2015年02月21日

Cさんの孤独死 3

昨日、驚くべき事実が判明した。

Cさんの検死の結果(死後どのくらい経っていたか)を刑事さんから伺って耳を疑った。

死後1ヶ月半くらい、とのこと。と言うことは、2月17日に発見しているから亡くなったのは1月上旬、ということになる。1月4日には誰かが本人と電話で話していて、5日には1月分の家賃が振り込まれているから、その直後くらいに亡くなったのでは、とのこと。少なくとも2週間やそこらではないそうだ。

これが夏場なら数日で臭いが漏れて近所の人が気付くが、真冬だとそれくらい気付かなくても不思議はないそうだ。たしかに、死後1ヶ月半のわりに臭いは強烈ではなかった。そういうことで言えば、夏のほうが「飼主が孤独死した場合に室内で飼育しているペットが餓死せず助かる確率」は高そう。

刑事さんの話では、手の皮などが剥がれていたとのことだし、その日に警察からの連絡を受けて飛んできたご親族によれば、口の中は歯茎が無くなっていて、まるで骸骨のようになっていたらしい。シートに包まった遺体が階段を下ろされた時、血や体液が階段下にいた刑事さんと私に垂れたのも頷ける。

そうなると、不思議なのは「どうやって1ヶ月半も猫が生き延びていたのか」ということ。餌は袋を破って食べていたとしても、問題は水である。体重は普段の4.8kgから3.5kgになっていたが、けっこう元気であったのだから・・・。部屋が片付いたら理由が分かるかも知れない。それにしても、ほとんど奇跡と思われる。昨日も書いたが、小さな猫にとってどんなにか寂しく、心細かったことであろう。

不動産屋として、ふと考えた。うちの店は小さいし、家賃をカードで支払ったり口座からの自動振替を義務付けてはいない。もちろん入居者が自分で自動振替を金融機関に依頼するのは問題ない。たいていは個々に振り込んで頂いている。間違いなく、そのことが「猫の保護」に繋がったんだろう。

もし自動振替であったなら残金さえあれば当人が亡くなっていても家賃は振り込まれるから全く異変に気付かない。生活保護であって役所から家賃が振り込まれるのも同様に気付かないだろう。かと言って、家賃分を保護費と一緒に本人に渡して本人が振り込んでくるのも怖い。流用してしまって振り込んでこないケースも何回かあった。役所に連絡しても「こちらは生活保護受給者に渡しているのだから後は本人の問題」として対応しない。「家賃分として渡していたのを他に流用したなら役所で回収するのがスジ。その分は翌月の保護費から差し引いて役所の責任において支払ってくるのが当たり前ではないか」と言っても動かない。立川市役所の生活福祉課はとことん腐っている、と思った。

それはともかく、私は毎月の個々の振込日の僅かな変動も気にして通帳をチェックしている。とくに高齢者の場合は、そういうことで(とりあえず)安否の確認ができたりするから。郵便受けに新聞や郵便が溜まっていたり、(最近は少ないが)牛乳が溜まっていたりして気付くのと同じである。そういうのは大手業者と違う小規模業者の良さ、と言えるだろう。小さな業者だからこそできることだと思う。

Cさんも家賃が振り込みであったから気付いたものの、自動振替だったならもっと発見が遅くなっていたかも知れない。残高が足りなくなると自動的に融資される預金(口座)の種類もあるようだし・・・。

手抜き、と言ったら語弊があるが、不動産屋にとって「楽なシステム」は考え物かもしれない。互いに多少の面倒があっても、不便な方法をとることで救われる命がある、ということも充分に考えられる。


Cさんの遺体は検死を終えて、ご親族によって既に「セレモアつくば」(葬祭場)に運ばれていて、今日、荼毘に付されるとのことで、昨日セレモアにご焼香に行ってきた。遺体は冷蔵庫のような機器の中に棺ごと入れられていて、半分出して頂き、少し離れた位置からご焼香。顔の部分の蓋を開けて対面しようと思ったが、係の方から「それはできませんので」と止められた。それがしきたりなら仕方ない。疑うワケではないが、私が手を合わせたのが本当にCさんだったのかは不明。ま、心の問題なんだろうけど。昨晩、仙台と埼玉の従兄の方から相次いでご焼香のお礼の電話を頂いた。葬祭場から聞いたようだ。


ところで、猫のその後がどうなったか、をご報告。

17日に動物病院に連れて行き、先生に様子を診て頂き、昨日、新しい家族に迎えられた。と言っても、元々その猫を最初に保護したご家族である。親からはぐれていた子猫を保護して、それをネットにアップしていたのをCさんが見て、私に相談があったので「飼わないと後悔するよ」と言って、面接に行き、Cさんが飼うことに決定した経緯がある。9年の歳月を経て、戻るべき家(家族)に戻った感がある。

Cさんのブログによれば、愛情の裏返しや冗談かも知れないが、けっこう猫に当たっていた様子も見受けられた。同じく猫を飼っている私からすれば、あまり良い飼主ではなかった、と思われる。

その方のマンションはペット不可なので、飼うために引っ越すことも視野に入れているくらいで、今日からは辛く寂しかったであろう今までの分を取り返すくらいに幸せになってほしい。いや、今までより幸せになれることは間違いないだろう。私も凄く嬉しい。


posted by poohpapa at 06:56| Comment(4) | うちの店 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
Cさん、今は三途の川の渡し場のあたりでしょうか。私はあなたに会ったことはないけど、poohpapaさんの記事と残されたあなたのblogから、あなたの人となりと人生を知ることができました。

Cさん、あなたはpoohpapaさんのおかげで、最悪の最期を免れることができたのですよ。人知れず灰になることなく、あなたの記憶と記録を残してくれたんだよ。

Cさん、あなたが最後に愛した猫も無事だったよ。

だからさ、Cさん、三途の川を渡れたならば、閻魔大王にpoohpapaさんにお世話になったことをちゃんと報告してよね。それと、poohpapaさんが今とても困っていることも。

Cさん、よろしくお願いしますね。
Posted by バラキ at 2015年02月21日 12:45
バラキさん、こんばんは

今日、お骨を骨壺に入れる作業をしていて、「オマエにだけはやってもらいたくなかった」と怒ってるだろうな、と思いましたね。最後の最後まで意地を張り通して寂しく死んでいったのに、私が台無しにしてしまったかも知れません。

Cさんが閻魔大王に「poohpapaさんのおかげで・・・」なんて言うワケがありません。地獄に呼び込むに決まっています。そういう奴ですから。

でも、相手によっては「凄くいい人」になってたようですし、極端な二面性、心の病を持ってましたね。ハッキリ言って、私はこういう入居者に当たってしまって災難でしたけど。

娘さんと会えなくなってから全てが狂い始めたんでしょうね。自身のブログで書いていますが、「行ってきます」と言って出て行ったきり奥さんと子供が帰ってこなかった、というのですから余程のことで、奥様の苦悩を何一つ分かってあげていなかったのでは、と思います。普通はそこで気付くものですが逆を行きました。

寂しいですね。Cさんの人生ってナンだったんでしょう。何のために生まれてきたんでしょう・・・。

Posted by poohpapa at 2015年02月21日 19:34
こんばんわ。

今日まで読ませて頂いて、Cさんの人となりが
ほんの少し分かった気がしています。。

それもやはり、ブログにpoohpapaさんがCさんのことを、書かれたことによって、
全く見ず知らずの私が、数日、Cさんのことについて、ふとした時に思ってしまうのです…

これも、もしかしたら、Cさんの生きた意味なのではないでしょうか…



じつは私、17歳の時、生きることをやめてしまいたいと思ったことがありました。
父の出来事から、3年近くたっていたのに、
突然自分の意思ではないのに、羽をもぎ取られてしまったかのような
惨めな生活が、わたしの心には、限界だったのかもしれません…

高校卒業前だったこともあり、
ある日、担任の教師に言われました…


「明日来なかったら、もう明後日からは来なくていいよ…」


人生は、思い通りにいかない状況がやってきて、ひとを奈落の底に
突き落としてしまうような状況がやってくる。
自分は、自分らしく生きているだけなのに…
こんな状況も、全部人のせいだ…
こんな世の中に生きている意味があるのかさえ分からなくなる日が続いていました。



でも、その教師の言葉を聞いたとき思ったんです。
このまま腐って死んでいくのは嫌だ。

この生活の状況は、父が作ったものだけれど、
更に悪い状況を招いているのは
自分ではないか…


次の日から、はっきりと分からないまま毎日学校に通いました。
補習で縄跳びを飛んだり
放課後テストを受けました。
そして卒業しました…


亡くなってしまったCさんの全ては分からないけれど、
生き抜く選択をしなかったことは、悲しいけれどご本人だった。
そんな状況の中、世の中を恨めしく思って亡くなっていったかもわからない…


でも、最後にどんなに嫌いで顔を合わせたくないと思っていたとしても、
最後まで家賃を払い、そうなるであろうことを予測することは出来ていたのではないか、
迷惑をかけるのなら最期には…


最期には…
やはりpoohpapaさんに委ねたかった…

少しづつ、風化する記憶も
Cさんの生きた証になっていくのではないでしょうか。。
今日は、信号待ちしながら勝手にこんなこと
考えていました。。
Posted by おず at 2015年02月21日 20:50
おずさん、おはようございます

率直に書いてくださって有り難うございます。いろいろな体験をなさっていたんですね・・・。

あいつ、

<<「最期には…
やはりpoohpapaさんに委ねたかった…

なんてことはありませんよ。今、大変な思いをしているのをあの世から見ていて絶対に「ふん!、ザマあ見ろ!、迷惑を掛けてやったワ」くらいに思っているでしょうね。そういう性格ですから。残念ながら、私はこういうことでは(手間ではあっても)迷惑とは思わないんですけどね(^◇^)

高校時代の担任の先生、「明日来なかったら、もう明後日からは来なくていいよ…」、というのは、あまりに冷たい言葉ですが、前後に何か言葉があったんでしょうかね。単に、突き放せば気が付く、学校に来るようになる、との読みではないように思います。ただ冷たいだけでは、と思えます。

このブログ、お読みになっている方に、「ああ、そういうことはしないほうがいいんだ」とか、「そうか、こうすれば良かったのか・・・」などと一緒に考えて頂くのが目的なので、おずさんが今回のCさんのことで何かを感じてくださったなら嬉しいですね。

もっとも、おずさんと同じように過去の辛い出来事を思い出してしまった方もいらっしゃいますが。

言えるのは、Cさん、短くて寂しい人生ですよ。私からすれば「何のために生まれてきたのか」というくらいの人生です。猫だけが話し相手、仕事も無くなり酒に溺れて、娘さんとも会わせてもらえず誰も訪ねても来ない・・・。死んでも誰の記憶にも残らない。経済的に行き詰まってもプライドが高いから生活保護の申請もできない。

私なら狂ってしまいますね。それも自己責任です。だから寂しいんです。

「死ぬ前にあいつがしたたった一つの良いこと」、それは、死後1ヶ月半も猫が生き延びられるように(たまたまでしょうけど)していた、ということだけですね。




Posted by poohpapa at 2015年02月22日 06:19
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