一昨日の記事の続き、
法律で敷金の清算、原状回復に関しては明確な規定があるワケではない。「クリーニング代を貰ってはならない」とも「貰え」とも規定していないのである。
法律で規定されていないものは、社会の慣習によって何が正しいか判断されるもので、それが原則になる。社会の慣習(商習慣)や一般的なマナーを解さない弁護士に勝手なことを言ってもらいたくはない
理由をこじつけて敷金からあれもこれも引こうとしたり(敷金0で)退去時に法外な費用を請求するのは一部の大手不動産業者くらいのものである。ほとんどの不動産会社や貸主はそんなことはしていない。
(記事向けの架空の相談者かも知れないが)相談者の女性は、
家主さんは、「退去後の補修費用と室内クリーニング費用を負担してください。敷金から差し引いておきます」と言ってくるのですが、部屋をきれいに使っていたので、納得できません。
と言っているが、補修費用の内容については詳しく触れておらず、当然に入居者が負担すべきものが含まれている可能性もある。本人はキレイに使っていたつもりでも、5年も使っていたなら、素人が掃除しただけの状態で次の入居者にそのまま貸すなんてことはできないもの。退去した部屋の状況を全く見ていない弁護士が、「全額返してもらえる」などとアドバイスするのは無責任であろう。
きれいに掃除をして退去することは最低限のルールです。
尤もらしく聞こえるが、そんなルールは今は存在しない。昔は退去者が掃除して出て行くのが当たり前で、それで敷金が全額返金されていたし、関西では敷金を10ヶ月分とかそれ以上を預かってその利息を掃除代に充当することで退去時には全額返金する慣習になっていたようで、敷金に関しては地域によって扱いが異なっている。「敷金から清掃代を引く代わりに退去時の清掃は一切しなくてよい。荷物を全て搬出して粗大ゴミの連絡や公共料金の清算をして退去する」のが現在の一般的なルールで原則なのだ。
アンタが勝手な原則を作るな!、と言いたい。こういうのも人権ボケと言うんだろう。
「借主側に一方的に不利な特約は例え借主が納得して署名捺印していても最初から無かったものと見なす」という規定も、一方的に不利かどうかは個別に内容を見て判断されるもの。
クリーニング代が引かれる代わりに掃除せず退去できるなら、引っ越しのトラックが出て行くのと一緒に移転先に向かえるワケで、入居者にとっても、居残って何時間も掃除するよりそのほうが合理的である。
この弁護士が仮に管理会社や家主側の顧問弁護士だとしても同じことを言うであろうか??
答えは「NO」であろう。言うワケがない。
もし家主側の弁護を引き受けていたなら逆のこと、つまり「クリーニング代は支払うのが原則」と言うハズである。弁護士なんて職業は「誰から依頼を受けるか」によって言うことが変わってくるもの。今回の記事では貸主借主どちらからの相談でもなく、一般消費者向けの記事であるから「消費者受けのよい意見」を言っているだけ。この記事を読んで、掃除もせずに「敷金は全額返せ」と言い出す者も現われるだろう。
私も、以前は「借りた時と同じくらいキレイな状態にして退去をした家族」の敷金を(家主さんを説得して)全額返金させたことがある。「全部返せ。返さないと訴える」と言っていた入居者の敷金からクリーニング代を差し引いたこともある。要は、一律ではない、と言うこと。一律にしたら不公平でしかない。
家主さんの不動産という高額な資産を借り受けて生活するのに、出る時に「敷金は全部返せ」と要求するのが間違い。たとえ法律上は通ったとしても社会常識では通らない。「クリーニング代は家賃に含まれているハズ」なんてのは借りる側の勝手な理屈。そういうのを「それは違うよ」と教えるのは弁護士の仕事ではないだろうが、公正な判断力を持ちあわせていないなら弁護士など辞めたほうがいい。
世の中の弁護士や消費者団体、評論家などは、自分はさも消費者の味方、というようなスタンスで無責任に「解かったようなこと」を言うが、自分で家主や管理会社の立場に立ってみれば解かること。もっと言うなら、置き換えなくても解からなければならないもの。曲がりなりにも弁護士であるなら、消費者に「間違ったメッセージ」を送りかねないアドバイスなど発信してはならない。ま、弁護士もピンキリだから。
(初期の過去ログにあるが)以前は、当社管理物件の家主であった弁護士とでこんなこともあった。
申し込みが入り、契約も入金も完了していて、引っ越しの当日、同じ敷地に住む家主から鍵を受け取る約束になっていたのだが、トラックが着いたら家主は留守。後で分かったことだが栃木の親戚に不幸があり家族全員で出掛けてしまったらしい。ならば事前に管理会社に「不在にするので鍵の引き渡しをお願いしたい」と連絡してこなければならないもの。慌てていたのだろうが、うちには全く連絡がなかった。
お客さんが焦って半泣きになって電話してきたので、当時の社長と相談して鍵屋さんを呼んで開けてもらい荷物を入れてもらったのだが、夜になって、栃木から帰宅した家主が怒って「鍵を渡してなかったのに中に入っている。不法侵入で訴える」とバカなことを言ってきた。契約も清算も済んでいて、自分たちが約束しておきながら留守にしてしまっていて、それでいて「不法侵入だ」と言うのだから弁護士が聞いて呆れる。あれじゃどんな裁判の弁護をしても勝てないだろう、と思った。
この例を引くまでもなく、「弁護士が言っていることが常に正しい」とは限らないもの。
MSN japanは比較的公正にニュースを伝えているほうだとは思うが、何の検証もせずこういう記事を垂れ流すのは感心しない。消費者は「自分に都合が良い意見のほうを受け入れたがるもの」だから、当たり前の常識に則ってアパート経営をしている家主さんや管理会社からすれば非常に不快な記事である。
>公正な判断力を持ちあわせていないなら弁護士
これは弁護士にはいりませんね。
これが必要なのは、裁判官は当然ながら検事(検察官)です。
弁護士には、法の解釈を弁護側に有利に捻じ曲げて解釈し、それを第三者にもっともらしく伝える技術が要求されます。
要するに、法律の「てにをは」などの助詞の活用法で自分の依頼者の有利になりそうな判例を探し出して、自分の有利なように説明する仕事が弁護士です。
公正な判断力を持ち合わせていると見られる司法試験合格者は、裁判官にヘッド・ハンティングされるし、自ら自認している人は検事を目指します。
でもしか司法試験合格者が弁護士といっても過言ではないでしょう。
※偏見含みの個人の意見です。
どんなに凶悪犯人って分かっていても、その
弁護につけば、心神喪失とか、責任能力ない
とか、言いますよね。
今年の夏は事務所(ワンルーム賃貸)のクーラーからの水漏れに悩まされました。原因は配管と内部の汚れ。配管に汚れが溜まり、かつ水が流れにくい角度だったため、クーラー側にあふれてきたとのこと。配管の調整と清掃をすると、一時収まりましたが、また水漏れ。根本的な原因は、クーラー内部の水をはじくような油汚れでした。事務所として使っているので、煙草や調理の影響はありません。たぶん、前居住者がつけた汚れだと思います(電気屋さん談)。家主もそこもまで汚れていないと思い(私も綺麗だと思っていた)、内部清掃までしなかったかも。
私の借りている物件は、契約時の特約にクリーニングが明記されています。なので、それぞれの契約や状態を考えずに、一律に払う必要がないというのは非常識だと思います。気になるのは、その費用だと思います。そんなに汚れていなくても、業者を使えば一律の値段だと思います。それが納得できるか。クーラーの清掃代まで差し引かれると、敷金がほとんど戻ってこない場合もあるでしょう。
そう考えると、信頼できる不動産屋で契約するのが重要ですが、見知らぬ土地では難しいですよね。不動産屋の「食べログ」や「価格com」みたいなものが欲しいですね。
なるほど・・・、
弁護士が、誰が(どういう立場の人間が)依頼人になるかで言うことが違ってくるとしたら、その違いの幅が「グレーゾーン」ということになって、何が正しいか、でなく説得力がある者が勝って得をする、ということになります。
私はそういうのは避けたいですね。家主さんや入居者さんが「法律を知らないことで不利益を蒙ったり差が出る」のは不公正だと思うのです。私は、貸主借主のどちらにも付かずに「こういう判断が妥当では」という落とし処を探ります。常に私の判断が正しいとは限りませんが。
私が入居者に「あなたが家主さんの立場だったら、『それで結構です』と言えますか?」と訊くと、たいていは黙ってしまいますね。何かで読んだから「言ってみただけ」というケースも多々あります。
弁護士や有名な評論家が言っていることを消費者はそのまま信じてしまうものでしょうけど、自分の頭で考えて欲しいものです。
更新料なんかでも、最高裁で「違法性は無く合理性がある」との判決が出るまで、世の中では「そんなものは払わなくていい」という論調で溢れていました。判決が確定すると、そんなふうに言っていた弁護士も何事も無かったかのように黙っています。無責任ですね、まったく。
弁護士って、ピンキリですね。裁判官も検事もですが・・・。いずれにしても、迷惑な記事です。
おっしゃっていること、まさしく同感です。やはり司法試験制度の変更によって弁護士の質というかレベルが全体的に落ちていることが諸悪の根源だと思うんですよね。弁護士になるのが簡単になってますので、従来であればとても弁護士になれなかったような人が弁護士になってしまっている。そして数もムダに増えすぎている。そのような中で、仕事にあぶれたような弁護士が一般人を焚き付けて訴訟させて自分の分け前を欲しがっている、そんな構図に見えてしまいます。
何かの凶悪事件で、やたら「心神喪失」だの「責任能力」だのという言葉が出てきますが、全く納得いきませんね。容疑者に200円渡してコンビニに缶コーヒーを買いに行かせ、ちゃんと買ってきたら「責任能力あり」ですよ。責任能力云々で言うなら、「白痴」であって初めて、くらいだと思います。
情状酌量を訴えるのでなく責任能力で無罪や不起訴に持ち込もうとする弁護士など信用できません。何度も書いていますが、責任能力が無くても、犯罪を犯したなら有罪で、罪の償い方が変わるだけでなければおかしい、と思っています。
私には弁護士は無理ですね、検察官は向いてるでしょうけど。ま、それ以前に能力がないですけど^_^;
街の不動産業者を利用者が評価するサイトは一応あるようですね。「食べログ」や「価格.com」みたいなものは仕込みが多くなりそうです。公正な評価が表示される仕組みがあるのが理想ですが、難しいですね。不動産業者の評価サイト、大手不動産会社が運営していたような・・・。信用度はイマイチかも*_*;
同業者さんで、私からするととても信頼できて公正な業者さんに悪い評価が付けられていたり、逆のこともありました。トラブルが起きれば言い分に開きがあって当然ですが、一方的な評価で振り回されたら堪りません。私も一度だけありましたね。本人を呼んで注意しましたが、心の病を持っていました。
ところで、バラキさんのケース、クリーニング代が掛かるのは仕方ないこととして、代金がリーズナブルであるかどうかは重要ですね。もし適正価格でなければ納得いくまで説明を求めるか部分的に支払いを拒否することも視野に入れてください。その時が来たならまたご相談に乗らせて頂きますね。
記事にも書いた弁護士である家主と、敷金を全額返還させた家主、それぞれそれ以来、付き合いが無くなりました。他にも「寿命が来た給湯器」の交換費用を入居者に半分出すようアンタから言ってくれ、と頼まれて拒否したこともあります。いつもいつも家主の肩を持つばかりではないんですけどね、今回のこの弁護士の話は納得いかなかったですね。
いつもお読み頂き有り難うございます。
司法試験が易しくなったこと自体は功罪半ば、というところかも知れません。難し過ぎると、勉強だけできて社会常識に乏しい弁護士が生まれそうだし、学生時代に多少のヤンチャもした人や、いろんなバイトを体験して苦労した人が弁護士になってくれたらそのほうがいいかもです。大切なのはハートですね。
それでも、日本はアメリカなんかより人口比での弁護士の数はまだまだ少ないようですが、数が増えてアメリカみたいに「何でも訴訟」という社会になったら住みにくくなるでしょうね。日本人には揉め事を裁判で白黒つけるのは似合いませんね。
ホームドクターみたいに気軽に相談できるホームロウヤーがいたなら便利だとは思いますが(^◇^)
そうそう、こないだ、テレビで「司法試験に受かって弁護士になったものの、どこの法律事務所でも採用されず家の一角を事務所にしてひたすら依頼者が問い合わせてくるのを待っている人」のVTRを流していました。プロゴルファー(トーナメントプロ)の世界と一緒ですね。ツアー賞金で食べていけるプロはほんの一握りとかいう話ですから・・・。
あとは、私たちも弁護士を選ぶ目が必要ですね。悪い弁護士に当たると食い物にされますから。近いうちに、そういう話も書かせて頂きますね。