映画監督の大島渚氏がお亡くなりになった。
世に言う「おしどり夫婦」は多いが、その実、食べていくために仲良し夫婦を装った「仮面夫婦」も多いもの。こと芸能界に、大島渚氏と小山明子さんほどのおしどり夫婦はなかったのでは、と私は思っている。
以前も触れたことがあるが・・・、
大島氏がまだ駆け出しの助監督時代に、既に人気女優だった小山明子さんと初めてデートをしてボートに乗った時のこと、大島氏がうっかりオールを流してしまい、当然に岸まで戻れないハメになったのだが・・・、
ここは男としてイイいい格好をしなければならないところ。大島氏はおもむろに着ている服を脱ぎ・・・、とはしなかった。「流れていったものは仕方ない」と悠然と流れていくオールを見つめていたとか。そこで怒らなかった小山明子さんも凄かったと思う。普通なら「何とかしなさいよ、責任とってちょうだい!」と騒ぐものだろう。何と言っても、その時点では人気女優と助監督である。奥様のほうが断然立場が上であったのだから。その様子を見て明子夫人は、むしろ逆に「この人についていこう」と思ったそうだ。
そのあたりは同じく芸能界きってのおしどり夫婦と言われた長門博之・南田洋子ご夫妻と似ている。付き合い始めた時には圧倒的に立場が上であったのに奥様の南田洋子さんは常に長門氏を立てていた。
大島氏が脳溢血で倒れてリハビリに励む際も献身的に尽くしていたし、もう二昔も前、お二人の結婚30周年記念パーティーの席で、酔っ払った野坂昭如氏がスピーチ後に突如として大島氏に殴りかかり、大島氏も殴り返して掴み合いになった時も奥様は笑いながら二人の中に入っていた。私は大島氏より奥様の小山明子さんを尊敬している。まさに今のご時勢には稀有な「女房の鑑」だと思う。
失礼ながら(比較するのが間違いだろうが)夫の大島氏は亡くなるまで「やんちゃ坊主」のガキだっただけ、それをずっと見守って支えたきた明子夫人のほうが遥かに大人で偉い。内助の功どころの話ではない。
ところで、最近の若い夫婦は簡単に別れる。苦労の先に待っている幸せを待ちきれないかのように。男女平等問題でも「今この問題で平等かどうか」しか考えない。「一つ一つが平等なら結果も全て平等」とは限らないのに目の前の事象しか見ない。人生なんて、そんな単純なものではない。理屈通りに進まないからこそ面白いもの。先日の記事「よくある勘違い、というか、心得違い」に対してヒロさんから頂いたコメントの中にあったように、多くの人が「長いスパンで物事を見て考える」ということができないでいる。
人生は商売と似ている。間違っても「経営」とは似ていない。経営には「損して得とれ」はないのだから。夫婦間も同じだ。かく言う私も離婚経験者であるが、夫婦は「阿吽の呼吸が通じなくなったらお仕舞い」なんだと思う。長い夫婦生活は奥様が耐えていてこそ成り立っていたことばかりだったろうが、直ぐに見返りを求めたりしないのが商売と通じるところ。もちろん、明子夫人は何も見返りなど求めてないだろうけど。
奥様はどんな苦労話も笑い話に変えてしまえる器量の持ち主だったようだ。ご夫婦でテレビに出演していても、ああいう夫に付き物の苦労話を明るく話していたし。結局そういう人が最後には幸せになれるもの。
私は亡くなられた大島渚氏より明子夫人に対して「お疲れさまでした」と声を掛けたい思いである。
実は、大島渚監督の映画、私は今まで一本も観たことがない。せめて「戦場のメリー・クリスマス」くらいは観たいと思う。
「戦場のメリー・クリスマス」はレンタルされていないんです。好きな映画で、セルビデオを買った記憶があります。内容は人によって評価が分かれますが、デヴィッド・ボウイ、坂本龍一、ビートたけしの存在感が素晴らしいです。ロックスターと教授、芸人を主役にし、不足する演技力を監督の力で作品として結実させる、大島渚のパワーに圧倒されました。今では、俳優であり監督でもあるビートたけしの新鮮な演技も見物です。
「藍の古里だ/藍の亡霊」を夢修正で見たいです(^_^)。海外のAmazonから買うと、税関で止められるんでしょうかね。
大島渚の名作が書き込めない!
うちは、全く 反対です。 いつも、やられっぱなし ですから。
m(。≧Д≦。)m
ご心配を頂き有り難うございます。腕はようやくペンが持てるようになりました(軟弱^_^;)
大島氏は独自の世界観、芸術観、人生観などをしっかり持っていて、美輪明宏氏と通じるものがありましたね。映画そのものは(私の興味が有るジャンルからは外れていましたので)観ていないので何とも言えないのですが、人としては大好きでした。
藍の古里だ・・・、私がある営業会社にいた時、セールスをする会場でずっと大音響で流れてまして、今でも時折り頭の中でエンドレスで流れることがあります。テーマ曲がトラウマになっております^_^;
小山明子さん、介護の最中に鬱になられたようですね。それでも懸命に夫に尽くしていた姿は今の若い女性に見習って欲しいものです。なんて書くと、「女はずっと男を支えて我慢しろと言うのですか!?」などとトンチンカンなコメントが入ったりしますが(*^^)v
そう、夫婦で性格が似ているのはマズイと思います。それだと長続きしませんね。ただ、性格は似てないほうがいいでしょうけど価値観は同じであることが望ましいと思います。
うちの夫婦、性格はほとんど正反対です。同じAo型なんですけどね。ですが基本的な考え方や価値観はほぼ同じです。多少違うことがあっても話し合いで掏り合わせることができるくらいに、ですね。
そういうのもね、長く夫婦生活を送っているとだんだんとズレていくこともあります。夫婦も自動車と同じで、時折り整備したり油を注したりする必要が有るんでしょうね。でないと、突然ガタンとエンコしたならもう動かなくなって、廃車するしかなくなります。
大島渚氏と明子夫人、旦那さんは整備などせず、奥様が常に上手く油を注していたんでしょうね(*^^)v