家主さん(年配の女性)から携帯に電話が入った。
「1階の○○さんから電話があって、『お隣の奥さんがず〜っと壁を蹴り続けていて怖い』と言うのよ。どうしたらいいかしら」とのこと。
どうしたらいい?と聞かれても、こういう問題は対応が難しい。
本(もと)は、と言えば、電話してきた奥さんの3歳の息子が出す大声と騒音にある。隣の奥さんが「静かにさせてもらえないか」と頼んだが、そこは3歳児のこと、言って聞かせて解かるハズもない。
改善されない騒音に業を煮やして、隣の奥さんは「壁を蹴る」という反撃に出た。ここから平穏な生活に亀裂が入り始める。
家主さんの話では単に子供の騒音だけの問題ではなさそうだった。
最近、隣の(壁を蹴る)奥さんはご主人が失業してストレスが溜まっていたり、かつては持ち家に暮らしていたのに今はアパート住まいでプライドが傷付いていたり、家賃も滞りがちになっていたり、でイライラも高じていたようだ。そこに子供の騒音が引き鉄になって壁蹴りが始まり、鬱を患っていく。
家主さんから電話を受けて直ぐ、両方から私に「何とかしてくれ!」との電話が入る。だが、ハッキリ言って何ともならない。こういうのは不動産屋が解決する問題ではなく、当人同士が話し合って解決すべき問題である。どこまでなら我慢の範疇、などという線引きなど出来る訳がなく、相当な音でも気にならない人もいれば僅かな音でも気にする人もいる。私も過去には両方を体験している。ステレオを大音量でかけても何の文句も言われず、むしろ退去する時に残念がられたこともあるし、友だちと普通に会話していただけで壁を蹴られたこともある。感受性や許容範囲は人それぞれだし状況にも因る。
それでも、相談を受ければ放っておく訳にもいかないので、それぞれに「相手の立場になってのご注意」をしたのだが、子供の騒音は収まらず、壁蹴りはさらにエスカレートするばかりだった。
家主さんに「これはもう家主さんにも私にもどうすることも出来ませんから、最後はどちらかが出て行くことになると思います」と伝えると、「仕方ないわね」と諦めモードだった。
ところが、事態は「想定外」の方向に進んでしまった。 (続く)
2005年08月29日
この記事へのコメント
コメントを書く