう。
私は他の業者の管理物件で2万6千円の風呂無し物件を紹介した。
気に入って申し込みを入れてくれた。
ところが、翌朝、管理業者から電話があり、「昨日の客ね、あれ、断ってくれる?」と言う。驚いて訳を訊くと、「留年するような情けない学生に部屋は貸せないよ」とのこと。初めて聞く理由だった。
「世の中には、留年してもそのまま良い部屋を借り続けようという学生は大勢いるけど、ここから先は自分で出す、と言うのだから見上げた学生でしょう。例えば親掛かりで高い家賃の部屋に入っている学生がいたとして、親の会社がもし倒産するようなことがあれば家賃は滞ってしまうでしょう。でも、自分で払う、という学生の賃料は問題なく入ってきますよ。どちらが間違いない入居者か、もう一度お考え頂けないか」と食い下がったが、管理業者の答えは同じであった。
「それは、家主さんの判断なのか、管理会社であるオタクの判断なのか」と訊くと、「うちの判断だ」とのこと。
「ならば、そんな傲慢な業者とはもう付き合わない!」と怒鳴りつけた・・・ものの、・・・うちも同じだからヨソのことは言えない(爆)
翌日、学生さんに謝罪の電話を入れたが、審査が下りなかった本当の理由は言えなかった。
実は、その学生さんは就職が内定しており、その企業に留年したことを伝えると「来年待っていますから、卒業なさったら是非そのまま入社してください。頑張ってくださいね」と、声を掛けてくれたとか。
偶然、私の高校時代の同級生がその会社の、まさにその学生さんの配属予定事業所に在籍していたので、私は「確実に1年待っててやってくれるよう上に頼んでおいてくれよ」と後で電話しておいた。
もちろん、そのことは本人は知らないし知る必要もない。
対照的な2人の男子学生、いずれも、一橋大学の学生であった。
ハンドルが似ていてビックリしました。
なまなましい話で、かつハートウォーミング、なんとなく昔読んだ漫画の”家栽の人”を思い出しました。
私も大学生の時、実家の車を借りっぱなしで乗りまわしてました。でも、維持費が大変で、安いアパートで暮らしてました。
会社に入ってからは、ずっと社宅なので不動産屋さんにはもう長い間行ったことがありません。
いつか、不動産屋さんに行く時は参考にさせていただきたいと思います。
今後とも頑張ってください。
プーさん好きが高じて、かようなハンドルになりました。いつかイギリスの100エーカーの森を訪れるのが夢です。
先ほど少しだけホームページにお邪魔いたしました。
お嬢様、本当に可愛いですね。真っ直ぐ伸びてらっしゃるのがお写真からも分かります。
後ほどゆっくり拝見させて頂きます。
今後ともどうぞよろしくお願いします。
不動産業、人を見る目が肥えますね・・
たしかに、いろんな客層のお客様を相手にしますので、少しは目が肥えるかもしれません。でも、少しは・・・ですよ。
うちも、弁護士をしている家主がいて、「それでも法律家か」というくらいお粗末な人で、それもいつか書かせて頂きます。
その時には、どうぞ一緒に溜飲を下げてください(爆)