2004年06月13日

交差した運命

1988年から89年にかけて東京の多摩地区と埼玉で起きた、「宮崎 勤」による連続少女誘拐殺人事件は、私にとっては非常に衝撃的な事件だった。

犠牲になった4人の少女の中に「今野真理」ちゃんがいた。「真理ちゃん」と、同い年で同じ名前の私の娘「真理」とは、どうしても「運命が交差している」ように思えてならない。本当に、「真理ちゃん」がうちの娘の身代わりになってくれたように今も思っている。

私は24歳の時、埼玉県の西武池袋線「入間市」駅から3kmも離れた新築マンションを購入したが、その時、もっと駅に近く造りも良い別の新築マンションも販売されていた。駅からも徒歩で10分とはかからないし、リビングも広いのだが、価格も200万ほど高かった。義父母から少し借金すれば買えないこともなかったが、結局、「自分たちの力で買えるものにしよう」、という判断を下して「駅から遠いマンション」を購入することにした。その時は、正直、「義父母がもう少し相談しやすい人だったら」、と思ったりもした。

その時、私が買えなかったマンションが、今野真理ちゃんが住んでいた「東急ドエル入間ヴィレッジ」である。名前や歳が同じだったというだけでなく、後で聞くところによれば性格もよく似ていたようだ。私の娘も、お友達がいない時には、1人でマンションの公園の砂場で遊んでいることが多かった。「宮崎 勤」も、そこを狙って犯行に及んだと聞く。

真理ちゃんのニュースを聞いた時、私は「やり切れない思い」だった。
人間の運命なんて、「ほんの些細な偶然で変わってしまうもの」、だと知らされた。

そしてまた、あの時もし私が、もっといいマンションに住みたいと願って、「お義父さん、おカネを貸してください」、と言っていたら、いや、言えたなら、「ハネっ返りの馬鹿娘」はこの世にいなかったかも知れない。人間にとっては本当に、何が幸いし災いするかは、後になってみないと分からない。人の運命なんて「結果論」でしか分からないものだから、些細なことで「今の不幸」を嘆いていても始まらない、と思う。

実は、私は今でも、「おカネさえあれば」、と悔しい思いをすることがよくある。
そんな時はいつも、申し訳ないが、「真理ちゃん」のことを思い出すようにしている。

「人の定め」は分からない。しかしながら、「カネさえあれば幸福、ということには必ずしもならない」ことだけは私にも分かる。

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この本文は、長崎での小学6年生の事件以前に書いておいたものです。事件後も、私の人生観や考え方は変わることはありませんので、そのままコラムを公開させて頂きました。もちろん、娘が無事であることを単純に比較して喜んでいる訳でもありません。
本文中の、今野真理ちゃんをはじめとする被害者の皆さん、ならびに御手洗怜美さんのご冥福を心からお祈り申し上げます。
posted by poohpapa at 06:00| Comment(12) | TrackBack(0) | エピソード | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
poohpapa様おはようございます。
乱入者に命を奪われる理不尽と、同級生に命を奪われるそれが
どれ位違うか?
「知らない人を信じてはいけないよ?」と
「親友にも気を許してはいけないよ?」
特異な事件だと思いこもうとしている自分に
「まさか!」という温厚なミュージシャンが〔傷害致死〕容疑
で逮捕です。私のギターライフを変えたきっかけを作った人でした。
本当に「誰を信じたら・・・」と暗澹たる気持ちになります。
かくいう私も「信じるに値しない」大人である事を打破する
為に自分を今一度再構築しようと頑張っている処なんですが・・・

自転車を「補助輪なしにして乗りたい」と言った娘と
公園で特訓して乗れる様になった時の喜び
「どうして一緒に住めないの?」と言って大粒の涙をポロポロ
流された時の悲しみ
たまに会う事を許されて会った娘が、次の日学校を休む事を
聞いて、会う事も諦めたけれど、
いつか笑える様に、胸張って会える様にするのだと・・

それもこれも「生きていればこそ」です
御手洗怜美さんの父上の無念
それと平行して
遺体の惨状や犯行(?)の詳細が明らかにされる都度
加害児童の御両親の気持ちはどんどん追い詰められていくで
あろう事も容易に察せられて、
毎日のように続く報道に「大事な事はそんな事じゃナイだろ?」
と・・・
やるせない気持ちで一杯になります。
(自分の子供が加害者だったら、)という想像力が働かない
「私たち」こそが問題でしょう?
知ったかぶりのコメンテーターに苦い思いがこみあげます。
Posted by 街のクマ at 2004年06月13日 10:26
街のクマさん、おはようございます

私も全く同感ですよ。
世間に知らせる必要の無い詳細を公表して、それに対してコメンテーターが意見を述べたり、精神科医や評論家が「したり顔」で解説する図式、なんとかならんモンでしょうか。

クマさんが仰るように、被害者の親は当然として加害者の親もたまらないと思いますね。
幸い、このケースで加害者側の「家庭の躾」とか「親の責任」とかの話が出ないのは何より、と個人的には思っています。「宮崎 勤」の父親も息子の逮捕後に自殺していますから、ちょっと心配になりますね。

今日の「ごまめのつぶやき」さんのサイトで、ごまめさんが非常に共感できる記事を書いておられます。直リンクは貼りませんが(私のPC知識ではできないのです)、よろしかったらご覧になってください。あ、右側の「my list」から行けますね。

この事件は「特異なもの」なんですよ。いえ、これからも起こりうる事件ではありますが、それでも「特異なもの」なんです。あっちの学校でも、こっちの学校でも年中起きる、という事件ではないでしょう。だから、ことさら「教育」や「社会」の在り方を今慌てて取ってくっ付けたように論議するのは愚の骨頂というものだと思います。少なくとも、今のマスコミの取り上げ方や専門家の意見などというものは、今後の同様事件の防止には何の役にも立たないものでしょう。もっと穿った見方をするなら、「いつ迄この事件でツナイでいられるかな」、とでも思っているのかな、と感じてしまいます。それが証拠に、他で大きな事件が起きればすぐに取り上げなくなってしまうハズです。マスコミだから仕方がない、とは思いますが、節操はありませんね。被害者や遺族のことを「さも心配している」かのような顔をしているだけです。

ところで、「知り合いが起こした事件」、私も多分あの件かな、と思っていました。
クマさんのショック、よく分かります。事件は事件として、今まで通り、同じミュージシャンとして敬愛していてもよい話だと思いますよ。

クマさん、娘さんとたまには会えてるからまだいい方ですよ。私なんか、隣の町に住んでるのにもう3年近くも会っていません。不思議に寂しくはありませんけどね。そのうち、母親と衝突して助けを求めてくるでしょうが、その時にはどんなセリフで「オチョクってやろうか」、と手薬煉(てぐすね)引いて待ってます(爆)
自分の子供、と言っても「別の人格」ですから、「死ぬまで同じ群れの中で」、とは考えていないのです。娘には言えないけど、長男や次男から情報を集めて、見守ってはいますけどね。

年齢差や立場の違いも有るでしょうから一概には言えませんが、胸張って会える時だって必ずきますよ。人生、そんなものです。

クマさん、間違いなく今が「どん底」ですから、これからは上り坂あるのみでしょう。
あ、もうちょっと、「どん底」続くでしょうけど・・・(苦笑)

お互い頑張りましょうね。
Posted by poohpapa at 2004年06月13日 11:23
どんたくです。
poohpapaさん、街のクマさんこんにちは
全く同感です。
もうニュースは事実のみを伝えて、訳知り顔に
解説をするのはやめてほしい。先日の脱北者家族の
事も「今週の・・・」といった具合に報道するなんてやめて、そっと見守るということをしてあげてほしい。

私がニュースについて思うたった一つ絶対にありえないが、こんなことがあれば、
それは世界で最もよい日になるということは。

朝、郵便受けに新聞を取りに行く・・・
取り出した新聞は妙に軽い。チラシは少し
入っているようだ。むしろチラシのほうが厚いかも。
今日は金曜や土曜ではないはず・・
テーブルに座り、チラシを置き、妙に薄い新聞を開く。

そこに書いてあったのは、新聞名と日付そして一言

「今日は良いニュースも、悪いニュースも何もありませんでした。」

つけっ放しのテレビから聞こてくる朝の番組の司会者の最初だけど締めの言葉
「おはようございます・・今日も一日ごきげんよう・・・」
Posted by どんたく at 2004年06月13日 15:13
どんたくさん、こんにちは

そうですよね、あのNHKでさえ、懇切丁寧に報道していますモンね。まあ、民放みたいに解説はあまり付けませんが。

どんたくさんの仰るようなシーン、映画の中でなら観たことがあります。
「男はつらいよ」で、寅さんがパリに行くことになるストーリーだったと思いますが、寅さんが飛行機で出発した後、妹のさくらが心配してテレビのニュースを視ていると、アナウンサーが「今日はこれといって大きな事件もなく・・・」というような語り出しから始めるのでホッとする、といったシーンでした。まあ、大事件がなくても、こんな語り出しでニュース番組が始まることは有り得ないのですが(笑)

野次馬的に知りたがる視聴者の責任も大きいのですが、マスコミもいい加減「意識改革」して欲しいものですね。キャスターも、誰か1人くらい、「こういう原稿が手元にありますが、私の信念として、こんな内容をお伝えすることはできませんので、次のニュースに移らせて頂きます」、くらい言う人がいてもいいのに、と私もしょっちゅう思ってますよ。

コメント、有り難うございました。
Posted by poohpapa at 2004年06月13日 15:37
どんたく様こんにちは。
ロマンチックなお話、思わず唸ってしまいます。
テレビの生放送で音声トラブル以外で1分間(30秒かな?)無言を
続けたら「始末書」らしいですね、どんたく様の理想は
マスメディアの「ハルマゲドン」ですって
アナウンサーや新聞勧誘員が大量に失業する(爆)
歌がとても下手だった先輩の必殺技を思い出しました

先輩F「では【カモメの水兵さん】をうたいます」

カ??モ??メ??の水兵さん

白い??ん??だ♪
Posted by 街のクマ at 2004年06月13日 15:44
poohpapaさん、またしてもこんにちはです。
視聴者の野次馬根性が先か、マスコミの解説過剰が先かは難しいと思いますね。
よく言われる援助交際買うほうが先か売るほうが先かと
いうのと同様かと。
>「こういう原稿が手元にありますが、私の信念として、こんな内容をお伝えすることはできませんので、次のニュースに移らせて頂きます」
というのとはちょっと違いますが、日テレの朝の5:40位に辛坊治郎氏が割りと好きなこと言ってます。似たような言葉を言ったことありますよ。まあこれは3面記事のコーナーですが。

解説がなくならないのは仕方ないですけど、だとすれば
良質な解説を最小限にならないものかと。
Posted by どんたく at 2004年06月13日 18:39
街のクマさん、こんにちは。
でもそんな新聞が入るなら、それでも購読料払ってもいいですよ。手抜きでなければ(笑)
無言でも別にいいのにと思います。そんなのはマスコミの勝手なのにと思います。
Posted by どんたく at 2004年06月13日 18:43
どんたくさん、再び、こんばんは

そうですね、制作する側と、視る側の、立場の違いがありますモンね。

辛坊治郎氏のそういうシーンは私も視たことあります。彼は大好きです。けっこういいこと言いますね。日テレに呼ばれたのも分かります。どうせなら、日曜午前のニュース番組「THE・サンデー」の総合司会を任せればいいのに、と、以前から思ってました。

ニュースを正確に伝えることは大切ですが、情報過多は良くないですよね。

いつもコメント、本当に有り難うございます。
Posted by poohpapa at 2004年06月13日 19:44
どんたくです。
僕も辛坊氏は読売テレビでズームインのキャスターしてた頃から
好きでした。
日曜日は無理でしょう。せめて日曜くらいは家に返して上げなければ。
Posted by どんたく at 2004年06月13日 20:53
どんたくさん、再々、こんばんは

いえいえ、水曜休み、という手がありますですよ(^^♪

彼は非常に頭のいい人ですね。しかも「バランス感覚」に長けています。彼の朝の「コーナー」楽しみにしてますが、巨人が勝った翌日は日テレ、視ないんです(爆)

それでは、おやすみなさい。Zzz
Posted by poohpapa at 2004年06月13日 21:43
poohpapaさん、こんにちは。

テレビを見ていると、よく、私には知る権利がある、と声高に叫ぶ方々がいらっしゃいますね。
こういう人たちは、誰に対してどこまでを知る権利を持っているのかと、いつも疑問に思っています。

わたし実はテレビあんまり見ないんです。
文字や画像の情報ならば、自分で情報を取捨選択して自分の頭で考えることができますが、映像や音声からは情報がすべて無防備な状態で流れ込んでくるように思えます。

知る権利ってのを盾に視聴率稼いでスポンサーへ営業を掛ける、という営業スタイルを変えないことには、テレビ業界が変わることは永遠にないのでしょうか?
Posted by し?? at 2004年06月14日 11:04
し??さん、こんにちは

アメリカの映画か何かで、マスコミの人間が「我々には知る権利がある」と言ったら、刑事が「儲ける権利の間違いではないのか」と皮肉るシーンがあって、まさにその通りだと思ったことがあります。

「知る権利」と言えば、人を傷つけようが自殺に追い込もうが、何でも通るかの如き低俗な意識で報道に従事していて欲しくない、と考えるのは私だけでしょうか。

視聴率や発行部数に縛られるマスコミが変わることは到底期待できないのだから、私たち自身、街中に流れる情報を正しく選択し分析する能力というのが、これからは必要になってきますよね。

コメント、有り難うございます。
Posted by poohpapa at 2004年06月14日 14:54
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