2013年10月02日

トップセールスマンと一流営業マンの違い

先日、ある機会を得て不動産業界で成功を収めている二人の経営者にお会いした。

名刺交換をしているので、ご多忙であったとしても当然にこのブログに辿り着いてご本人も読まれているかも知れないが、気になったこと、考えさせられたことを書いておきたい。

一人は、ちゃんとプロセスを踏んで事業を大きくしていった感じで、なるほど、と納得いくお人柄。問題は、もう一人の社長である。

お話を伺うと、現在まだ26歳。会社を6つ経営していて、そのうちの一つが不動産業。年商6億で、不動産会社で営業マンをしていた21歳の時の年収は8千万・・・。

歩合の率がいいフルコミッションであったとして、会社によって差があるとしても、自身が経営者でない営業マンが手にするのは売り上げの20%くらいが一般的な相場。不動産売買の仲介手数料は概ね3%、逆算して年収8千万を得るには4億の手数料が必要で、その為には売買価格が133億以上でなければならないだろう。ご本人が書いている「150億を売り上げた」という数字とはいちおう合っている計算になるが、バブル期でなく、今から5年前で年収8千万・・・。

私も、社会人生活の大半はフルコミッションでやってきて、ある会社で、その年の新入社員約千人の中で売り上げトップで表彰されたこともあるが、それでも月収で100万程度。新設ゴルフ会員権の営業をしていた時もそこそこ稼いでいたが、月収200万には届かなかった。

不動産という超高額物件を扱うのに、顧客が21歳の若者を信用して全面的に任せる、とは考えにくい。人は見かけで判断してはならないものだろうが、茶髪でチャラい感じの雰囲気でもある。

海外の不動産投資などを手がけていたらしいが、我々不動産会社の営業は、たかだか2千万の中古物件を売るのでさえ相当な資料の準備や根回しをするもの。情報を提供しただけで話が纏まって高額の報酬を手にしていた、というのだろうか・・・。そうだとすると、金銭感覚も狂ってしまうものだろう。

ご本人はネット上に「なぜ、私が稼ぎ続けられるのか!? 」というような動画をいくつもアップしていて、営業ノウハウの教材の販売もしているようである。こう言ってはナンだが、還暦も過ぎて、成功より多くの失敗を重ねてきた私が営業ノウハウの教材を作るならまだしも、今どれだけ稼いでいたとしても、26歳で営業ノウハウを教材にするのはどうなのかな、と思ってしまう。私は内容を見ていないのだが・・・。

考えてみれば、私は様々なノウハウを今までタダで提供してきたように思う。そうか・・・、売れたのかわーい(嬉しい顔)

本人のプロフィールによれば、

21歳のときには150億円の企業グループをつくりあげました。そして今では、年間の3分の1ほどはハワイ、バリ島、タイ、カンボジアなどのリゾート地で過ごしながら、1日で2億円稼いだり1カ月2000万円のコンサル料をいただいたり、誰もが知っている大企業の社長とビジネスをしたり・・・

とある。本当にそうだとしても、和民の渡辺美樹と同じで、成功談しか話さない経営者は信用できない。

この26歳の社長、大きな勘違いをしているのでは・・・、と思える。

「トップセールスマンと一流営業マンは全く別物」なのだ。必ずしもトップセールスマン=一流営業マンとは限らない。トップセールスマンというのは、単に売り上げがトップである、というだけのもの。一流営業マンは、様々な営業ノウハウを持っているのはもちろんのこと、「顧客に満足感を与え、信頼されてもいる」ということが重要な要件になる。それが備わっているなら自ずと売り上げもついてくるもので、常にトップセールスに位置するものだし。自分は成功者で高収入ということだけで満足していて、自分が真に一流営業マンであるかどうかは意識の外、或いは自分は一流だと思っているのでは、と思えてならない。

だいいち、営業マンは物を売っているのでなく自身の人間性を売っているのである。そこに気が付かないと、トップセールスにはなれても一流営業マンには絶対なれない。稼げればいい、という人間に成り下がるだけである。営業にとって結果が大切なのは当然だが、結果に至る過程もまた大切なのだ。


「お前、僻んでるだけだろ」と言われたならその通りで、正直、羨ましいとは思う。いろんな価値観やライフスタイルがあっていい。だが、成功をしたなら、それを社会にどう還元するか、ということも少しは意識していてほしい、と思う。「あなたも月1億円稼げる」的ないかがわしい教材を売って、果たして実効あるかどうかも分からないノウハウを提供し、それで更に儲ける、というような生き方でなく。

今すぐ、とは言わないが、ある程度の年齢になったなら「自分の職責を通して社会に恩返しする生き方」に路線変更してくれたなら嬉しい。才能はあるだろうから、その才能を自分だけの為でなく社会の為に役立てる、そうなった時にこそ、真に「トップセールスで一流営業マン」となれるのではないだろうか。

自分の幸せを(無償で)人にも分けたなら、その幸せは何倍にもなるものなんだし・・・。

もしこの先、(私は一度や二度は必ずあるものと思っているが)商売で躓いて何もかも失った時、今この社長の周りにいる人たちの何人が助けてくれるか・・・、おそらく誰もいなくなるのでは、と思う。今の取り巻き連中は所詮「人柄でなくカネに群がっているだけ」で、さんざんお零れに与っていながら「もう旨味がない」と判断したなら潮が引くようにいなくなるのではなかろうか。

そういう寂しさを味わいたくなければ、パ〜っと稼いでサッと引退して、どこかの島でのんびり暮らすしかないかな、と思う。過去の栄光を思い出しながら・・・。


とまあ、一流営業マンになりそこなっている私が言っても説得力ないものだろうけどふらふら




posted by poohpapa at 06:47| Comment(6) | 同業者 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
新入社員約千人の中で売り上げトップで表彰されたこともあるが、それでも月収で100万程度。

10年がんばっていたとして
 10年×12月×100万=12000万円

すごい、お金もち。。。
Posted by たか at 2013年10月02日 08:42
poohpapa さま

おはようございます。
早速調べてみましたが、山本氏は人間としても偽物感が漂いますね(笑)
いや、人間というよりはただのお金を稼ぐだけの「人」といった方が良いかも。
某与沢氏含め過去に数多現れた有象無象たちと同じ臭いがするというか。

一流の人たちの持つ品や風格といったものが全く感じられないのが、言葉に表れていますね。
まあ、せめて自分の前に目障りな姿を晒さないでほしいです。
やっぱり人と人が繋がる仕事をしてこその人生だと思うので。
Posted by のの at 2013年10月02日 09:51
そういう実態のない口先だけの成功者(セールスマンを貶めているわけではありませんが、バックボーンが違うだけで「基本的なスキル」は詐欺師と同じだと思うので。^^;)は、そのノウハウを全部他人に教えるものでしょうか?
同一業者だけで有効な手段であれば、同じパイの自分の取り分が減る可能性もあるので、そういう目端の利く輩は当然本当のノウハウは秘匿するはずです。
特許でさえ7年で切れるので、大きな新規技術は特許公開される前に引っ込めて、自分だけ解るブラック・ボックスにする企業は沢山あります。
ちょっと見てみたい人ですね。
Posted by ハリケーン at 2013年10月02日 15:10
たかさん、こんばんは

実は、新人王になって半年後には退社しました。とても長く続けられる仕事ではありませんでした。女房(前妻)もノイローゼになるくらい過酷でしたから。

ただ、仲間は皆いい人で、良い経験をさせてもらったと思っています。

私の場合は、ぱあ〜っと稼いで、仕事を辞めて、蓄えがなくなってくるとまた仕事して、の繰り返しでしたね。なので、金持ちになることはありませんでした。元々、おカネには執着しませんから。

それでも、今も「その気になればそこそこ稼げるのでは」とは思っています。その気にはなりませんが^_^;
Posted by poohpapa at 2013年10月02日 18:10
ののさん、こんばんは

こういう人を「成功者」と言ってしまって良いのかは疑問ではありますね。私からすると「ただ収入が多いだけ」と思えます。人間にとって大切なのは、稼いだカネをどう生かして使えるか、だと思います。

稼ぎ方や稼いだ額ではなく、ある意味、稼いだカネの使い方で「人間の価値」が決まる、と言えるでしょう。カネを生かすも殺すも持っている人次第、ですしね。

「半沢直樹」で、主人公が子供の頃、町工場の経営者である父親から「人との繋がりがある仕事をしろ」と言われていたのを思い出しました。

ところで、みのもんたが次男の再逮捕を受けて、「これからは社会に役立つ生き方をしたい」というようなことを言っているそうですが、私には、3.11の際にビタ一文寄付をしなかった守銭奴が、そんなに簡単に生き方を変えられる、とは思えませんね。一度、一文無しにでもなってみるといいでしょう。

この社長も、なるだけ早く人生の「いい先輩」に出会って薫陶を受けられたらいいのですが・・・。
Posted by poohpapa at 2013年10月02日 18:27
ハリケーンさん、こんばんは

仰るとおりですね。だいたいが、成功者が金儲けの秘訣を人様に簡単に教えるハズがありません。教材を売って利益を得ていたとしても、ですね。

そういう教材とか啓蒙書、私からすれば「それはアナタだから出来たことであって、アナタじゃない人が真似したところで上手く行くとは限らないでしょ!?」ということになります。だいたいが、当人以外には出来ない話ばかりですしね。

アメリカでの(詐欺にはならない)詐欺もどきの話を思い出しました。以前も書きましたが、雑誌に「50ドル振り込めば大金を手にする方法を教えます」との公告を出して、カネを振り込むと郵便が送られてきて、中に文書が一枚入っていて、そこには「私と同じことをしろ」と書いてあったとか・・・。

この社長のやっていることも似たようなものかも知れません。少なくとも、この社長と教材を購入した人とでは最初からスタートラインも人脈も違いますもんね。

ただ、才能がある人だとは思いますので、良い方向に使ってもらえたら、と思います。

ちなみに、「なぜ、私が稼ぎ続けられるのか!?」で検索すると動画が直ぐ出てきますよ。
Posted by poohpapa at 2013年10月02日 18:43
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