2015年09月29日

乱立気味の不動産関連の資格あれこれ

宅地建物取引士はもちろんのこと、不動産鑑定士、測量士など、不動産に関する資格は数多い。

@ 定期借地借家権プランナー(定借プランナー)・・・、主催は、NPO法人首都圏定借機構

以下同様に、

A 宅建マイスター・・・、公益社団法人 不動産流通推進センター
(ここは講習終了後に自動的に会員登録となってマイスターメンバーズクラブの会員となる。Eの不動産コンサルティングマスターとは別物で、公的な資格ではない)

でも、どこかで聞いたような・・・。以前、不動産コンサルの新名称募集で「不動産コンサルティングマスター」になったんだけど、私は「不動産マイスター」という名称で応募してたんだよね・・・。これじゃ「佐野った」と言われそう・・・。どっちが先だったんだろ??わーい(嬉しい顔)

B 賃貸不動産経営管理士・・・、一般社団法人 賃貸不動産経営管理士協議会

C 既存住宅アドバイザー・・・、首都圏既存住宅流通推進協議会

D 不動産流通実務検定・・・、公益財団法人 不動産流通近代化センター(資格試験ではない)

E 不動産コンサルティングマスター・・・、公益財団法人 不動産流通推進センター

この資格の先に、さらに「不動産有効活用専門士」や「相続対策専門士」というものがあるらしい・・・。なんで??、である。そのうち資格名だけで差別化できなくなって等級まで付けられるかもしれない。「上席不動産コンサルティングマスター専門士」だの「3級不動産コンサルティングマスター」だの・・・。

F 不動産キャリアパーソン・・・、公益社団法人 全国宅地建物取引業協会連合会

G 不動産投資アドバイザー・・・、株式会社週刊住宅新聞社

H マンション管理士・・・、国土交通省

I 管理業務主任者・・・、一般社団法人 マンション管理業協会

これ、HとIは国家資格とのことだが、Bの「賃貸不動産経営管理士」と、どう違うんだろ??


不動産取引に関連して、他にも、

J ファイナンシャルプランナー・・・、日本FP協会

相続絡みでは、

K 相続士相続診断士相続カウンセラーなどもある。

相続絡みの資格は、公的な資格と言うより顧客獲得の道具ではないか。私の知人(私が「コイツだけは赦さない」と思っている女)が、本業は不動産屋だが相続アドバイザーとしていろんな講習会の講師を務めている。相続対策で悩んでいる人、悩み始める年齢に達している人は、そういう資格を持った人が開いている無料講習会に出掛ければ、講習会の後で引き続き相談するもの。相続絡みの話なら、いずれ売却の話も出るかも知れない。商売の手法としては上手いと思うが、元々はそれを狙って作った資格、と思えなくもない。

私も、このブログがご縁でいろいろ相談に乗らせてもらっていると、「ぜひオタクで」と仰って頂くことがあるが、なるだけ辞退するようにしている。後で自分がやらせてもうことになりそうだったり、利益がチラつくと、私の回答も公正でなくなる可能性があるからだ。ましてや、「如何にも」という尤もらしい資格を前面に打ち出して、となれば胡散臭くなるもの。私が受けさせて頂くのは依頼者が遠方にお住まいで物件が近隣にある場合のみ。それすらも、現在依頼している業者さんがあるなら横取りはしない。

でもって、私からすれば「おいおい」の資格がコレ ↓

L 任意売却取引主任者 一般社団法人 全国住宅ローン救済・任意売却支援協会

いろいろ取り上げたが、私が一番?マークなのが、最後の「任意売却取引主任者」という資格。

要は、ローンが払えなくなって「このままでは銀行に差し押さえられて競売になる」危機に陥っている物件所有者に「差し押さえられる前に自分で売ってしまったほうが得ですよ。その場合はこれだけの差が出ますよ」とアドバイスするのだろうが、所有者からすると物件を失うことには違いない。競売に掛けられれば値段は安くなるだろうけど、いちおう債権額より高く落札されれば差額は戻ってくる。必ずしも、差し押さえられたら一銭も戻らない、ということではない。より多く戻るようにするには所有者が自分で売る方がいい。ただし、それなりに時間は掛かるから、そういう部分も含めての相談になるんだろう。

で、「じゃあ、もう諦めて売ります」となったら、全国住宅ローン救済・任意売却支援協会はどうするのだろうか・・・。会員業者というのがあるかどうかは不明だが、仲間内の業者を紹介するのではなかろうか。実は、「それは絶対にダメ」とまでは私は思っていない。ではあるが、最後はそこに行き着くなら「全国住宅ローン救済・任意売却支援協会」なんて名称はおかしいだろ、ということ。と言うか、そんな名称の団体、私なら信用しない。「救済」だの「支援」だのと聞くと詐欺集団だと思ってしまうから。

「差し押さえられて競売に掛けられるかも」と悩んでいる人に対しては、不動産業界関係者が設立した協会ではなく、金融機関が相談に当たるべきではないか。それなら公正な相談相手になりうると思う。

「任意売却取引主任者」・・・、何でも資格にすればいい、てもんじゃないだろうに。

ついでに、よく街頭で一般市民を対象にした宅建協会主催の「無料相談会」が開催されていて、そこに相談に訪れた人から「ぜひオタクの会社で」と売却や管理の依頼を受けるのは問題ないと思う。原則的には「そうしない」ことになっているようだが、丁寧に相談相手になって人間関係や信頼関係が出来始めているのに辞退することのほうが不合理だし、時間を割いて担当している業者さん(役員)にはそれくらいの旨みがあって当然だと思う。私はそういうことで「おかしいだろ」とは言わない。


不動産取引と直接は関係ないが、宅建取引士は「2級建築士」「インテリアコーディネーター」「行政書士」などの資格も併せて持っていると便利、とも聞く。ではあるが・・・、キリがない。

探せばまだまだ出てくると思う。不動産の仕事をするにあたり「どの資格を持っていなければならないのか」「どの資格が役に立つか」、「持っていても意味がない(怪しい?)資格」との仕分けが必要だ。

最近、東京都本部でも、これら資格について話題になったようだ。私からすれば「ほとんどが資格ビジネス」であって、こんなにいろいろあると会員業者が「将来的にどの資格が必要なのか」悩むものだろう。どんな資格であっても勉強することは良いことだが、いくらなんでも乱立気味。本部で整理する必要があると思う。

私なんかの歳でも「これから勉強して新たに資格を取る」のはシンドイくらい。不動産会社の高齢のオーナーさんにとっては尚のことだと思う。若い後継者がいればともかく、そうでない会社もあるもの。宅建協会はそういうことも配慮すべきではなかろうか。公益法人である前に会員の為の団体なんだから。

posted by poohpapa at 07:08| Comment(4) | 不動産業界(全般) | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
poohpapaさんおはようございます。

面白いですね。こんなにあるのですか?不動産屋さんの名刺は何枚かもらったことがありますが、宅建主任だけだった、ような。他は見たことも聞いたこともありませんけど。

@からJまで、poohpapaさんはどれを持っていますか?
Posted by たか at 2015年09月29日 08:27
たかさん、おはようございます

実は、一つも持っていません。不動産コンサルティングマスター(旧 不動産コンサル)を取ろうかな、と思った時がありましたが、従事していた期間が不足していて受験できなかったので諦めたら、どんどん取得が難しくなってまして、もう無理、であります ^^;

ただね、今もいろんな相談に乗らせて頂いていて、どうも資格や知識の有無とは関係なく、性格的な向き不向きによるところのほうが大きいのでは?、と思っています。

もう、勉強して資格を取る、というのは年齢的にキツイです。要らない資格なら作らないでほしいものですね。どこぞの大学の名誉学位みたいなものですし。

Posted by poohpapa at 2015年09月29日 08:42
こんにちは。

天下り団体を作るために民間資格を創設するから、似たような内容・名前の資格が乱立しちゃうんですよね。

不動産系だと宅地建物取引士と管理業務主任者、マンション管理士は国家資格なので名刺に記載していますが、賃貸不動産経営管理士やFP、住宅ローンアドバイザーなどの民間資格は、私は記載してません。
国家資格は資格の有無が全てですが、民間資格は勉強した事が大事ですから記載しても意味ないかなと思いまして。
勉強で覚えた事も使わないと忘れていくので、資格だけ持っていても役に立たないですし。
知識としてあるに越したことはないのですが、管理会社だと宅建だけで充分だと個人的には思います。
Posted by とっとこ at 2015年09月29日 13:41
とっとこさん、こんにちは

凄いですね〜、いろいろお持ちなんですね。と言うか、勉強なさっているのが立派です。

たしかに、我々の資格は「何が必要か」でなく、初めに「天下り先ありき」ですね。

<<勉強で覚えた事も使わないと忘れていくので、資格だけ持っていても役に立たないですし。知識としてあるに越したことはないのですが、管理会社だと宅建だけで充分だと個人的には思います。

全く、仰るとおりですね。資格で縛って、業者をお上が淘汰しようとしている感もあります。資格で業者の良し悪し、信頼性は測れるものではありませんが。

実のところ、私も宅建試験で勉強したこと、だんだんと忘れています。だから年数回のセミナーや主任者証の更新の際の講習というものがあるんでしょうけど、正直、しんどいですね。とくに主任者証の更新講習は丸一日がかりですから。あと何回受けるようかなあ・・・。
Posted by poohpapa at 2015年09月29日 15:02
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