当社の広告に同業者から問い合わせの電話が入った。それ自体は日常的なことで、驚くようなことではないのだが・・・、私の価値観からすると信じられないような、というか、怖い話である。
私が掛かってきた電話を取ると、「◎◎アートと申します」と名乗る。
私が20年前に、今の場所で店を出した時の会社名で、6年前までの14年間、私も使っていた社名である。知らない人がたまたま「この会社名で開業しよう」としていたのではなく、私が所属していた会社なのだ。
正確に言えば、元々は家庭用エレベーターの工事会社で、当時の社長から、その不動産部門ということで出して頂いたのだが、今も、昔の会社名宛でDMが届いたり、何かの古い業者名簿を使っているのだろうが「◎◎アートさんでしょうか?」と営業電話が入ることがよくある。
それで、最初は「◎◎アートさんでしょうか?」と言われたのかと思い、聞き直したら「◎◎アートと申します」と言う・・・。一瞬、我が耳を疑った・・・。私からすれば「有り得ない」話だから。
理由を書く前に、私が独立した時の経緯の詳細を纏めておきたい。以前、このブログでも書いているが、
私が独立する数年前から、ある同業者さんで営業をしていたIさんという人から相談を持ちかけられていた。私より一つ年長で、笑顔が素敵で初めて会った人を優しく包み込んでくれるような雰囲気があって、誰でも直ぐにファンになってしまうような人である。その人から「最近、社長と意思の疎通ができなくなって・・・」と相談を受けていた。私は「ある出来事」から社長のことを「ヒドイ人物」だと思っていたので、相談の中で「社長は悪くないのよ、私が悪いんだと思う」と言われていたから、「そんなことはない。この人は社長を責めずに自分を責めている。これはきっと社長のほうに問題があるに違いない」と私は思い込んでいた。
しばらくして、(当時のうちの会社の)久我山支店の支店長(独立採算)が別の仕事に就くことになり店を閉めることになったので、彼女に「改札口から直ぐの場所にこんな店舗があるから、もしIさんが独立するならそのまま引き継げるようにうちの社長に相談してあげるよ。今まで不動産業をやってた店だから内装もそのままで什器備品もほとんど置いていってくれると思うから、初期費用も少なくて済むし」と勧めて店を見てもらうと一発で気に入り独立する運びになった。そこまでは良かったのだが・・・、
彼女は社長の長男とウマが合って、私を好ましく思っていない長男が私を追い出しに掛かった際には長男側に付いていた。長男が「立川店と久我山店を合併して一つの会社にして、社長はIさんにしてもらうことにしたから」と通告してきた。彼女は事前にその話を聞かされていたが、私には何も言ってこなかった。
社長も既に名目だけの存在で、実権は長男が握っていたので、私の知らないところで「私を外す話」は着々と進んでいたのである。社長に「Iさんは私が1年前に連れてきた人で、私は既に13年この会社にいます。私は社長になる気はありませんが、そういう話では納得いきません」と言うと、いちおう理解は示してくれたが、長男の決定を覆すことは無さそうであった。それで「ならば、Iさんと私が同時に独立するということでどうでしょう?」と言うと、「ま、それがいいだろうな」と賛成してくれた。のだが・・・、
長男から電話があって、「Iさんは今、一億円の土地売買の話が持ちあがっていて直ぐ辞められないから、あなたが先に辞めてください」と言う。と言うことは、「宅建免許を置いていけ」ということになる。
Iさんに「一緒に独立することでいいか」訊こうと思って電話すると、「やだ〜、私は免許ナンバーが(4)だから引き受けたんであって(1)ならやらなかったんだもん」と言う。それで、こう話した。
「宅建業の免許は会社に対して与えられるもので、私のものでもIさんのものでもないよ。だけど( )の中の数字(免許の更新回数を表すもの)は私が積み重ねてきたもので、もし、どちらに権利があるか、ということで言えば私にあると思うよ。それでも私は(1)からやり直す、と言っているのだから、お互いに(1)から始めるのが公平じゃないかな」、と。だがIさんはその提案を受け入れなかった。
(1)だと開業したばかりで5年経っていない業者ということになるし、(4)なら15年くらいは実績を積んでいることになるから、そりゃあ(4)のほうがいいものだろうけど、Iさんが固執するのは間違いだと思う。数字の上では1か4か、であるが、その差の3は、私が信用を重ねてきた結果なのだから。
その後、長男は私に解雇通告をして、お客さんから家賃が振り込まれて160万円入っている通帳もカードも社判も全部「社長命令」として取り上げた。その時、社長と長男と次男と、当時の税理士の4人で店に乗り込んできて、次男は至近距離から私の表情などをビデオ撮影していた。当時の税理士とは私も上手くいってなくて何度か衝突していたから、この時とばかりに喜んでくっ付いてきたんだろう。
何もかも取り上げられたから、私の店は即営業停止状態、機能停止に追い込まれたが、その後、労働審判を起こして全額を返却させた。当たり前のことである。会社の通帳に入っていても家賃として振り込まれたならそれは家主さんのおカネである。それを取り上げてまで私を困らせようという長男は狂っている。長男だけではない。社長も次男も税理士も、公正な判断ができていなかった。社長のことは今でも好きだし、尊敬している部分もあるし、何よりとてもお世話になったが、社長は「子供の育て方」は誤ったと思う。ハッキリ言って、二人の息子は性格異常であるから。とくに長男は私が接してきた人物の中で最悪である。
私のところからいっぺんに取り上げた160万だが、どうやら手を付けてしまったようで、返す時は「分割にしてくれ」と言われて笑ってしまった。全額が返金されたのは1年後であった。その間も私は家主さんへの家賃送金は個人的に立て替えて滞らせることはしなかった。当たり前のことである。家主さんには何の関係もないことなのだから。
いろんな方のご協力で何とか独立することを得て、今はお付き合いが無くなってしまっている方もいらっしゃるが、それでも感謝の気持ちは持っている。その間、Iさんは何も言って来なかった。一言も、である。
今、Iさんの店は私の店より遥かに順調にいっているようだ。元々が私なんかより営業力もあって柔軟性にも富んでいる。上手くいっていて当たり前だと思うのだが、私が言うのもナンだが、Iさんにとって私は恩人だったのではなかろうか、と思う。Iさんは、その件に関しては「(4)が欲しい」ということ以外は何も言ってなくて関与してもいないのかも知れないが、黙っている、ということは長男に組していることになる。
「イジメ」や「痴漢」と同じで、見て見ぬフリをしているなら同罪だと思う。ましてや、自分に都合よく事が運んでいたのだから尚更のことだ。たとえ口止めされていても、私には事前に相談してくれれば良かったと思う。それが無かったのだから、本音はミエミエである。
ちなみに、Iさんの勤めていた会社の社長にはその後ちゃんとお侘びをし、お赦しも頂いて、以前にも増して懇意にさせて頂いている。私から「あらぬ誤解」を受けていたり、「やり手の営業を引きぬかれた」ことも、すべて笑って水に流してくださった。私が同業者で唯一「足を向けて寝られない」社長である😵
さて、纏め、と言いながら長くなったが💧、
いくら6年(実質的には7年半)経っているからと言って、何事も無かったかのように当社の物件に問い合わせてくる神経というものが私にはまるで解からない。電話をしてきたのは従業員の若い女性だが、Iさんは側にいたのでは、と私は思っている。たぶん、そんなことは全く気にしないでいられる性格なんだろう。良く解釈すれば「お客様第一」ということで「分けて考えられる」人なのかも知れないが。
物件の家主は私ではないから私の私怨で拒絶することなく資料請求に応じたが、下手すると「うちにFAXするくらいだから相当に困ってるのかも」なんて笑われていたりして(*^^)v
もちろん、仮に申し込みが入って、内容に問題が無ければ私は受けると思う。それはそれ、これはこれ、なんだから。ただ、相当に気分が悪いのも事実である。私はそんなに器が大きくはないから💦
私はこの歳まで生きてきて、そりゃあ「汚いこと」もやったし、「正しいこと」だけして生きてきたワケでもない。だが、人を踏み台にしたことだけは一度も無い。Iさんからは今までに何のお礼も謝罪も受けていない。たぶん、Iさんからすれば利用できるものを利用しただけのことで、何とも思っていないのだろう。
女は怖い、と思う。つくづく思う。
案外、相手は忘れちゃったりしてたりしてね
いえいえ、忘れることはないと思いますよ。自分は直接関与してないまでも裁判にまでなってますから。忘れたのでなく、意に介していない、ということだと思いますね。「だから怖い」のですが。
電話をしてきた営業さん、新人ぽい若い女性でしたが、何も知らなければ声のトーンが普通に明るくなるハズで、どうも側にIさんがいる雰囲気でした。「嫌だなあ・・・」と思いながら電話してきたんでしょう(*^^)v