ある家主さんから電話があった。その家主さんが賃料30万で貸している大きな貸家のリフォームの件である。
入居者は、ふだん家に居ることが多く、タバコを一日に40本も吸うというヘビースモーカーであった。当然、どの部屋も壁紙から天井までまっ茶色になっていて、原因がタバコであることは明白だし、入居者本人(法人契約)もそのことはよく自覚していて、「リフォーム代は全部こちらで負担します」と言っていた。法人契約とはいえ、賃料30万の貸家に入居しているくらいだからさすがに余裕がある。
話がのっけから横路に逸れるが、「そんなに家賃の高い部屋を借りているなら買っちゃったほうがいいのに」と言う人がよくいるが、それは失礼ながらおカネの無い人の発想であって、おカネがあるから高い家賃の部屋を借りるもの、・・・らしい。いや、どうかすると、立派な持ち家が有りながら借家住まいをしている人さえいる。理由は税金対策とのことだが、ふだん私がしている税金対策(例えば家のプリンターの補充用インクを会社の経費で落とす;セコ^_^;)とは次元の違う話だから詳細は全く分からない(苦笑)
似たような話に生命保険の掛け金がある。私は毎月3万5千円の保険料(事故死の場合1億円)を払っていて、言うまでも無く家計をかなり圧迫しているのだが、世の中には毎月1億を超える保険料を払っている人が何人もいると聞く。それらも税金対策とのことだ。
で、リフォーム代、と言っても大きな一軒家であるから、ついでにいろんな所を手直ししたりするので見積もり額は200万にもなった。それを入居者は「負担します」と言っていて、それも昨今では珍しいことだが、何と家主さんは、「いいですよ、こちらで全部出しますから」と事も無げに仰る。
この程度の話なら、今は「東京ルール」という条例も施行されているのだし、世の中の趨勢からもとくに珍しい話ではないだろう。お互いゆとりのある人同士の話、と言えなくもない。
この話が非常に珍しい話になるのには訳がある。
実は、これは退去の際の敷金精算を巡る話ではない。
入居者が入居中に、「タバコなどで家を相当汚してしまっているので、費用はこちらで負担しますから、大規模なリフォームをさせて欲しい」と言ってきて、それを受けて家主さんが、入居途中での全面リフォームを全額家主負担ですることになったのである。
賃貸の重要事項説明書にも、たいていは「畳、襖等の建具の取替え費用の負担は借主」と謳ってあって、これは「出る時に畳、襖等は借主負担で現状回復するもの」という意味ではなく、「最初は家主がキレイにしておくけど、途中で交換する場合は借主の負担でやってくれ」という意味である。ごく稀に入居中に、「畳が茶色くなったから表替えしたい」という人がいて、そういう場合は借主負担ですよ、と言っているのである。
だから今回のケースの場合、入居者も責任を認めているのだから、とくに支障が無い限り好きにやらせておいて全額負担してもらったとしても、どこからも異論は出ない。
世の中、こんな家主さんばかりなら、不動産屋はずい分助かる。
ハッキリ言って、重箱の隅を突付くような家主さんは多く、私のストレスの一因にもなっている。島田紳介がバラエティ番組の中でよく言っている「絶対に罪にならない拳銃と弾が6発あったなら・・・」という話、私なら「高校時代のある教師に1発、とくに特定していないが悪質入居者や客用に2発と家主用に2発」使うだろう(いえホント)
え?「計算が合わんだろう!残り1発は誰に使うのか」ですって?
もちろん、不測の事態に備えてとっておくつもりである(爆)
>費用の負担は借主」
<中略>
>「最初は家主がキレイにしておくけど、途中で交換する場合は借主
>の負担でやってくれ」という意味である。
そうなんですか。
そりゃ知らなかった。
というか、不動産屋に「出る時云々」と説明されました。
おそらく、不動産業者の中にも、「退去時の原状回復」のことを言っている、と勘違いしている人は多いと思います。仮に、もしそうだとしても、原則としてそんな約束は通りませんから無意味なものになってしまいます。
元々はハナからそういう意味のハズで、ですから私の場合は借主貸主ともに一貫してそのように説明しています(*^^)v