2007年04月14日

気になる「ある裁判」の行方

昨日のこのニュース、不動産業者としては考えさせられる話です。

確かに、同意の上とはいえ、一年契約で毎年更新料を支払わされるのはどうかとは思いますが、賃料の設定が、更新料も加味した算定基準になっている可能性もあります。一概に阿漕(あこぎ)とは言えないように思います。

なぜ一年契約で更新していたのか詳細な事情を知りたいものです。

それより、「この条件なら借りたい」といって借りておきながら、後で「納得いかない、返せ」と言う借主のほうが問題アリですね、卑怯です。それを通してしまったら、契約の概念が崩れます。知らなくて騙されたというワケではなく、解かってて契約してますから。

どうしても食べたい「レストランの料理」があって、ネットや店頭やメニューに「サービス料10%」と明記されていて、それを承知した上でその時は納得して食べていながら、帰宅してから「サービス料を取るのはおかしい。そんなのはそもそも代金に含まれていて当然である。返せ!訴えてやる!」と騒いでいるようなものです。

途中で家主との間で別のトラブルでも有ったのかも知れませんね。レストランで言えば「思ったより料理が美味しくなかったし、サービスもサービス料を取れるほど良くはなかった」とか・・・。

ま、レストランだって「サービス料は不当」となれば料金をアップせざるを得なくなるでしょう。賃料も同じようなことが言えます。更新料がもらえなくなったら「今の家賃」で貸すことは出来ません。次の更新では値上げせざるを得ず、新たなトラブルが発生するでしょう。


それと、更新料はたいていは家主と管理会社とで折半しています。有名ないくつかの大手業者では家主に渡さずに独占しているようですし、ごく稀に「更新料1.5ヶ月分」と広告に謳ってある物件もあって、それは管理会社と家主で0.75ヶ月ずつ分けているのでなく、いずれかが1ヶ月分を取っているのだと思います。ま、管理会社でしょうね。1ヶ月分全部欲しいのだけど家主も「半分くれ」と言うから、なら入居者から1.5ヶ月もらおう、ということでしょう。あと、更新料とは別に事務手数料を取る業者もいます。それらは間違いなく「阿漕な業者」と言えるでしょう。

「返しなさい」との判決が出たなら、家主は業者にも「返してくれ」と当然に言うでしょうね。業者は返さないでしょうけど・・・(笑)


個人的には「更新料はまかりならん」との判決でもOKですが、同意しての契約なんですから、遡及させて効力を持たせるようなことは有ってはなりません。

これで裁判所が「更新料の意義」まで踏み込んで「違法性あり」との判断を下すようだと、賃貸仲介管理業者の多くは潰れることになるかも知れません。それを「当然の報い」などと考える人がいたなら、失礼ながら、間違いなく利己的で短絡的な人、だと思いますね。そういう場合、深く考えずに便乗して騒ぐ輩というものが必ず現れます。隣国での反日暴動のように、「何も考えずに石を投げる奴」が・・・。


過去ログにも有りますが、私は7〜8年前、宅建協会の本部に行った際、「この先、法律や制度が変わって更新料や礼金は受領できなくなるでしょうから、賃貸が主たる業務である不動産業者は原点に返って、今のうちに家主さんから管理料を頂くシステムに移行して、収入の糧を仲介から管理に求めるよう協会は指導していくべきでは」との自説を唱えてきましたが、お偉い人からは全く相手にされませんでした。もちろん、管理料を頂く為には「それなりの仕事」をする必要があります。この業界は時流から完全に乗り遅れていますね。

そういう話は、その時が来て慌てて対策を講ずるのでなく、先を見越して組織的かつ計画的に対策を講じなければならないのにふらふら


さて、判決は、如何なりますことやら(*^^)v
posted by poohpapa at 06:55| プロとしての見解、アドバイス | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする