不動産の契約金(家主さんへの送金分)が10万円以下、なんてことはまず無い。客付け業者に振り込む仲介料も時として10万円を超える。それをいちいち通帳に入金して振り込むのでは手間が掛かるし、必ずしも相手の口座が同じ銀行の支店とは限らない。
A銀行にある自分の会社の口座に入金して、それからカードでB銀行の家主さんの口座に振り込むのも余計な手間になるし振込料が高くなる。B銀行に現金で持参して振り込むことが出来れば半分の振込料で済むのだ。だからと言って窓口に身分証明等の必要書類を出して依頼するのでは手間も掛かるし若干割高だし、窓口で長く待たされることになる。月末なんかに行ったものなら地獄であろう。
10万円単位に分けて何度も振り込むワケにもいかない。それだと、例えば50万円振り込むのに最低でも1575円、他行口座宛に振り込むとしたら3150円の振込手数料が懸かることになる。相手も確認しにくくなるし、それでは通帳も直ぐいっぱいになってしまう。
振込限度額を10万円までに引き下げるなら、ATM手数料も大幅に値下げするのが当然である。銀行というものは常に、自分たちは痛みを共有しない、のだ。だから耐震構造計算偽造マンションをローンで買った人たちに「追加担保を出せ」などと平気で言えるのだろう。
マネーロンダリング防止だの振り込め詐欺被害防止だのというが、「そんなのに関係する振込みの比率」がどれほどあるというのか。「それで犯罪防止に繋がる」と思っているならお目出度い話である。
振り込め詐欺なんか、いくら手口が巧妙だといっても引っかかる人にも責任がある。無関係な人間が不便を強いられたら堪らない。
旅客機搭乗前のセキュリティチェックが厳しくなるのは理解できるが、ATM振込限度額引き下げ、というのは納得できない。犯罪防止は口実で、銀行のご都合(利益)が第一では、と勘ぐりたくもなる。
善良で罪の無い(?)一般市民からすれば迷惑この上ない話だ。
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