30歳過ぎくらいの男性で、ドアを開けて入ってきた時から必要最小限のことしか話さない。
「広さ的にはどのくらい必要ですか?」
「2DK・・・」
「ご予算はどのくらいまでとお考えですか?」
「8万まで・・・」
「沿線や駅は、どの辺りまでが許容範囲ですか?」
「この近辺まで・・・」
まあ、それでも用は足りるが、言葉には修飾語ってものがあるだろう。
よく、お見合いなんかで、相手の質問に、ただ「はい、いいえ」だけで答えてはいけない、と言われている。
「良いお天気ですね」、「ええ」ではなく、「ええ、そうですわね」、である。
それからすれば、せめて、「独り住まいですが、荷物もけっこう多いので2間欲しいです」、くらいは言って欲しい。そうすれば、「何かご趣味で集めていらっしゃるのですか?」、とか、「洋服をたくさんもっていらっしゃるの?」、とか、次の質問に進むこともできる。「2DK」、で止まってしまったら後が続かない。
どんな冗談を言っても「ニコリ」ともしないし表情ひとつ変えない。「絶対笑わない」観客の前で必死に落語を演じているようなものだ。やりにくいったらありゃしない。
「どこぞ具合の悪いとこでもあるんやろか」、と思ったが、ただ暗いだけでどこも悪くなさそうである。黒っぽいスーツが、男の暗さをいっそう際立たせている。
で、意地悪で聞いてみた。
「彼女とかいるの?」
「いいえ・・・」
良かった・・・、「はい」、って言われたらどう反応しようかと思った(爆)
条件に合いそうな物件を何軒か案内している途中も、一言も口をきかない。
部屋を見ても質問も出ない。これでは気に入ってるのかどうか分からない。
一応事務所に戻って、再度商談することにした。
余計なお世話だが、「こんなに暗くては友達など1人もいないだろう」と思ったりもした。
こっちも話題に行き詰まったので別の質問をしてみた。
「お仕事なに?」
「辞めたばっかりですけど・・・」
(そうだろう、そうだろう)
「でも、次は決まっています・・・」
どこに就職したって上手くいくワケがない。愛想笑いひとつできないんではどこに行っても使いモノにはならないだろう。これから先もどうせ職を転々とするに決まっている。
「ふ??ん、で、何するの?」
一瞬、「今も気がかりな青年」(過去ログ)のことが頭をよぎった。
「葬儀屋・・・です」
なるほど、その手があったか・・・ (爆)
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オチ、トビきりでした 笑
でもいますよね、そういう人って。仕事聞くと「役所」って答えが返って来そうな 苦笑
私そっちかと思ってたら意表つかれて面白かったです 笑
コメント(0)が続く他のコラムの書き手さん等は
羨ましくて仕様が無いのでは?(爆)
もう今日のなんか「ヤラレタ!」です。
落語のお囃子が聞こえてきそうです
読み終えてから親友の顔を
逆の意味で思い出してしまい、笑いをかみ殺すのに苦労しました。
私の今一番近くにいる親友は「笑い顔」でありまして、
「葬式だけは避けたい」(本人談)という位の・・・
歯を見せなくても「笑って」いると思われる事が多く、
実際怒ったとこ見た事無いし、過去に怒ったと記憶される
事件は二度だけらしい、、、
でも、私の買い物を世話してくれた時も「ニッコリ笑って
人を斬る」で、私の代わりにしっかり以上に値切ってくれました。
でも恨まれてはいない様子で、「人徳」とは彼の為にあるみたいな、そういう人間です。
poohpapa様は「悪徳」の名を借りた《不動産業界の良心》
で、最近ではエンターテイメントにも長けてきておられる(爆)
早く作家活動始めてね。
私はまったく逆のタイプの葬儀屋さん勤務の方を知ってます。
きれいな女性なのですが、酒豪で豪快、話題も豊富。
初めて勤務先を聞いたときはしばし呆然としました(笑)。
ご霊前でご遺族が相続で口汚くもめたりしたら叱り飛ばしそうな感じです。
この方の部下にその男性がなったらおもし...いや、大変かも(^^;
なんてことを思ってしまいました。
いや、ホントに暗かったんですよ。だから、マジで「使いものにならないだろう」って考えてました。根は優しそうな感じで好青年なんですけどね(遅い^^;)
コメント、有り難うございます。
本当に「落ち」を狙ったわけではなかったのですよ、マンマの人だったし、これも実話なんです^^;
あ、公務員とか、学校の先生とか、看護婦さんも分かりますね。滲み出てますモンね(笑)
葬儀屋さんは職業柄、緊急の仕事が入るので、「デートの約束」ができないとかで、大変らしいですね。ますます、暗くなりそう(爆)
コメント、有り難うございます。
おかげさまで、賑わっております^^;
本当に有り難いことと感謝しています。ネタを不断に提供してくださる大家さんやお客様にも「感謝」です。
クマさんのお友達は「笑い顔」ですか、そういう人、よくいますよね。どちらかというと得なんでしょう。
明日、いつものコラムの他に「お休みのご挨拶」も出させて頂きますが、GW中はお休みして、明けたらまた頑張りますので、クマさんも帰ってきてくださいね。
今後ともよろしくお願いします。
ピタッとはまるか、全く逆のタイプが、「その仕事」に向いているもので、中途半端が一番ダメみたいですね。だから、私には葬儀屋さんは勤まらない、と思っています^^;
きっと、目の前で「遺産分け」でモメたりもするんでしょうね。不動産屋よりもっと人生の裏側が見られる職種かも知れません。やっぱ私には無理だワ(^^♪
人様の葬儀に参列する度に「大変な仕事だな」、と感心しています。とくに、「葬儀代金を遺族に請求」するなんて、私にはできませんね。
コメント、有り難うございます。
いやぁ、なかなかのオチで、笑いました。
ただ、親友で仕事の付き合いも有る葬儀屋の話から
すると、暗いと葬儀屋は駄目みたいです。
やはり葬儀屋とは言え接客業ですから。
暗くても出来る仕事はやっぱり物書きかなあと
愚考してみました。
あ、物書きの方が暗いとは思ってないです。
あくまで勝手な思い込みですので。
そうかも知れませんね、たしかに。何でも「適当」でなければ勤まりませんね。
あと、「もの書きが暗い」というのは本当だと思います。まあ、両極端みたいですが、芥川にしろ、太宰にしろ、川端にしろ、自分の世界に浸って自殺していますモンね。「根アカ」のほうが圧倒的に少ないし、作品の芸術性は低いです。私もどちらかといえばそのクチでしょう^^;
私の高校時代の担任(国語科、文芸部顧問)も「文学青年」で、私の卒業後何年かして自殺してしまいました。理由は「(結婚していて)双方の親の板挟みにあって」ということですが、線は細かったですね。特有のカゲがありましたよ。
コメント、いつも有り難うございます。