2004年12月04日

不眠症でお悩みなら

図書館から借りてきたクラシックのCDを聴きながら、不覚にも熟睡してしまった。

同じ曲を、別の演奏者の録音で聴き比べようと思っていたが、どちらも始まって3分くらいのところで寝てしまっている。曲の特性上、曲の終わりでは嫌でも目が覚めるのだが、1枚目のその曲を聴き終えて(?)2枚目を聴き始めて、やはり3分くらいのところで眠りに入ってしまったのだから、絶大な睡眠誘導効果といえるだろう。

曲目は、ラヴェル(1875??1937)の「ボレロ」である。
この曲を、中学の音楽の授業で初めて聴いた時には、この曲の良さが解からずに、「なんでこんなヘンテコな曲を教科書で採用しているのだろう」、と疑問に思っていて、本当の良さが解かったのはず??っと後になってからである。

この曲に関しては面白いエピソードを聞いたことがある。今から70年も前の話だが、当時、世界最高の指揮者と自他共に認めるトスカニーニが、やはり世界最高のオーケストラと評判だったNBC交響楽団を指揮して「ボレロ」を演奏して、満場の拍手に送られ意気揚々と控え室に戻ってくると、そこに貧相な雰囲気の爺さんが待っていた。

爺さんはトスカニーニを見ると、こう言い残して出て行った。
「お前さんのは『ボレロ』じゃないよ!」、と。

「自分こそが世界最高の指揮者であり、自分が振った曲こそが最高の芸術」、と自負していたトスカニーニが激怒したのは言うまでもないことであった。周りにいたスタッフに、「誰だ、あのジジイは!」、と叫ぶと、スタッフは消え入るような声で答えた。

「・・・・・ラヴェル氏、です」

トスカニーニが顔面蒼白となったのは言うを待たない。満場の喝采も、作曲者本人の「ダメだし」一発で吹っ飛んでしまう(笑)

現代のようにテレビもなく、写真や雑誌もあまり流通してなかった時代の話である。トスカニーニがラヴェルの顔を知らなかったとしても不思議はないが、かつて日本の国会でも似たようなことが起きていた。国会に参考人として呼ばれて意見を述べた人物にお偉い先生が噛み付いた。「アンタのような素人に何が判る!」、と。傍にいた同僚議員が慌てて、「あの方は東京地検特捜部の検事さんですよ」、と言うと震え上がったとか。

ところで、実は私は教科書に出てくるクラシックの作曲家なんて皆んな「とうの昔に亡くなっているもの」、と思い込んでいたが、割合最近まで存命だった人もいる。「剣の舞」のハチャトゥーリアンは1978年没だし、ショスタコービィチも1975年没である。私が小学校の音楽の授業でこの曲を聴いていた時には、ハチャトゥーリアンは今の私といくらも違わない年齢だった。ひょっとしたら、音楽の先生も私同様知らなかったかも、と思う。

で、この「ボレロ」であるが、16小節の主旋律を変調もなく延々と盛り上げていく手法で作られているので、聴くほうにとっては単調この上なく、眠くなるのは当然であろう。私がこの曲を好きになったのは、「単調であるが故にオケの実力があからさまに判ってしまうので、どの楽団員からしても最も演奏したくない難曲である」、と聞いてからである。

「ボレロ」なら精神安定剤を飲むのと違って副作用もない。途中で眠れるからクライマックスまで聴くこともない。タイマーを10分くらいで切れるようにセットしておけば良い。

後は曲に合わせてこう唱えることだ。





「羊が一匹、羊が二匹・・・・・」
posted by poohpapa at 06:00| Comment(11) | TrackBack(0) | 健康、ダイエット | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
ボレロ・・・しばらく聴いてないけどCosも好きです。

でも・・・・眠くならない・・・どうしてだろう?
なんか、聞いているとわくわくしてきませんか?

Cosの場合には
「羊が一匹ジャンプ、
羊が二匹ダンス、
羊が三匹センス・・・・
になりそうだ・・・

(近所の公立図書館ではCDレンタルがない・・・いいなぁ)
Posted by Cos at 2004年12月04日 08:12
Cosさん、再びおはようございます

今となっては確認のしようが有りませんが、トスカニーニがどんな演奏をしていて、ラヴェルが何を以って「ボレロじゃない」、と言ったのか、私は非常に興味があります。どこかに文献が無いかな、と探しているのですが・・・。

借りてきた2枚は、カラヤンとバーンスティンだったのですが、まるで違うのですよ。他のも聴いてみたくなりました。きっと、いろんなアプローチがあるのでしょう。 Cosさんが仰るように、わくわくします。

今度は寝ないようにしよ、っと(爆)
Posted by poohpapa at 2004年12月04日 08:47
poohpapaさん、おはようございます。

トスカニーニのくだりは、テンポ巻きすぎたのが逆鱗に触れたと聞いています。
ラヴェル自身はかの曲を、スペインのバレエ団の為に15分程度のゆったりとした舞曲として作曲したと聞いています。
トスカニーニの演奏を聴き、さすがにこれでは踊れないだろうと思ったのではないでしょうか?


ラヴェルの曲は、ほんとに難しいです。
ピアノで弾くのが好きで昔は良く弾きましたが、弾くたびに気が付く事が一杯あります。
レコード聴いても奏者によって雰囲気がまったく違いますしね。

寝れると言えばドビュッシーもお奨めですよ。
弾きながら思索にふけることもありした。
Posted by し?? at 2004年12月04日 10:46
poohpapa様、はじめまして。
らみと申します。

いつも楽しく読ませて頂いてます。
poohpapa様の痛快で思い切りのよい切り口に感心したり、自省したり、爆笑したりとさまざまです。

さて、ボレロなんですが。
数少なく持っているクラシックCDの中にこの一枚があります。
(残念ながら今は実家にあるのでどこの楽団かは不明です)
実はこのボレロ、不純な動機ながらある映画のBGMに使われていたので、興味を持って購入しました。
そして聴きはじめたのですが。

結果はpoohpapaと全く一緒でした(笑)

演奏開始の部分は静かで、フルートの音色も美しく引き込まれるんですが。。。
最後まで聴いていた記憶が余りありません(笑)
後半は結構ボルテージも上がるはずなんですけどね。何故なんでしょう?
コラムを読んで懐かしくなったので、今度実家に戻ったときにでも探してみます。

poohpapa様、これからも楽しく、ちょっときわどいお話を期待しています。
それではお邪魔しました^^
Posted by らみ at 2004年12月04日 10:56
ごめんなさい!

poohpapaと→poohpapa様と

です。様ぬけちゃいました??!ごめんなさいです^^;
Posted by らみ at 2004年12月04日 10:59
し??さん、詳しい!(驚嘆ものです)

たしかに、どの演奏者の録音も15分+αくらいですもんね。テンポでアウトだった、のですか。この「ボレロ」という曲は下手な人が指揮すると、だんだんアップテンポになってしまうんですね。

テンポ、と言えば、ベートーヴェンの交響曲7番の第4楽章も、指揮者の音楽性や技量の差が分かる曲ですね。って、偉そうにすみません(汗)

それと、し??さん、ピアノをお弾きになるんですか?それも羨ましいです。芸大に行った高校時代の後輩がビアノを習っていて、「リストの曲は難しいけど勢いで弾けるようになる。モーツァルトはそういう訳にはいかない。どちらが難しいか、と言われれば圧倒的にモーツァルトだよ」、と言っていたのを思い出しました。これは、曲による、ということではないのだそうです。

ドビュッシーは確かに寝られますね(笑)
でも、曲が短いのが難点です。中学時代は、「奥さんと離婚して銀行家の娘と再婚した男なんて・・・」、と嫌っていましたが、私もバツイチですし、今は人のことは言えません(爆)

コメント、有り難うございました。
Posted by poohpapa at 2004年12月04日 11:59
らみさん、こんにちは

「様」なんか付いてなくても全然かまいませんよ(*^^)v

いつもお読み頂きまして有り難うございます。お楽しみ頂けてる様で嬉しいです。

ところで、らみさんがご覧になった映画は何だったのでしょう?
映画やテレビドラマのテーマやBGMとして結構使われていますよね。「愛と哀しみのボレロ」あたりでビンゴ!でしょうか(詮索好き;汗)

私は中学の音楽の教科書で「ボレロ」のページを開いた時に、怪しげな男女が踊っている(イラストみたいな)ナンとも悩ましい写真が載っていて、それで変なイメージが焼きついてしまいました。でも、「ボレロ」はきっとああいう踊りなんでしょうね。

で、際どいお話ねえ・・・、あるにはあるのですが公開し辛い話でもありますので、機会がありましたら、ということで(爆)

コメント、有り難うございます。今後ともどうぞよろしくお願いします。
Posted by poohpapa at 2004年12月04日 12:53
みなさん、こんにちは。
みなさん程詳しくはありませんが、僕もクラシック音楽は好きでよく聴いていました。
ボレロもその一曲です。クラシック音楽は、同じ曲でも指揮者や楽団が違うとまた楽しめるのがいいですね。
それに僕の場合、ボレロでもドビュッシーの曲でも一応最後まで聴けます ^^;

僕とって印象に残っているボレロの演奏は、確かカラヤン指揮の一流楽団だったと思いますが、
トロンボニストがソロのところで大ミスをしてしまった演奏でした。どんなド素人が聴いてもはっきり分かるくらいのミスでした。
こんな理由で印象に残っているだなんて恥ずかしいですが。かつてはアマチュアトロンボーンをしていたもので…

では、またお邪魔に来ます。
Posted by NightBirds at 2004年12月04日 18:34
NightBirdsさん、こんばんは

きっとそれはライブですね、カラヤンがそんなミスのまま商品にする訳ないですから。ベルリン・フィルの奏者なら、たぶんその奏者、クビになってますよ。

それにしても、珍しいことですね。貴重なものをご覧になったと思います。

クラシックは、同じ曲をいろんな指揮者や奏者で楽しむことが出来ますが、ダメなものは、たいていは始めの1分くらい聴いたところで聴くの止めてしまうので、別の演奏を楽しむ、というところまで行かなかったりします。カラヤンなら全部「当たり」、ということもありませんし、無名の指揮者じゃダメ、ということもないし、最終的には自分の好みでしょうか。

どうぞまた遊びにお寄りください。コメント、有り難うございます。
Posted by poohpapa at 2004年12月04日 19:43
またお邪魔します。
そうですね、その演奏はライブでした。演奏終了後、そのトロンボニストのミスのせいかどうかは知りませんが、異様なほど拍手喝采だったのを覚えてますから。ぜひ演奏だけでなく、映像も見てみたかったです。
僕が聴いたのは 18年程前で、媒体はカセットテープでした。なので演奏はさらにそれより前ですよね。
楽団は……ちょっと忘れてしまいましたが、確かベルリンフィルではなかったかなぁと…。記憶違いの可能性大です。すみません。

余談ですが…
この曲、いろんなパートのソロが展開されますが、トロンボーンだけがどちらかと言うと他のパートのソロよりも高めの音 (ト音記号・第3線のBb) から始まるソロだと思います (トロンボーンの音域として少し高め) 。プロなら三流でも (上手なアマでも) 苦も無く出せる音のハズですが、一流でもこんなミスってするもんなんだなって当時そう思いました。
プロでもあの甘い音色でいきなり出だしの音がそういう音だと緊張するんでしょうね。分かりませんけど。体調が悪かったのかな?
かつての N響・主席トロンボーン奏者・伊藤清さんのソロの時の緊張した (ひきつった?) 顔つきが今でも脳裏に焼きついています。

長文失礼しましたm(_ _)m
Posted by NightBirds at 2004年12月04日 21:59
NightBirdsさん、おはようございます

カラヤンは、ベルリンフィルの音楽監督に就任して以降、ベルリン・フィル以外を指揮することはあまりありませんので、たぶんベルリンフィルか、もしくはそれ以前の録音で他の楽団を指揮していたものかも知れませんね。いずれにしても珍しいものですね。

「ボレロ」に関して言えば、私は「下手な演奏」に出会ったことは一度もありません。どの楽団のソリストたちも自分の個性を活かしながら持てる技術を存分に発揮しているようです。

演奏の上手い下手は、やはり指揮者の音楽性(譜面をどう解釈するか)に掛かってくるもので、曲のジャンルの得手不得手があるとしても、音楽性に乏しい指揮者が振った曲は何を聴いてもダメですね、岩城宏之のように。そこにいくと、カラヤンは大衆の好みを実に良く捉えていたと思います。

コメント、有り難うございます。
Posted by poohpapa at 2004年12月05日 06:52
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