2004年05月04日

タイの象さんの思い出(号外4)

2年前の夏、ベトナム、カンボジア、タイを周ってきた。

それぞれの国で、我々2人に専属ガイドと運転手がついてくれて、とても楽しい旅だったが、最後の訪問地タイで、ちょっと悲しく寂しいできごとがあった。

アユタヤからの帰り道、エレファントキャンプを見つけて、象に乗ることにした。我々が象の背中の椅子に乗っかると、象使いはキャンプを出て国道を横切り、河原に下りていった。ところが、河原まで来ると象は突然、草を食べ始めてその場を動かなくなってしまった。よほどお腹が空いていたのだろう、象使いが叱っても動こうとはしない。で、私が象使いの背中を叩いて、好きなだけ食べさせるよう合図を送った。やがて、ようやく象が動き出し、タイムアップにもなったのでキャンプに帰ることになった。

象から降りて、ひょいと見ると、待合所の机の上に籠盛りのバナナ(象の餌)があった。一籠200円くらいだっただろうか。自分たちを乗せてくれた空腹の象に食べてもらおうと、現地ガイドさんに通訳を頼んで、象使いにその象を呼び寄せてもらった。

その象にバナナを上げていると他の象たちも寄ってきた。それで、「ごめんね、このバナナは僕たちを乗せてくれた象さんに上げてるのだから、お前たちには上げられないんだよ」、と言って、上げないでいたら、何と、我々を乗せてくれた象が、自分がもらったバナナを横にいる仲間の象にそっと渡しているではないか。

私は、「何てケチなことを言ってしまったんだろう」、と心の底から後悔した。だが、だからと言って売り物のバナナを全部買い占めて象に与えれば、経営者は益々餌を与えなくなるかも知れない。悩んだ末に二籠でやめた。

人間でさえ、遺産の取り合いや貧しさゆえに諍いを起こすし、飢えてくれば人のものを奪う。いや、人間だから、かも知れない。象の方がよっぽど慈愛に溢れている。ものすごく情けなく思えた。

今も思い出すと涙が出る。

その後もず〜っと気になっているので、近い将来もう一度そのキャンプを訪れて、やはり今度は思い切り食べてもらおうと思う。
それまで、元気でいてくれるよう願っている。
posted by poohpapa at 06:00| エピソード | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする