2004年10月31日

東京ルール

敷金精算に関する東京都のガイドライン、いわゆる「東京ルール」が10月1日から施行されている。その内容は、と言えば・・・、

一言で言えば「圧倒的に入居者が有利なルール」で、私にはとても承服できるものではない。今まで貸主側が阿漕なことをやってきた反動や報い、と言えなくもないが内容は酷すぎる。言葉は悪いが、「常識のない入居者」を不合理に保護して増長させるだけのものだ。しかも一方で特約条項を付けることは認めているから、「ザル法」でもある。

最近も、自分で畳に焼け焦げを付け、襖4枚に穴を開けた8ヶ月間の入居者が退出する時に、「10月1日から敷金は全部返してもらえるようになったそうですね」、と言ってきた。身勝手な解釈もいいところであって、こういうのを助長してしまう条例である。

おまけに、礼金や更新料を「0」にする動きも出てきている。そのこと自体は悪いことではない。だが、それを実施するためにはクリアしなければいけない問題も出てくる。

家主は、礼金や更新料が入ってこないなら、現状の賃料で貸し続けることは不可能である。賃貸の仲介や管理を生業にしている不動産業者にしたって、そのことは死活問題に繋がる。役人はそんなことまで気遣ってはくれない。

そうなると、どう対応することになるか、と言えば、新規で入居者募集を行う部屋から順次賃料を値上げすることになる。当然、賃料格差、という新たな問題も生ずる。
礼金や更新料といった一時的な出費は抑えられるから入居はしやすくなるが、月々の負担は重くなる。それは致し方ないことだと思う。

私は5年前の時点で、所属している不動産業の協会に、「早めに本来あるべき管理業の形態に戻してシステムを築かなければ不動産管理業は成り立たなくなる。家主を教育し直すのには時間が掛るから早く手を打つ必要がある」、と意見していたが、協会の役員は「そういうお話は下(地域支部の会合)から順次上にあげて頂いて」、と取り合わなかった。今になって、不動産政治連盟を通じて政治資金を援助している政治家に働きかけているが、遅きに失するし、筋違いの働きかけであろう。

どんな組織も、「上に立つ者が現場を知らない」ということは、不幸なことである。
この記事へのコメント
poohpapa様

おはようございます。10月??入居の方が対象なので、それより前に入居した方は関係ないのですけどね(^^;

しかし、統一したルールを作って欲しいですね。結局、民法の「契約自由」の大原則に触れるので、お代官はこう考える。後は下々でよろしくやれ!と言っているだけです。

また、マスコミ的にも「敷金」が全額返るといった方が、アオリ的に面白いので、そういった特集が多くでるかもしれませんね。島田伸介のスレにもからみますが、世論的に面白い方に持っていきますので。例えば、イラク戦争反対の番組で、賛成の方の意見は流さないで、あたかも国民全員反対と言っているようなイメージに持っていくようなものです。戦争が反対なのは、当たり前。でもそこに行くに到ってしまった、過程が問題なのですが。

お部屋の場合は、あくまで、自然損耗など除いた範囲の現状回復なのであって、汚してる方と綺麗にお使いの方が負担割合は同じわけはないのに。身勝手な方は、次に入居する方に間接的にご迷惑を掛けるのに(オーナーさんも人間なので、次に入る方も同じかと見てしまいます。滞納があった場合など、貸すことが怖くなりますよ。本当に)

なかなか不動産屋や家主は、悪徳に儲けているというイメージが強いのでしょうか(^^; 大概はまじめにやってますけどね。長文失礼致しました。トラバさせて頂きました。
Posted by みのっち at 2004年10月31日 11:28
みのっちさん、こんにちは

理不尽なルールだと思いますね。今日も家主さんから何本か相談の電話が入ってます。

事前の説明や広報が不充分なので多方面から誤解を受けているようですし、マスコミも正確に理解はしていないと思います。理解していたとしても、こういう場合「正義は常にマスコミに有って我々は消費者の味方」のスタンスですし、責任も取らずに垂れ流しです。

一度消費者に間違って理解されてしまうと、修正は並大抵のことではありませんよね。

コメントとトラックバック有り難うございます。
Posted by poohpapa at 2004年10月31日 12:32
poohpapa様、こんばんは。
わが県でも宅建協会で東京ルールと原状回復ガイドラインについて研修がありましたが、研修で講師をされた弁護士先生も、「特約」は有効との見解を示してました。ところが具体的には、個々のケースで判断して下さい、という感じでしたし、もっと解り易くて公平なルールがあったらいいいのに、と思います。

平成16年2月発行のガイドライン(改訂版)に掲載の、判例約20件の中には、特約を否認した事例も有効とした事例もありますが、それぞれの事例をよく読んでみると、否認された事例では、確かに借主側が充分理解できるような内容の特約ではないと思いました。

マスコミの報道等により、原状回復に関する全ての特約が、借主側に不利なものとして無効となるかのように認識されたら、いくら契約の際に内容を説明して、理解してもらったつもりでも、トラブルが絶えないのでは?と心配になります。
そういう私が、とある記事により特約が全て無効になるものと思い込み、頭を悩ませた事がありましたもので。(^_^;)
間違った認識を正しく理解してもらうには、非常に労力がいりますよね。

話は変わりますが、その宅建協会の研修で講師をされた方、みのさんの法律番組に出てる弁護士さんでした。
私としては、みのさんの番組よりも伸介さんの番組の方が好きで、日曜の夜は「行列」を毎週楽しみにしてましたし、伸介事件の行方は注目しています。
私も体育会系の出なので、どうしても女性の方に問題があったのでは?と印象を持ってしまいます。

それから・・・1週間長いですね。風邪の方はその後いかがですか?どうぞお大事にして下さいね。
長文失礼しました。
Posted by yuki at 2004年11月01日 19:48
yukiさん、こんばんは

この問題は、弁護士によって言ってることがマチマチなんですね。見解が統一されていません。従って、無難な考えとしては、係争になった時に裁判所から「妥当なもの」と判断されるような特約に留めておくことがポイントですね。少しでも家主に有利な方向に振っていると、それだけで特約の全てを無効とされる危険性があります。

もうひとつは、消費者が自分に都合よく解釈して覚えてしまう可能性があるので、契約時にしっかり念を押しておく必要もあります。雛形もありますが、契約書とは別に分かりやすい書式を独自に作成して添付するのが良いですね。

ところで、紳助の一件、言えるのは、「こんな女とは友達になりたくないな」、てことでしょうか。もちろん、ただの同僚でも嫌ですね。社内ではどんな人物評だったんだろう、と気になっています。

ここんとこパソコンに向かっている時間が長いせいか、一昨日あたりから左目の視力が急激に落ちています。幸い、「利き目」は右なので不自由はしませんが、免許の更新で引っ掛かるかも、と心配になっちゃいました。yukiさんも気を付けてくださいね。1時間パソコンに向かったら5分は遠くを見る、って、コラムとは全然関係ないですけど^_^;

コメント、有り難うございます。
Posted by poohpapa at 2004年11月01日 20:54
poohpapaさん、再びおはようございます。
今日の記事が楽しみで早起きしてしまいました。

話は変わって、
この記事を読んで、私達の業種でもそうだったなと思いました。私の町でも業者がわきまえた行動をしなかったばかりに、去年から入札の方式がくじを使ったものに変わったものですから。
Posted by ま2 at 2004年11月02日 05:28
ま2さん、再びおはようございます

本当に一部の不心得者がいるだけで、業界全体が迷惑を被ることってよく有りますよね。
私がいつも言ってる「自分が業界を代表している」という認識や責任感が欠如してしまっていて、「自分さえ儲かれば」になるからいけないのです(怒)

まあ、そうは言っても、入札に関しては日本中で古来から不正が行われていて、結局、自分で自分の首を絞めてしまった訳ですね^_^;
Posted by poohpapa at 2004年11月02日 06:39
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Excerpt: ハワイのキラウェア火山です。いや別に、私が行ったわけではないです・・・。何か遊んでばっかりいるみたいじゃないですか。そんなに儲からないって、本当に。賃貸業界は...
Weblog: みのっちの『俺に言わせろ賃貸不動産!』
Tracked: 2004-10-31 11:13