古くからのお客さんが部屋探しをしている知人を紹介してくれた。条件が厳しくてなかなか見つからず、お客さんもネットで探した物件の資料なんかを「こんなのどうでしょう?」と当社に持ってきていて、そのうちの一つが希望条件にほぼピッタリなので、私が元付け業者に問い合わせると「ありません」とのこと。
元々が「分譲賃貸」で人気のある物件らしい。ネットに出ていても既決であることはよくあるから、お客さんに「もう決まっちゃってますね」と伝えていたのだが、諦めきれないお客さんが直接問い合わせると「まだありますよ」と言っているとのこと。そのことには触れずに、数日後、再度元付け業者に問い合わせると「決まっちゃってますね、賃貸でお貸しできる部屋は今はありません」と言う。近隣の別の業者に他の物件で問い合わせた際に、「◎◎パレスって、そちら様で募集中の部屋はありませんでしょうか?」と訊いたのだが、やはり「あちらは今は空きは無いと思いますよ」との答え。
お客さんにそう話して別の物件を案内することにした。車で行くより電車で行ったほうが便利がよく、1時間ほど掛けて案内したら、けっこう安くて良い物件だったのだが結論は出さず、帰路、友だちのところに寄っていくから、と会社まで戻らないで途中駅で別れた。その友だちも部屋を探してくれているようで、「相談したいからしばらく待って欲しい」とのこと。もちろん、私はそれでかまわない。
夕方、お客さんがうちの店まで戻ってきた。うちに用があったワケでなく、店の前に自転車を置いてあったから、だったのだが、私が声を掛けると、さっきまでと表情が違う。何か「避けている」というか「信用されてない」というか、明らかに「なるだけ言葉を交わさないようにしている」ように感じた。さっき駅で別れた時の表情の続き、ではないのだ。長く営業をしているとそういう勘は鋭くなる。
私の思い過ごしではなく、後で理由が分かった。元付け業者が「無い」と言っていた物件は、実はまだあったのだ。お客さんは再々度業者に連絡して案内してもらい、直ぐ申し込みをしていたようだ。つまり、お客さんからすれば私は、「本当はあったのに(その物件だと手数料が入らないので)別の物件で決めさせようとした信用できない業者」ということになる。
紹介者と私は20年来の付き合いで、私のことはよくご存知なので「私がそんなことをする業者ではない」と十分に解かってくれているが、お客さんには理解されなくて当然であろう。紹介者は「かえって面倒を掛けてしまって申し訳なかったですねえ」と恐縮していたが、私は逆に「紹介者の顔を潰してしまっていないか」が気になっていた。ま、後でちゃんとフォローしてくれて誤解も解けるだろうから心配ないだろうけど。
それにしても、どうして元付け業者は私に「ある部屋」を「無い」と言ったんだろう・・・。「その物件は同業者さんの客付け不可になっていますので」と言えば良いではないか。そう説明するのが面倒とかケチ臭く思われたくないとかの理由があったとしても、こちらもお客さんに正確に伝えなければならないのだし。
もし客付け不可であったなら、私はお客さんに「うちで申し込みを入れることは出来ませんが、気に入ったなら当社を通さず直接申し込んでかまいません」と言うのだし、現にお客さんにもそう伝えてあったのだ。私は一人でやっているので社長や上司に気を遣う必要もないしノルマもない。同業者客付け不可で手数料が頂けない、と分かっている物件を案内することもある。その物件が良いものなら申し込むことを勧める。お客さんが喜んでくれればそれが信用に繋がる。その積み重ねこそが小さな店の財産でもあり命綱なのだ。利益というものは追い求めなくてもお客さんが喜んでくれれば後からついてくるものだし。
10人のお客さんが喜んでくれても不信感を持つお客さんが一人いたなら、いや、100人対一人で、それで差し引きゼロになる。相性とかもあるし、全部のお客さんに喜んで頂くことなどとても出来ないが・・・。
信頼関係が築けている紹介者が間に入っているので今回は大丈夫だろうけど、似たようなケースがあったら同業者が嘘をつくことも考慮に入れて商談を進めなければならないかも・・・、ああ、いやだいやだ
まったく私もそんなことが続いてます。
抗議?に対しての業者の対応も様々で
腹立たしく思うこともあります。
玉●上水近くの…●不動産もいつも問い合わせても
『決まりました』です。
そのあともずーと空いてるのに。
独り占めも結構ですが、いつまでも空いてる大家さんが気の毒です。
自社で管理している物件なら他の業者さんから申し込みが入ったとしても何ら問題ないと思いますし、仲介料を客付業者に全額支払うことになっても充分な利益は発生すると思うのです。先付け物件でないなら、どうして業者付け不可になるんでしょう。小さいプーさんが仰るように、少しでも早く決まるようにしないと家主さんが気の毒ですよね。
一方でAD付き物件(業界用語^_^;)なんかも増えていて、この業界、やってることがチグハグですね(怒)