2015年03月06日

街を徘徊する老婦人

駅方面に買い物に行く途中で顔なじみの老婦人を見かけた。杖をつきながら向こうからゆっくり歩いてくる。私が(進路を塞ぐような形で)目の前に立つと、俯いていた顔を上げて「あら〜」と笑顔を見せる。

その老婦人に会うのは何回目だろうか・・・。もう6〜7回は街で見かけている。最初は私の店の前で「私のホームが分からなくなってしまって・・・、私のホームはどこかご存知ありませんか?」と聞かれ、「たぶん新しく出来た高層マンション型の老人ホームだろうな」と見当をつけ、私の店からは5分ちょっとの道程だが20分ほどかけてゆっくり歩いて連れて行ったらビンゴだった。

帰り際に「お名刺をください」と言われたが、「今は持っていないから」と断った。本当は持ってはいたが、なまじ渡してしまうと気を使わせることになるかも知れないし、後で出てきた名刺を見て「はて、誰だったっけ・・・」と悩ませることにもなるだろう。

次は駅前の大きな交差点で、こちらから声を掛けたら「風邪をひいたらかかろうと思って内科の病院を探していて・・・」とのこと。すぐ近くに私のかかりつけのクリニックがあるので連れて行ったりした。

その時は最初の出会いのこと、全く覚えていらっしゃらなかったが、「恩人を忘れてしまうなんて・・・、すみませんねえ」と恐縮しきりだった。帰り道、どこで曲がるかの目印だけを教えて別れた。

「ホームの人から『一人で出歩いてはいけません』と言われてるけど、天気がいいとついつい散歩したくなりますから、こっそり出てきてしまいます。内緒にしといてくださいね」と、はにかんで笑う。

アルツハイマーが入っているんだろうけど人柄はとても良くて優しい人だと分かる。立派な息子さんと連れ立って歩いている場面にも以前遭遇した。いろんな事情があるんだろう。老後は家族と一緒に暮らせるのが一番の幸せだとは思うが、介護付きの立派な老人ホームに入れてもらえるだけ幸せかも・・・。

で、先日、私が声を掛けたら笑顔を見せてはくれてはいたが・・・、きっと、私が誰かは覚えていないと思う。ただ「知り合いのように近付いてきたから何処かで会った人なんだろう・・・」くらいにしか認識していないのでは、と思われる。もちろん、私はそれでかまわない。

「お散歩ですか?」と訊くと、「毎日こうやって駅まで歩くようにしているんですよ」と言う。老人ホームと駅までならほぼ直線で、途中で一度曲がるだけ。なので道に迷うことはなさそうである。私なら往復10分の距離だが、何と言っても雑踏でもあるし衰えた足である、ゆうに1時間以上の散歩コースだろう。

向こうが私を覚えてなくても一向にかまわない。これからも街で見かけたら声を掛けることにしよう。

posted by poohpapa at 05:43| Comment(10) | 私の街 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
わかってますよ、長い読者なので。
それで、綺麗な女性は、その老婦人のお孫さんですか、それともお子さんあるいはお嫁さん?
Posted by ハリケーン at 2015年03月06日 07:57
ハリケーンさん、やだねえ・・・、歳を取ると僻みっぽくなって・・・(^◇^)

その老婦人、若い頃はとてもお綺麗だったと思いますね、気品もありますし・・・。とても腰が低くて優しいですから、娘さんがいたならやはりお綺麗でしょうし、孫娘がいたなら可愛いことでしょうね。

ただ、それと「私がちょっかいを出すかどうか」は関係ない話でして・・・(; ・`д・´)
Posted by poohpapa at 2015年03月06日 08:27
少し前、町内の少し痴呆男性老人が家を出て行方不明になりました。ちょっと散歩に出かけると行って出たそうです。
町中を探してみつけました、本人曰く、帰り道がわからなくなった、とのことでした。
これから、増えそうですね。
ちなみに、うちのもよく帰り道がわからなくなります。これは、相当な方向音痴だからです。(内緒です)


Posted by たか at 2015年03月06日 08:30
たかさん、おはようございます

自治体によっては、アルツハイマーの人や徘徊する癖がある高齢者の靴にGPSのチップを入れたりしているようですね。そういう人がフラっと家を出る時にはちゃんと自分の靴(いつもの履物)を履いていることに着目したようで、それは実に良いアイデアですね。

<<ちなみに、うちのもよく帰り道がわからなくなります。これは、相当な方向音痴だからです。

奥様、もし海外にでも出掛けて迷子になったなら帰れなくなりそうですね・・・。たかさん、これは使えるかもですよ(冗談ですからね、実行しないでくださいね;爆)
Posted by poohpapa at 2015年03月06日 09:10
poohpapaさん、おはようございます。

今の世の中、道を尋ねようと思って小学生女児に声をかけると、警察に通報されるそうですよ。
でも、poohpapaさん、よく周りを見てますね。
私は目的地直進型なので、よそ見しないのです。ウインドウショッピングも苦手です。余裕ないですね〜。
Posted by バラキ at 2015年03月06日 10:44
ハリケーン様の一本勝ち!^_・

; ・`д・´)←この顔文字好きハート
Posted by 街のクマ at 2015年03月06日 11:07
父が、亡くなる何年か前、痴呆が本格化し何度か行方不明になったとき、それは大変でした。

本人も、ATMがわからない、バスの運賃がわからない、でも週に3日病院に行かねばならず、それでも痴呆の判定は一番軽いものなので常時誰かがついてくれるわけでもない、ということで非常に大変そうでした。

客観的に軽いレベル、と判定される痴呆でも、トイレの失敗もありましたし、あれだけ大変なのだから、痴呆というのは本当に大変です。

主に金銭面ですが、介護をした人間としては、「一番本人にとって幸せなのは、プロがいる施設にいること」だと思います。
それもなかなか入れず、入院できるまでが本当に本当に大変でした。

入院するまで、あの傲岸不遜な父が、兄に怒られてばかりでいつもうつむいているような状態で、、でも、入院してからはきれいな顔をしてニコニコ過ごしていました。
家族がプロでない以上、世話をすると不機嫌になりますから。
私はそれもあって、お互いのためというより本人のために、よい施設であれば施設のほうが絶対に幸せだと実感しています。

行方不明になった、と連絡があると、毎回胸がつぶれるほど心配するので、見守っていただける方がいたら、本当にありがたいと思います。
Posted by 遠藤 沙耶 at 2015年03月06日 12:20
バラキさん、こんばんは

最後の「〜」は「汗」だったんでしょうかね(^◇^)

新しい貸店舗があっても見落としたりしますが、人はよく見てますね。お客様とか家主さんとすれ違って知らん顔しちゃマズイですもん。それと、知った顔が向こうから来ると、「あの人にお礼を言わなくちゃいけないこと、あったかなあ・・・」と先ず考えます。うっかり忘れてしまったら信用問題ですから。
Posted by poohpapa at 2015年03月06日 19:40
クマさん、こんばんは

<<ハリケーン様の一本勝ち!^_・

どこが!?
Posted by poohpapa at 2015年03月06日 19:41
さやさん、再び、こんばんは

痴呆症の方の介護はそりゃあもう大変ですよね。たしかに、経済的に何とかなるのであれば老人ホームに入ってもらうのが家族にとっては楽ではあります。

一口に痴呆と言っても、酒癖と同じでいろんな種類があると思います。傲慢になってしまう人、暴力をふるう人、徘徊する人、着衣や布団で放尿する人などなど・・・、そしてそれらの組み合わせの人・・・。いくら親だからと言って、自分の家庭が崩壊しかねませんよね。

施設なら、同じような年代の人がいて、話し相手にも困らないものでしょうし、家族と離れて暮らすことになっても、そのほうが幸せでしょうね。

私は親の面倒を最期まで自宅でみられた方、尊敬します。しかも、実の親でなく義理の親の面倒をみた方であれば尚のことです。

人間ではありませんが、うちのノルンが老猫になって、家の至る所で粗相をしたとしても「ノルンなら赦せるよね」とうちのと話しています。私が粗相をするようになったら、たぶん、3日で追い出されるでしょう。そうしたら路上生活です。つまり、猫以下の身分です(*´ω`)

この老婦人、きっと私のことは覚えてないと思いますが、それでも、街で見かけたら必ずお声を掛けよう、と思っています。少し立ち話なんかもしたりして。それも社会への恩返しの一つになるでしょう。

Posted by poohpapa at 2015年03月06日 20:05
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