2004年06月27日

「穴」の思い出 2

さて、エアコンの「穴」によるトラブルで、2週間で退去されてしまったアパートであるが、その後も新たなトラブルに見舞われることになった。

次のお客様がなかなか決まらずにいたら、家主から「不動産業者を替えたい」、と連絡があった。私はそういう場合、けっして引き留めたりはしない主義であるから、「かまいませんよ」と言って、地元の優良な会社を紹介してあげた。

その会社で、2組のお客さんから申し込みをもらったらしいが、一組は「職人だから」、もう一組は「ご主人が外人だから」ということで断ってしまったとか。そうなると業者も冷めてきて一所懸命に客付けなどしてくれなくなる。結局、5ヶ月も空いたままになった。

途中、家主が何度も当社を訪れて、「オタクでもいいお客さんがいたら紹介してくれないかなあ」と頼む。本音では「どのツラ下げて」だが、「分かりました」と答えておいた。

そうこうしているうち、近所の病院で賄いをしていらっしゃる方の息子さんが、結婚するとのことで来店した。やはり希望地域からは外れていたが、そのアパートを案内すると気に入ってくれた。予算が少しオーバーしていたので、たまたま案内の時に庭にいた家主と値引き交渉するとアッサリOKしてくれた。これで問題なく契約になる、と思っていた。

翌日の朝、新管理会社から抗議の電話が入る。「勝手に値引き交渉しないでくれ」、というのである。それで、「元々は当社の管理物件だったから家主さんは良く知っているし、あの家主さんが家にいる時に案内すれば、すぐに家から飛び出してくることはオタクだって知ってるハズ。うちが直に取引しようとしたのならオタクが怒るのは分かるけど、ちゃんとオタクの会社を通して申込書を入れているのだから、文句を言われる筋合は無い!」と反論すると、すぐ誤りを認めて謝罪してくれた。

それでやっと落ち着くかと思ったら、業者から再び電話。「家主が、今回3千円値下げしたから更新の時には5千円値上げする、と一筆入れてくれ、って言ってるけどどうしましょうか」とのこと。「もう勘弁してくれよ〜」である。私が「そんなことできる訳ないでしょう。だったらこの話は無かったことにしてくれる?」と言うと、向こうも嫌気がさしていたのだろう、「ああ、そうしましょう」とアッサリ白紙に。

その後、3ヶ月ほどして家主が再び店にやって来た。「またイイお客さんがいたら・・・」と言うので、接客中だったし、「外に出てくれる!二度とうちの敷居は跨がないでもらいたい!」と追い出した。

それほどのトラブルがあっても、私はこの家主が嫌いではない。むしろ、家主としては、いい方(ほう)なのだ。それに奥様も、とても優しい人である。

その後、7年間も音信不通になっていたが、3ヶ月前、奥様と2人でおみえになった。ドアを開けて、「入ってもいいかなあ」と言うので、「どうぞどうぞ」と迎え入れた。なんでも、この7年間、私にお詫びをしなければ、と、ずっと気になっていたとか。「できれば、またオタクで管理してもらえないかなあ・・・」との嬉しい言葉ではあったが、私からすればまだその時期ではないのでやんわり辞退した。

だいいち、私が紹介した今の管理会社に対して、「また当社で管理させてもらうことになりましたので・・・」などと言える話ではない。それでは同業者を利用したことになってしまう。

だが、空き部屋が出た時には気にかけてあげようと思う。このご主人が無理なことを言う心配はもう無いのだから。

posted by poohpapa at 06:00| Comment(8) | TrackBack(1) | 家主さん | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
はじめまして。

いつも楽しく見させてもらっています( ^∀^)

以前住んでいたマンションの大家さんが
丁度よく似てる感じで、勝手に部屋をチェックして
壁の汚れとか、床の傷とかをいちいち写真に撮って
請求してくるような人でした。

もちろん一切払わなかったですけどね♪
Posted by スキマ at 2004年06月27日 12:06
スキマさん、こんにちは、初めまして。

それは明らかな「プライバシーの侵害」なんですけどね(ーー;)

たまに、そういう内容の裁判が起きています。もちろん、家主が敗訴します。実際には、その部屋をすぐ出る覚悟でないと訴えまでは起こせませんよね。お部屋のチェックは出る時でいいのに、酷い家主ですね。部屋を選ぶ際に家主さんの人柄はほとんどノーチェックですが、とても重要なものですよ。

いつもお読み頂きまして有難うございます。
Posted by poohpapa at 2004年06月27日 12:35
poohpapa様こんにちは
設計図で監督に梁の底から10cm上なら
「絶対主筋は切断しない」と言われて、
いざ施工するとまぎれもない「ヤバイ鉄筋が!」って
何度も経験あります。

また、もう随分前ですが琵琶湖の湖岸に建てかけて
施主がこけて雨晒しになっていた通称「お化けビル」の
「取り壊し」を、アメリカ式に爆薬処理を試みた時など
日本中のダイヤモンド・コア業者が、よってたかって
「主筋」切りしたのに「誰が見ても失敗」という結果になり、
「日本の建物は強いのな??」と同業の私は感心したものです
金まで出して「パンケーキ・クラッシュ」を期待して見ていた
ギャラリーの前で、爆破されたお化けビルは原型を留めたまま
横倒しになったのを、ニュースでもテレビ中継したので
見られた方も多かったと思いますが、、、
昨日に続いて、話を逸らしたままで失礼しました。
一級建築士の知り合いがいるのですが、
鉄筋なしでも強度は「理論的には」大丈夫といっていたのを
その時思い出しまして・・・・
ま、どんな大地震が来ても高速道路は倒れないという神話も
阪神大震災で崩れたし、
人間の仕事に「絶対」は有り得ないけれど、

有ると思うな【不老不死】
無いと思うな【長寿健康】

と人間として謙虚に生きていきたいと思います。

「さめがめ」に振り回されてます。
一昨日はジャスト200位になり、
昨夜は190位でした。
「目指せ200位」は着々と実績を積み重ねてますが
今、「3000点超え」にトライして、自分の頭の悪さを
呪っています。風茶房kuu様に挨拶しに行きたいのですが、
恥ずかしくて、行けません。
Posted by 街のクマ at 2004年06月27日 14:28
街のクマさん、こんにちは

私が、「あとは家主さんと電器屋さんに相談して・・・」、というのは、何かあって責任を取らされることがないように、ま、逃げを打っているワケでして。最近はエアコンを付ける業者が、レントゲンよろしく「どこにどう梁が入っているか」分かるような装置もあるとか。便利になったものです。それでも、失敗はあるそうですが(笑)

カネを取って「ビル爆破」を見せる、というのはアイデアとしてはいいですね。
私も、ゲームソフトを作る勉強をしている次男に「ビル解体爆破ゲーム」を開発してみるよう勧めたことがあります。隣接した隣のビルには被害を与えず、計算どおりに一瞬で破壊するスリルは、ゲームにうって付けだと思いますが、子供からは却下されました。

さて、いよいよ4日後には「第2回さめがめ杯」が始まりますね。
何だか滅茶苦茶ハイレベルで、どんな展開になるのか全く予想がつきません。助走の段階でもう、200位でも1700点オーバーですよ、「皆んなマジかよ!」って思っちゃいます(爆)

1ヶ月ありますから、土壇場まで諦めないで頑張ってくださいね。

以上、ハナからギブアップを決め込んでる「悪徳」からのエールでした!
Posted by poohpapa at 2004年06月27日 15:10
poohpapaさんこんばんは。
その大家さん、やなやつですが、ちょっと憎めないですね。
これで、奥さんもやな奴だったら目も当てられませんが。

息子さんはゲームソフト作る勉強しているんですか。
いいですねえ??僕は何度もゲームソフト開発は挫折しました。
結局今の商売に落ち着いてますけど。
Posted by どんたく at 2004年06月27日 21:38
どんたくさん、こんばんは

実は、過去ログの「米騒動」の件で、今でも心から感謝してくださってるのがそのご夫婦なんですよ。根は良い人なんです。
でも人間、「あの人は、根はいい人なんだけど」、と言われるようになったらお終い」らしいですね^_^;

うちの次男、ゲーム作り、挫折してますよー。専門学校2回も出てて、そのまま新聞配達続けてますモン。配達生活6年半になります。困ったモンだ(*^^)v
最近やっと定職に付きそうではありますが。

いつもコメント、有難うございます。
Posted by poohpapa at 2004年06月27日 22:01
すごいじゃないですか、ちゃんと更生させてあげるなんて。
いままでの捨て台詞と共にいなくなっちゃうパターンと違いますね。
常識(言葉)が通じる人相手には会話で意思疎通が可能ということですか。

昔の中国人の思想家で孟子(孟軻)は「できなのは人(自分)がやらないからだ。」というようなことを言ってますが、逆ギレする人は「できないのは他人(お前)がやらないからだ!」と思ってるんでしょうね。
まぁpoohpapaさんが頼られるのは人徳の現れでしょうが・・・
筋を通さずに我を通す人が減らないのは困ったものです。
Posted by ハリケーン at 2004年06月29日 09:04
ハリケーンさん、こんにちは

そんなに大そうなことではないのです。元々が、根の悪い人ではなかったので。私より奥様の努力だと思いますね。最近もお客様を一人ご案内したら、涙ぐむほどに喜んでくださって、こちらまでジーンと来ました。ひとつには、お年を召してきて、心細くなってきたのだと思います。

ご主人ももいろんな失敗を重ねてご苦労なさったんだと思います。業者を替えてみて初めて、うちのやり方が納得できたようです。ちと遅いのですが(爆)

コメント、有難うございます。
Posted by poohpapa at 2004年06月29日 13:51
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夏の思い出
Excerpt: 前に住んでたアパートの借り手がみつかったらしい。 らしい、というだけで本当の所は
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Tracked: 2004-07-30 16:57