うちの会社には音大生も美大生も部屋探しにやってくる。
皆んな、将来の「名オペラ歌手」、「大ピアニスト」、「画伯」、を目指している。
だが、目標に辿り着けるのはほんの一握りの限られた人でしかない。
「能力」よりも「運」がモノをいうし、「資金力」も大きく関係しているように思う。
冷たいようだが、「本当に才能も運も持ち合わせている人は若くして花開くもの」だと思うし、夢を支える親の負担とか考えれば、「自分の夢を追い続けるのはせいぜい30歳まで」にすべきだと思う。
たしかに、中には「大器晩成型」という人もいるだろうが、親の遺産で全兄弟姉妹が一生食っていけるのでなければ、どこかで自分に見切りをつけて他の人生を歩む必要がある。
だいいち、「芸術というものは、カネが掛かるけどカネにはならない」、ものだから。
それにしても、美人は得だと思う。「川井郁子」にしろ「阿川泰子」にしろ、特別才能があるとは思えないし、「その世界では美人の部類」、というだけでお声がかかる。目下売り出し中の「女子十二楽坊」にしたってそうだ。色気や美貌をウリにしているようでは、「実力はない」と自ら認めているようなものだ。どれだけCDが売れようと、私は認めない。
さて、人によっては、「頭(目標)の切り替え」をすることで上手くいくケースもあると思う。
先日、オペラ歌手を目指していたある音大生(女子)に、「あなたは、オペラ歌手よりジャズシンガーを目指したらどうか。競争相手も少ないし、何よりあなたの雰囲気に合っていると思う。基礎はクラシックで充分学んでいるのだから」、と言ってみた。すると彼女は、「実は私もそう思って、今、ジャズバーでライブのバイトしているんですよ」、とのことだった。
本人と不動産屋とで認識が一致したのだから、その選択に間違いはない(爆)
以前、他の同業者さんからこんな話を聞いた。
その会社の管理物件である古いアパートに、ご主人が弁護士を目指している夫婦がいて、毎年司法試験に挑戦しているのだが落ち続けているという。共にもう50歳を過ぎていて、子供はおらず、生活を支えているのは奥さんのパート収入だけ。灯りも節約して、ほの暗い机に向かってご主人は毎日朝から晩まで勉強していたが、最近になって失明してしまった、というのだ。受験資格も変わり、事実上、ご主人が弁護士になれる道は閉ざされた。当人同士が納得できるのならそれも良し、ということかも知れないが、この夫婦は残りの人生ををどうやって歩んでいくのだろうか。というより、ご主人は、自分が夢を追い続けた結果の責任を奥さんにどう償っていくのだろうか。
人生は、ある意味、ギャンブルと似ている。パチンコをしていて、フィーバーしそうでしなくて、「もうそろそろクルだろう」、と粘っていて、気が付いたら財布はスッカラカン、とか、帰りの電車賃にとっておいたカネを最終レースにつぎ込んでそれもスラれ、遠い道のりをトボトボ歩いて帰った、という経験は無いだろうか。(私は無い)
普段の生活でも、「あそこで止めておけば・・・」なんてことはそれこそ日常茶飯事であろう。
自らの「潮時」、「見切り時」、をわきまえることは何より大切だと思う。
2004年03月24日
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BEST
Excerpt: ステージでもよく歌われる「Over The Rainbow」が絶品ですね。冒頭の自作のバースがまたいいですね。自制的な独り言が、雰囲気を醸し出し、印象的な出だしを持っています。 その後の弾き語りによる..
Weblog: ジャズを攻める
Tracked: 2007-10-15 06:35
毎日楽しく拝見させてもらってます。
何処かに足跡を残そうと思い迷った挙句ココに・・・
んー潮時ですか。
考えれば考えるほど難しいですね。
わかればすごく便利なんですが。
でも何にせよ後悔だけはしないように生きたいです。
失敗しながらも毎日が楽しくて、その積み重ねが人生ならと強く思います。
毎日、偉そうなことを書き連ねておりますが、現実は私も失敗の連続です。でも、おっしゃるように、それが人生ですもんね。高校時代のガールフレンドが、「私は嫌なことがあると、だから人生なんだ、と思うようにしてるよ」、と言ってましたが、今にして思えば、若くして深い見識を持ってたんだな、と感心します。
人は、自分が可愛いから、大切だから、だから「潮時」を見誤るんだと思いますね。一度岸に上がると、潮時が良く分かります。