2014年03月27日

天から舞い降りたご褒美

今週号の住宅新報さんのブログに書かせて頂いたホームレスだったお客さんの話の続編、こちらで。

事情があって2年間もホームレスをしていて、たまたま当社に来店してくれてお部屋を紹介したお客さん、その後もちょいちょい店に寄ってくださるのだが、面白い話を聞いた。

そのお客さん、運送会社に勤務していて転倒し、頭を強打して脳内出血を起こし、完治せず障害者になっている。珍しいことに奥さんからのDVで、2年前、家から放り出された。労災認定されて500万円が入った預金通帳をたまたま持っていたのが救いで、それ以後はずっと漫画喫茶で寝起きしていた。

どういう経緯でうちの店に来たのかは分からないが、住民票も取れず連帯保証人も立てられず、職にも就いておらず生活保護でもなく、携帯電話も所持していないので保証会社の審査も下りない。いろいろ当たったが家主さんや管理会社の理解は得られない・・・。そこで、一計を案じた。

当社の近くのマンションの管理会社に「家賃を2年分前払いするから保証会社も付けず、連帯保証人もなく貸してもらえないか。2年以内に生活保護を受けられるようにするから、生活保護の受給が決まったら普通に再契約してほしい」とお願いしたのである。

預金通帳のコピー(残高証明になる頁)などを送ると、担当者が「とりあえずは2年間の定期借家契約で」ということで審査を通してくれ、やっと布団の上で寝られるようになった。だが、ずっと着たままの洋服や下着以外は何も持っておらず、あるのは現金のみ。そこで私がビックカメラに同行し、寝具、テレビ、電子レンジ、冷蔵庫、携帯電話を買った。携帯電話は審査を通してもらう条件になっていた。

「ポイントカードを作ると購入金額の10%くらいポイントが付いて、次に買い物する時に代金に充当されるよ」と言ったのだが、「そんなのは面倒だから要らない」と言うので、「じゃあお駄賃で私が貰うよ」と言うと、快く「どうぞどうぞ」と言う。それだけではない。予め現金を用意しておいてもらったのだが、思っていたより安く済んだからと「残ったカネ、アンタにあげる」と言って私にくれようとする。

15000円である。「いいよ、ポイント貰ったし」と辞退すると、「じゃあ飯を食いに行こう、奢るから」だと。どこの世界にホームレスのお客さんから奢ってもらう不動産屋がいるものか、である。それも断ると、「それもそうだな」と笑う。なんとも気前がいい。ちなみに、私は頂いたポイントでスニーカーを新調した。

で、このあたりまで住宅新報版ブログであらまし書いていたが、続きがある(*^^)v

このお客さん、公共料金の手続きなども私がやっていて、料金の支払い方などが分からなかったりすると、その都度店に寄る。もちろん、それは全然かまわない。これは一昨日、そのお客さんから聞いた話である。

「さっき、自転車で駅のほうまで行ったら、公園の近くで空からヒラヒラ紙が飛んできたんだよ。どうもタダの紙じゃないな、お札みたいだな、と思って引き返すと、1万円札だったんだよ。慌てて押さえて周りを見たけど、誰もいなかったから持って帰ってきちゃったんだよ」と嬉しそうに話す。

本来は警察に拾得物として届けなければならないもの。だが、私はそうは言わなかった。

「今の話、私は聞かなかったことにします。今までさんざん苦労して真面目に生きてきたでしょうから、きっとそれは天からのささやかなご褒美ですよ。たぶん、その1万円を飛ばしてしまった人、おカネに困ってない人だと思いますね。飛ばしてしまったものなら諦めて警察にも届けないものでしょう。大丈夫、私は聞かなかったのですから誰にも話しませんから」と言ったのだ。ま、ブログには書いているがたらーっ(汗)

この年寄りから「規則だから、法律だから」と言って杓子定規に1万円取り上げて何になるか、である。これ、自分が拾ったのなら確実に届け出る。今まで拾得物をネコババしたことなど一度も無いし。

実は、このお客さんの預金は既に半分になっている。2年分の家賃前払いと、最少限の家電製品と寝具を揃えたのと、ある福祉団体に30万円を寄付してもらったからである。どのみち、預金が残っているうちは生活保護は受けられない。ならば有意義に有効に使ってもらったほうがいい。詳細は書かないが、寄付した30万は2年後に間違いなく生きて返ってくることになる。

先日も「おカネが残っているうちに歯の治療をしたほうがいいよ」と言って歯医者さんに連れて行った。障害者ということで治療費は一切掛からないようで拍子抜けしてしまったが、今はほとんど歯が無い状態で、2ヶ月後には総入れ歯になって、好きなモノが思い切り食べられるようになっていることだろう。

今月初めに夜逃げした中国人一家の部屋にまだ新しい電気毛布が残されていて、以前来店した時に「寒くて寝られない」と言っていたので、(うちで洗濯をして)それもあげた。どのみち処分するものだし。

そういえば、暖かくなってきたせいか、いつも着ている服が臭う。汗臭くて酸っぱい臭いである。風呂付の物件なので入浴はしているのだろうが、洗濯してないとすると清潔ではない。洗濯するように言おう。

少しヘソクリを貯めるようアドバイスもした。馬鹿正直なだけでは世の中は渡っていけないものだから。

部屋を借りる際の緊急連絡先は私になっている。身寄りがいないから、もし、預金を使い切らないうちに亡くなるようなことがあれば、残ったお金で供養してもらえるよう鎌倉の由緒あるお寺のご住職にお願いしよう。そのご住職には私が死んだ際のこともお願いしている。確実に私のほうが先に逝くだろうから。

私は胸を張って言える。このお客さん、うちの店で部屋探ししたのは何よりも幸運だったのでは、と。



posted by poohpapa at 00:45| Comment(4) | お客さん(入居者) | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
奥さんからのDVで、2年前、家から放り出された。⇒ 気をつけないと、

寄付した30万は ⇒ 何百億も稼いだ人はいっぱいいるのに
           寄付したなんて報道ないですね。

ヘソクリを貯めるようアドバイス ⇒ そうね、早く、生活保護の受給すべき
                 

完治せず障害者 ⇒ 障害者手帳?。耳が聞こえても佐村河内守
          これも申請。。

確実に私のほうが先に逝く ⇒ ほんと!

一時に比べるとホームレスの人も減りました。昔、新宿駅におりると、ダンボール
の小屋がいっぱいありました。。。。
Posted by たか at 2014年03月27日 07:07
寄付した福祉団体は葬式を安くあげてもらったり身元保証したりする団体でしょうか。
こちらのほうにはそういう団体があります。
Posted by G3 at 2014年03月27日 23:25
たかさん、おはようございます

このお客さん、正真正銘の障害者でいらっしゃいますよ。佐村河内氏とは違うかと・・・。

新宿駅西口の地下通路のダンボールハウス、私は不快には思いませんでしたね。むしろ強制的に撤去した東京都のほうに不快感を持ちました。施設を用意していたとしても、ですね。

基本的にホームレスの人は「気がいい」んです。カネが無くて家賃が払えないのに不動産屋や家主を騙して入居して家賃を滞納して居座る人たちとは根本的に違います。生活保護を不正受給している奴らとは天と地ほどの違いがありますね。だからホームレスの人に対しては出来る限りのことをします。

人生は一寸先は闇・・・、私もいつホームレスにならないとも限りません。子供の頃は極貧でしたし・・・。そういうのをいつも忘れないようにしたいと思っています。
Posted by poohpapa at 2014年03月28日 07:31
G3さん、おはようございます

総合的に支援してくださる団体ですね。身元保証まではしてくれません。ですが、団体自体が不義理をするような組織ではありませんので、私は信頼しています。

葬式も、安く出してくれるとかはありません。それは私のほうで手配できますしね。

ま、ここんとこ、自分のほうが危ないかな、いつ逝っても不思議は無いかな、くらいではありますが^_^;
Posted by poohpapa at 2014年03月28日 07:37
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