2005年01月14日

仲介手数料、正直な話 2

仲介料は本来貸主借主が半分ずつ支払うもの、と昨日書きましたが、このテーマの結論(次コラム)に行く前に、仲介手数料を別の角度から検証してみます。

最近はどの物件の業者広告を見ても、「手数料配分、客付100%」、と謳ってあって、これは、「お客さんを案内して申し込みを入れた業者に、手数料1ヶ月分を全部あげますよ」、ということを意味しています。ところが、そうなると、客付業者は喜びますが、元付業者、つまり広告を出して入居者の募集をした管理業者には一銭も入らないことになって、広告を出した費用とか通信費、人件費などが赤字になってしまいます。

そこで元付業者は家主が受け取った礼金の中から0.5ヶ月、もしくは1ヶ月分を広告代の名目で家主からバックしてもらうことになります。実質的にはこれは元付業者の仲介手数料なのですが、その名目で受け取ると、手数料の上限を定めた業法に違反したことになりますので、広告料などの名目で受け取ります。実際に、空室があると、当社の場合では決まるまでほぼ毎月広告を打ち続けるので、半年も空いていたら例え決まっても利益が出ないか赤字になります。それでも管理を続けるのは、管理を続けていれば一定の更新料収入なども見込めるからです。

家主や業者はそれで良いとして、借主の立場に立つとどうでしょう、それでは納得がいきませんよね。実質的に広告代まで払わされていることになる、と考えられますから。

私の話をここで止めてしまったら、明日以降、日本中の不動産屋でトラブルが起きることになりますので、もう少し説明を続けます(*^^)v
で、ここからが重要です。理解して頂けるかどうか不明ですし、賭けでもありますが。

もし、ここまで読んで、「冗談じゃない、じゃあ余計なカネまで出さされてたってことかよ!だったらこれからはもう払わないよ!」、と考えるなら、それは浅慮の極みです。

アパート経営にもお金が掛かります。アパートを建てて維持管理をするために、年間にどれだけの費用が必要なのかは経験上容易に計算することができます。当然、それらは家賃収入だけで賄われるべきものです。家主が会社勤めをしているからといって、ボーナスで不足分を補填するような話ではありません。広告代を家主が負担するとするなら、当然に家賃もその分を見越して値上げすることになります。全体で必要な額は概ね分かっているのですから、あとは適正に収支の調整をするだけの話です。

「そんなのは家主が負担すべきもの」、と言えば全くその通りですが、家主が身銭を切ってすべきものでもありません。当然に全体の経費に含まれるものです。

さて、手数料は元付客付0.5ヶ月ずつと法律で決まっているなら、不動産業者は厳格に法に従って経営するのが当たり前です。ところがそうすると、不動産業者はバタバタと倒産していくか、口実を作って根拠の無いカネを借主から取るようになります。今、「当社は手数料0.5ヶ月のみ」と言っている業者のほとんどは、一件の契約で、名目を付けて200??300%の手数料を手にしていた会社です。今はそこから0.5ヶ月分利益が減っただけです。うちの家主さんにも、「礼金は不動産屋への謝礼で、更新料は全部が不動産屋の手数料」だと思わされていて、挙句に広告代まで払わされていた人がいます。当時、礼金は2ヶ月が相場でしたから、その大手業者は一件契約すると400%もの手数料を得ることになります。上限100%のハズなのに、です。
それが今になって、「当社は手数料は0.5ヶ月・・・」、ふざけるな!、です。

本来、業者が手数料を100%独り占め出来るのは、自社の管理物件に直接お客さんを付けられた時だけです。ですが、10年前に比べて貸室件数は何と倍にもなっていて、どの業者も自己の管理物件に早く客付けすることに汲々としていて、手数料折半の物件など案内してくれるハズもありません。折半でも100%でも手間は同じですから。

手数料だけではありません、最近はなんと、「担当者ボーナス1ヶ月進呈」とか、「当初2ヶ月間家賃不要」などという物件まで現れる始末で、もはや「何でもアリ」の様相を呈しています。ここまでくると、ビジネスとはとても言えない歪んだ状況です。

違法性があっても、客付手数料100%で広告を出して、自社は別の名目で貸主からバックしてもらわざるを得ない事情がここにあります。ですが、いつまでもそんなことばかりしているようでは業界の健全な発展は望めませんし、消費者の信頼も得られません。

では、貸主、借主、業者は、どうしたらよいのでしょうか、どうすべきなのでしょうか。
少なくとも、自分の立場での損得に執着していたなら何の解決も見られないでしょう。

今日のコラムの内容は、一見すると、業者と家主だけが知っていればいいこと、のように思えますが、けっしてそんなことはありません。

私なりの意見(提案)も有りますので、それはまた後日書かせて頂きます。
この記事へのコメント
poohpapaさま おはようございます!

Cyberです。
なるほど、そういう裏側があったんですね。
表向きの手数料だけじゃ立ち行かないだろうと思っていたんで、スッキリしました。
同時に目先の金に釣られず注意しなければいけないなと感じましたが、400%ですか(呆)

私もそろそろ賃貸を探さなくてはいけない時期なのですが、そんな業者に当たらぬよう、部屋より先に業者を心して探してみます。
勉強になりました。有難うございました。
Posted by Cyber at 2005年01月14日 08:30
Cyberさん、こんにちは

大手業者の全部がそう、ということはありませんが、基本的に賃貸だけやっている大手はそういうところが多いですね。中にはピタットハウスさんみたいに良心的な業者さんもありますけど、A、Tハウジング、m、Hなんかは同業者からしても要注意、と思えます。

良い部屋探しが出来ますよう祈ってます(*^^)v
Posted by poohpapa at 2005年01月14日 14:50
大家サイドで読んでも、業者を選ばなくちゃ??という気持ちに
なりました。

世の中のサービス業は、国際競争にまきこまれ、システム化、
効率化した手順で中間コストがクリアになっているケースが多いのですが、
不動産業って、国際競争とは程遠いし、
どうしても人の手を介さなければいけない部分が残っている分、
こうした不透明な部分が残りがちなんでしょうね。。。
Posted by 三田 at 2005年01月14日 16:47
三田さん、こんばんは

ご自身も家主さんでいらっしゃるだけあって、本当に鋭い感性とご指摘だと思います。と申しますのも、三田さんのコメントは、私の明日の完結編コラムの内容とダブっておりますので(汗)

中途半端な状態で間をおくと、それだけ誤解を生むことになりますので、先ほど完結編を書き終えました。
明日、いつも通りアップいたしますので、是非ご覧頂けたらと存じます。

いつもコメント、有り難うございます。
Posted by poohpapa at 2005年01月14日 18:39
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